まァね、実際にこの番組を見たわけではない、というのをお断りしておきますが、ちょっと面白い話だなと思ったので。
いろいろと最悪な形で終わってしまった「SMAP x SMAP」ですが、ま、<笑い>に一家言あると自認している人に限ってSMAPのコントにたいして辛辣な意見を持っていた、そのように記憶している。
たかがアイドルのやるコントなんてたいしたことないに決まってる。見なくてもだいたいレベルはわかる、みたいなね。
でもね、アタシは違う見方をしていた。たしかにコメディアンやヴォードヴィリアンのコントとは違うものになるってのはわかってたけど、だからといって必ずしもレベルが低くなるとは限らないんじゃないか。
つか「現代のコメディアンやヴォードヴィリアンでは無理な、アイドルだからこそ可能なコントもある」のではないかとね。
その最たるものが竹ノ塚歌劇団のコントで、これYouTubeに動画がなかったので不本意ながらDailyMotionへのリンクを貼り付けておきます。
もう、この手のコントをコメディアンやヴォードヴィリアンがやってもすごい低いレベルの面白さにしかならないんですよ。
まず、出演者の見た目で面白さが変わる。つかSMAPのルックスがあればこそ面白くなる。
さらに「軽く踊ってみせる」というのも、昔のコメディアンならともかく現代の<笑い>の人では難しい。いくら練習しても「頑張って練習しました」というのが<笑い>の邪魔をする。
そこにいくとアイドルはダンスの上手い下手はともかく、少なくとも「踊り慣れている」んです。つまり場数が違う。だからこそ<軽く>踊るようなシーンをやらせてもサマになる。
この「サマになる」というのは殊の外大事で、とりあえず見た感じ「サマにな」ってないと<笑い>が低いところで留まってしまうのです。
ルックス的に「サマになる」、軽く踊る様が「サマになる」、これはね、一朝一夕では不可能なんですよ。
それこそ本職抜き、役者ばかりの座組でやった「サラリーマンNEO」なんかもそうで、やっぱり役者だからこそ出来るコントってのがある。さらにはあえて学芸会の延長線上のコントという意味では「夜のヒットスタジオ」や「ヤンヤン歌うスタジオ」でのコントも本職の人たちには難しい。
つまりね、向く向かないってのはどうしようもないんです。
「ドリフに大挑戦」という、往年のドリフターズのコントを今の芸人が再現するという番組を何回か見ましたが、たしかに面白いのは面白いんだけど、ドリフターズがやったものとは面白さの<レベル>ではなく<タイプ>が違う。
むしろドリフターズのコントは役者がやった方が形になりやすいし、それこそまだ「北のドリフ」と言われてるチームナックスとかでやった方が「サマになる」んじゃないか。
逆の言い方をすればドリフターズのコントをやってる芸人は「持ち味を殺してる」とも言えるわけで、コンスタントに点数を稼いでたのは劇団ひとりとアンタッチャブル柴田とカンニング竹山くらいで、たぶんこの人たちは役者寄りの芸人なんでしょう。
しかし、じゃあ劇団ひとりなどが真価を発揮しているかと言えば、いや劇団ひとりってもうちょい出来るよね、いろいろ抑えてやってるよね、というふうに見えてしまうわけで。
あくまで個人的な見解ですが、先日放送された「ドリフに大挑戦」で一番「サマにな」ってたのは香取慎吾で、もしSMAPが今も存在すれば、こと「ドリフターズのコントの再現」であればもっとも相応しい人材だったのはSMAPじゃないのか。
もし実際にやるとなったら各人のキャラクターも違うし難しいところもある。何より「SMAP風情が、何をドリフターズの後継者ヅラしてるんだ」と叩かれまくったとも思う。
でもさ、もし実現してたらアタシは全力で援護してたよ。それもドリフターズのいちファンとして。むしろドリフターズのコントを<まんま>再現するならSMAPしかいないじゃん、と。
などと長々書いてきましたが、要するに「誰がやっても面白いコントのネタなんかない」=コントって意外と限界の幅が狭い、というのが言いたいのです。
これ、考えようによっては面白くて、まったくのド素人がやった方がプロの芸人よりも面白くなるネタがあるということです。
こうした「ド素人がやった方が面白い」ネタを考えるってのは結構楽しいことで、そういう観点で言えば「コントに限界などない」と言えるのかもしれないな、と。
というかこれこそがコントの良さですよ。んなもん「ド素人向きの漫才」とか「ド素人向きの演劇」なんかないもん。