手首グネグネ
FirstUPDATE2024.2.5
@Scribble #Scribble2024 #プロ野球 #プロ野球2024年 #1980年代 阪神タイガース 春季キャンプ 野口恭佑 岡田彰布 リストワーク 掛布雅之 真弓明信 落合博満 中西太 中村紀洋 山田哲人 マグワイア 高橋周平 有鈎骨骨折 清宮幸太郎 ハイブリッド 単ページ

「手首クルクル」ってのはよく言われるけど、今回はクルクルではなく<グネグネ>です。

さて、春季キャンプが始まりましたが、前評判通り、やはり阪神の野口は面白いですね。何というか、ちょっと、ハイブリッドに見えるんですよ。
っても意味がわからないだろうけど、長距離砲と言われる人たちはほぼ三通りに分けることが出来る。
ひとつは、岡田彰布が秋季キャンプでリストワークの重要性を語っていましたが、リストワークで打つタイプは飛距離を出すためのひとつの方法です。
もうひとつがパワーで持っていくタイプ。これは外国人に多いですね。

ただ本当、近年は如何にもリストワークで打ってるな、と思える選手が減りました。
逆に言えば昔はそれなりにいた。というかとくに1980年代はそういう選手が多くて、とくに阪神に多く、掛布雅之、真弓明信、そして岡田もそうだったけど、みんなマジで「手首グネグネ」だったんですよ。

もうこれなんか見てもらえればわかるけど、もう手首グネグネとしか言いようがない。
他球団でも落合博満も手首グネグネでしたよね。

要するに、リストが「柔らかくて強い」というタイプで、それがバットコントロールと飛距離を生み出していた。しかもリストワークで打つタイプの選手は総じて打球角度を上げるのが上手い。
たぶんこの元祖が中西太のはずで、中西太がコーチをやっていた阪神で手首グネグネが多いのは当然なのです。
アタシが知る最後の手首グネグネタイプは中村紀洋でしょう。これも動画を見た方が早い。

いやね、わりと最近でも、そりゃ掛布や中村紀洋に比べると手首グネグネではないんだけど、それでも「リストワークで打ってる」と思える選手はいたんです。

例えば山田哲人の全盛期は本当にリストワークが柔らかく、しかも打球に角度をつけるのが抜群に上手かったのであれだけの数字を挙げられたと思ってる。
一方、リストワークを重視しないというか、ま、パワータイプってことになるわけですが、たしかにそういう打ち方もある。
岡田も名前を挙げていた金本知憲もだし、この代表は何と言ってもマグワイアでしょう。

マグワイアは「極端に言えばバントに近い」と言われた打ち方で、手首を重視せずに腕で運ぶ打ち方とでもいうのか。
これはものすごいパワーを必要とする。だから出来る選手が限られてるし、日本で出来たというかリストワークを重視せずにあれだけホームランを打てた選手は金本を含めてもかなり少ない。
ただし長所もあって、肉体さえ保てれば比較的選手寿命が長い。選手寿命っつーか「晩年になっても飛距離が維持出来る」というか。

逆に言えばね、リストワーク重視の選手って落合を除いて選手寿命というか稼働年数が短いのですよ。
それこそリストワーク重視の始祖とも言える中西太がまさにそうで、腱鞘炎で手首を痛めて以降は極端に成績が降下したし、掛布も岡田も手首がダメになって成績も落ちた。
山田哲人は致命的な怪我があったかはわからないけど、何か年々手首が硬くなってるって感じで、バットコントロールが極端に落ちた感じがするんですよ。

つまりリストワークで打つ選手は手首の怪我や衰えは致命的になるわけで、必死こいて手首のケアをしなきゃならないってことになります。
しかし打者が手首を守るのは本当に難しい。何しろストライクゾーンに一番近いところに手首があるんだから、どうしても手首にデッドボールが当たる可能性があるわけです。

もはや「龍の未来」を背負うとか不可能になりつつあるけど、高橋周平がデビューした頃とかマジですごかったもん。でもあれも結局、有鈎骨骨折で長打力が落ちたしね。
有鈎骨骨折は長距離砲にはダメージが大きいのですが、一方で影響を受けない長距離砲もおり、中田翔や松田宣浩は長距離砲として活躍出来たけど、これらの選手はマグワイア金本型というかリストワークを重視しないタイプだったので影響が少なかったのでしょう。

そういう意味で清宮幸太郎はちょっと心配です。
同期の村上宗隆と違い、高校時代までの清宮は近年では珍しいリストワークで飛ばすタイプの長距離砲だったからで、そのわりには順調に成長出来たとは思うけど、ではこの先、清宮が30本40本打つような選手になれるのか、というと、正直、厳しいと言わざるを得ないんじゃないか。
こういう素人見立ては外れてくれるに越したことはないんですが、それでも「有鈎骨骨折をしなかった世界線の清宮幸太郎」が見てみたかったと心から思います。

話を野口に戻しますが、野口って一見パワータイプに見えるんだけど、岡田も称賛していたように、実はリストの使い方が上手い。だから自然と打球に角度もつく、という。
つまりリストヒッターとパワーヒッターのハイブリッドってことになるんですが、つかそれだけ聞くととんでもない逸材っぽいけど、正直、あまり前例のない選手なのでどういう育ち方をするのか、いやどういうふうに育てたらいいのか、もしかしたらかなり難しいタイプの選手かもしれない。

つかね、野口の場合、ホームランがどうこうと言う前に、まずは体力だな。今の感じだと外野手だとしても1シーズン保ちそうにないんだよな。
だから現段階でアタシの野口評は「可能性は無限大だけど、かなり育てるのが難しいし、それ以前にまずはスタミナ」だな、と。