人的補償問題の着地点
FirstUPDATE2024.2.12
@Scribble #Scribble2024 #プロ野球2024年 #プロ野球 春季キャンプ 阪神タイガース 野口恭佑 門別啓人 赤星憲広 能見篤史 山下舜平大 金村暁 再現性 FA 人的補償 和田毅 日高暖己 サラリーキャップ 西川龍馬 複数年契約 単ページ #2020年代

いやまずは春季キャンプの話から参りたいのですが、各評論家の野口評が恐ろしく良いのは、良いことなのか悪いことなのか。つかここまで良いと逆に怖くなってくるんですよ。

とくに赤星の野口評はすごかった。
赤星曰く、みんな野口の長打力ばかり言うけど、本当に良いのはバッティングの柔らかさだと。間違いなく率も残せる選手になる、とね。
あと守備に厳しい赤星が「みんな守備はまだまだだと言うけど、そんなに悪くない。センスはある」と言ってたのもビックリした。
いやいや、ちょっとハードル上がっちゃうよ?マジで大丈夫?

もうひとりはやはり門別でしょう。
能見が「山下舜平大を見た時以来の衝撃」ってのももちろん嬉しいのですが、ただ、素人からすれば「いったい何がすごいのか」がイマイチ飲み込みづらい。
それを前阪神タイガース投手コーチの金村暁が具体的に語っていて、門別が一番すごいのは「高卒2年目とは思えないフォームの安定感」だと。

とにかく「この年齢でここまで再現性の高いフォームで投げられる投手は見たことがない」というのはメチャクチャ素人にもわかりやすい。
やっぱ一軍で活躍するためには、1球2球ものすごい球を投げても意味がないわけで、つかそんなピッチャーは阪神でさえ二軍にゴロゴロいる。それこそ昨日の紅白戦で投げた佐藤蓮なんてその代表でしょう。
でも「フォームの安定感」って話は「やっぱ門別はケタが違う」っていう見事な説明になってるし、能見が絶賛したのも頷けるのです。

とは言え、いくらアタシが素人でも自分の目で見ないと何とも言えない。
そこで一昨日行なわれた紅白戦をね、ま、2回の1イニングだけですが見たのですが、うん、こりゃ絶賛されるのをよくわかるな、と。
とにかくもう、ストレートが強い。「垂れない」なんて当たり前で、テレビ越しでも打者が押されているのが嫌というほどわかりました。
ただ昨日はほぼストレートしか投げておらず、昨年散々言われた「変化球を投げる時にフォームが緩む」というのが解消されたのかはわからなかった。
でもそこが解消されたとするなら文句なしにローテ候補です。つかストレートだけなら「調子が良い時」のエース級だからね。

てなわけで、前置きが長くなってしまいましたがここから本題です。
例の和田問題に端を発した人的補償の問題にかんして、様々な意見が飛び交っている、というかそうしたことすら沈静化した感はありますが、ちょっと、アタシも考えてみたいと。
個人的にソフトバンクの和田毅より問題だと思うのが、広島からオリックスに移籍した西川龍馬の人的補償として「高卒1年目が終了したばかり」の日高暖己が選ばれたことです。
さすがに高卒1年目の下位指名の選手をプロテクトリストに入れるのは考えづらい。それはわかるのですが、これではせっかく獲得に尽力したスカウトの立つ瀬がない。オリックスの二軍スタッフもあれこれと育成プランを練っていたはずで、こういう形でチームを離れるってのはやはり何とかしなきゃいけないと思うのです。

そもそも人的補償が何のためにあるか考えれば「戦力の均等化」という建前があるわけで、もちろん、だからと言って広島は1ミリも悪くないっつーかちゃんとルールに則ってやってるんだから非難される謂れはないんだけど、それでも、少なくとも建前からは背いてはいる、とは言える。
それでも、この「戦力の均等化」ってのが、あくまで「即時的なことなのか」、それとも「将来を見越して」も含むのかで変わってくる。

アタシはね、FAの見返りとしては、基本的には「即時的な補填」が相応しいと思う。でないとそもそも「補填なんているか?」という話になるから。
だからドラフト権の譲渡にも反対なんです。それは違うだろ、と。さっきも書いたように、ドラフト権の譲渡なんてやってしまったらますますスカウトの立つ瀬がなくなるわけで、こんなことをやってたらいずれドラフト会議が形骸化してしまう恐れすらあります。

だったらどうやりゃいいんだって話なのですが、あんまり議論されてないけどメジャーリーグが導入している「サラリーキャップ制」しかないと思うのです。
総年俸の上限を決めて、それを超過する場合はそれ相当の額をNPBに払い、それを他の11球団に分配する、というやり方です。

こうすることでどの球団も馬鹿みたいな高額契約や、育成を含めて馬鹿みたいに選手を保有することが出来なくなる。
しかも公平性もある。上限を決めると同時に下限も決めておけば、戦力はないがやる気もない球団がトクするようなこともない。
またFAで選手を獲得する気はないが現有戦力に出ていかれるのは敵わない、なんてチームからしたら、今いる選手にポンと年俸を弾むことになるので、つまりはどこも損しないのです。

ただね、もしこれが数年前なら、もうこれしかない、と言える策だったと思うけど、現状では正直最適解とは言えないんです。
即時的な戦力補強となると、どう考えても新外国人を入れるのが一番手っ取り早い。たとえ数年しか在籍しなかったとしても「次世代の選手が台頭するまで」の即時的な穴埋めにはなるからです。

しかしもう、2024年の今、そんなことは不可能です。
何度も例に挙げて申し訳ないのですが、例えば西川龍馬が流出したことで得た資金をすべて新外国人に注ぎ込んだとしましょう。ま、こういってはアレだけど、正直、西川龍馬の成績はそこまで突出したものではない。もちろん良い選手だから獲得球団が現れたのですが、それでもこれが数年前なら「走攻守すべてにおいて、西川龍馬の代替となれるクラスの新外国人を獲得することが出来た」と言い切れる成績です。

でももう無理。もはや2023年度シーズンの西川龍馬と同等の成績が挙げられる外国人選手なんて日本には来ない。
これはまた次か次の次に書きますが、ノイジークラスの成績ですら今のNPBではマシな時代なのです。んなもん今の日本のプロ野球で西川龍馬と同等の成績が約束出来る程度の外国人を獲得しようと思えば、下手したら数年前と比べてケタが一ケタ変わってしまった。
つまりね、じゃあオリックスが西川龍馬の獲得に「人的補償はなし、その代わり補償金10億出せ」となったら、仮にサラリーキャップ制があったとしても絶対に獲得してないですよ。

つかもう、今の時点でさえFAが形骸化しかかっているのに、これ以上厳しくなるとメジャーに行きたい選手しかFAを使わなくなる。いや正確には「ポスティングではなく、あくまで海外FAでメジャーに行きたいんだ」という場合に限る。
つまり「カネで頬を叩く」ことすら難しくなってるわけで。

アタシはね、もう、個人的にはFAはなくしてしまっていいと思うんです。
その代わり、ルーキーの時点で複数年契約を結ぶことを可能とする。例えば佐々木朗希であれば、本当にこれは金の卵だ、ただし育成には時間がかかるし、育ってすぐに出ていかれちゃたまらないと思うのであれば、最初から8年契約とかにすればいいんです。

これなら契約年数に応じた育成プランを練ることが出来るわけで、当然日高のようなこともなくなる。当然下位指名の選手には長期契約は結べないだろうけど、それならそれで「◯年目までに戦力にならなければ、もうプロ野球選手ではいられなくなる」ということになる、というのも良い緊張感をもたらすかもしれない。

しかしこれはプロ契約の制度を根本的に覆してしまう可能性もあるので、とてもじゃないけど今すぐ導入しろとは言えない。ただ、それでも、どんな制度になろうとも、移籍選手の代替は「即時的」ってのは絶対条件のような。うーん。







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