慣れって恐ろしい
FirstUPDATE2023.11.24
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えと、再び「THEつぶろ」さんのチャンネルのことを書きたいのですが、あれ?もしかして、と思うことがもうひとつありまして。

THEつぶろさんのチャンネルでメインとして取り扱ってるのはオカルト系なんですが、オカルト系、要するに(THEつぶろさんふうの表現ならば)「不気味」ってことになるんだけど、いろいろ見ててね、どうも、モノクロの古ぼけた画像や映像のが「不気味」と思う人が多いみたいなんですよ。
だから、不気味さを演出するのに「元はカラーで高解像度のものをモノクロ、低画質化する」のは常套手段で、とくにフェイクの場合は過剰に低画質にすることもあるようで。

ただこれ、あくまでアタシ個人の話なんですが、モノクロの古ぼけたってのと「不気味」はほとんど結びつかないんですよ。
もう理由は単純明快でして、それは「モノクロの古ぼけた映像や画像をさんざっぱら見てきたから」という。
一時期はほぼ毎日、戦前の邦画を「必ず一本見る」って感じだったし、戦前の画像なんか鮮明な方が少ない。
例えばですが「日本歌劇俳優写真名鑑」という1920年に発刊された書籍があります。
「歌劇=オペラ」ですが、要するに、当時隆盛を誇っていた浅草オペラの舞台に立っていたオペラ歌手、オペラ俳優の「写真付き」の名鑑でして、この「写真」ってのがね、今の目で見るとすごいんですよ。

ざっくり、インパクト強めな写真を寄ったのですが、もう、これこそ「不気味」じゃないですか?
もちろんこれらには霊的なものは何もない。ただただ画像が粗いだけです。それがわかってるから、しかも見慣れてるからアタシなんかは何とも思わないけど、たぶん、それこそよくある恐怖画像まとめスレとか、YouTubeにある恐怖映像の中にこれらの画像が挟み込まれていて、不穏なBGMが付いたら余裕で「不気味」になると思う。

映像だってそうで、近年リマスターされたような映画だとあまりそうではないんだけど、VGA以下の画質のものしか出回っていない、低画質きわまる戦前の邦画なんかいくらでもある。

↑は1926年の「狂った一頁」の一部だけど、もう全編、恐怖映像として通用するものばかりで、他にもこの手の映画っつーか「何かよくわからない影が写ってる」映画なんて腐るほどある。
正直、それらを「怖い!怖い!」と言ってたら内容なんて入ってこないので、いつしか「これはそういうものなんだ」と脳内で処理するようになるのです。

要するに「慣れ」ってヤツです。
慣れた人間には「モノクロで古ぼけた」画像や映像にたいして「恐怖心」という先入観がないから、どうしても感じ取れる不気味さが薄れる。
ただそれは慣れた今現在の状態が基準になってるからだけの話で、まだこうした画像や映像を見慣れてなかった頃に「日本歌劇俳優写真名鑑」てな書籍や「狂った一頁」などの映画を見せられたら、とくに子供の頃だったりなんかしたら卒倒したかもしれない。
となるとね、もうこれって、損してるのか得してるのかわかんなくなるわけで。

恐怖映像や恐怖画像なんかは「怖い」と感じて初めて「面白い」につながるわけで、しかしアタシの場合、人よりも霊感が薄いという素養な上、こうした「モノクロの古ぼけた」画像や映像を見慣れてしまってはオカルト系を面白いと思えるわけがないのです。
これはつまり、興味の幅を狭めているとも言えるわけで、ちょっともったいないという気持ちがある。つかこの手の画像や映像を心底楽しめてる人が羨ましくもある。

ま、じゃあオカルト系と戦前文化のどっちのが楽しみたいかといえば戦前文化の方だし、つかそんな興味が薄いオカルト系でアタシの興味を惹く動画を作ってるTHEつぶろさんがすごいって話なんだけどさ。