性能と機能と品質と
FirstUPDATE2023.10.5
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とりあえず品質云々は置いといて、どうにも、<性能>と<機能>をゴッチャにしてる人が多いような気がしてね。

たぶん一番わかりやすいはずなのでスマホを例にするけど、<性能>ってのは、まァスペックと言い換えてもいい。スマホで言えばCPUとかGPUとか、と言えばわかりやすいでしょう。
つまり<性能>ってのは<高>から<低>の間に振り分けられる。要するに「高性能」とか「低性能」みたいな言葉が成立しているわけで。
一方、<機能>とは「こういうパーツが装備されている」ということよりも「具体的に何が出来るか」で、屁理屈に思われるかもしれないけどスマホなら「カメラが装備されてる」ってことではなく「写真や動画が撮れる」ということなのです。
だから<機能>に<高>も<低>もない。たしかに一部では高機能とかって言い方もあるんだけど、どちらかと言えば<多>と<少>、つまり「多機能」とか「少機能」のが言葉としては相応しい。

何が言いたいのかというと、「高性能だけど少機能」とか「低性能だけど多機能」みたいなことが成立するんですよ。
もちろん性能があってこそ機能として成り立つこともあるのですが、それこそゲームをするには不適合な性能でも多機能スマホというのは十分にあり得る。当然その逆もね。
だからこのふたつはゴッチャにしちゃいけないのですが、ただ、ある意味ゴッチャにしてしまう人が多いのは、少なくともスマホにかんしては「性能も機能も頭打ち感がある」からです。
もはや極端なローエンド端末を除いて、ミドルレンジやハイエンドクラスのスマホとの違いは「重たいゲームがプレー出来るか」くらいしかない。言い方を変えれば「普段使いでそこまで使用感に差があるわけではない」んです。

で、です。
スマホで多機能ったって、何しろ頭打ちなんだからよほど画期的な機能を搭載しない限り、高価格帯スマホでもやれることは限られており、結局ローエンドでもハイエンドでも横並びに近くなる。
性能面もミドルハイクラスのCPUならそこまでコストが変わるわけでもないので、これまた似たようなスペックのスマホが溢れるという状況になっています。
現在の市場には「性能=ミドルハイ、機能=海外企業産の場合はローカライズ具合で多少の差は出るけど、ほぼ全部入り」って感じの、似たようなスマホばかりになってしまいました。
となると本当に重要なのは<品質>ということになるのですが。

ハイエンドモデルはすべてがローエンドモデルに勝ってるかといえばそんなこともなく、バッテリーの保ちや発熱問題にかんしてはある意味ローエンドに劣っていたりもするわけです。
でもね、バッテリー保ち(実使用可能時間)、バッテリー寿命、発熱、発熱による内部パーツの劣化速度、筐体の耐久性、プロダクトデザイン力、細かい作り込み(ハードウェア、ソフトウェアともに)、内部パーツの性能、といったスペック表ではけして表に出ることがない、そういうことがアタシのいう<品質>なのです。

ぶっちゃけ、多少高性能にしようが多機能にしようが<品質>に一切こだわらなければ、極端に言えば半年で基本ぶっ壊れるような品質であれば、いくらでも安く作れると思うんですよ。
それこそね、まったく知名度がないというかメーカー名を出すことすら憚られるような、深センの怪しい市場で売ってるような謎スマホなんか「え?この性能、この機能でこの価格!?」てな感じですが、そりゃ品質ガン無視だろうしさ。だから仮にろくろく起動出来なくても文句を言っちゃいけない。ああいう場所でスマホを買うなんて自己責任以外の何物でもないから。

これは何度か書いてきたことだけど、企業努力だけで商品の販売価格を相場を無視するレベルで下げられたら世話ないよ。
市場の相場より極端に安価な商品なんて人件費無視のとんでもないブラック企業か、それとも<品質>ガン無視かのどちからです。つまりどちらも限りなく犯罪に近いようなことをしなければ相場より著しく安価な商品なんて出せるわけがない。
なのにコスパなんてくだらない言葉が流行ってね、それこそ某掲示板あたりで品質の話をしているのを一度も見たことがない。

iPhoneをはじめとするApple製品が高額なのは、間違っても「ブランド料」なんてくだらないものなんかじゃない。
つかAppleほど品質にこだわってるIT系企業も珍しく、過去にはG4CUBEのような世紀の失敗商品もあるけど、それでも今の今まで徹底的に品質にこだわってきたからこそ、それこそ「ブランド力」がついたのです。
もっと言えばApple製品はあきらかに「品質≧性能>機能」で、中途半端な品質でしか提供出来ないのならその機能は搭載しない。搭載するのであれば使う人の想像を上回るレベルのユーザーエクスペリエンスを提供する、というのが徹底しています。

だからね、性能と機能でしか商品を見れない人にはApple製品はすこぶる評判が悪い。
でも、なんだかんだ言いながら、日本であれだけiPhoneが売れてるってのは結局は「性能や機能もだけど、一番大事なのはやっぱ品質だな」という日本人が多い証拠だと思う。
アタシは諸事情から約5年前にiPhoneからAndroidに乗り換えたけど、んでAndroidはAndroidで相当良くはなっているのですが、それでもいまだに

・iPhone=出来ることは限られているけど、出来ることはちゃんと気持ち良く出来る
・Android=出来ることは多いけど、ちゃんと出来なかったりストレスがかかる形で「一応出来る」ってことが多い

この意見は普遍なままです。
いやね、アタシもいいオッサンですが、長年生きてきて「日本っぽい」のってiPhoneの方なんですよ。
本来、日本のモノづくりって、メチャクチャ、必要以上に品質重視だったはずで、諸外国で日本製の評価が上がったのは「日本の製品は頑丈で壊れづらい」という評判が立ったからです。
とくに「急に壊れたら人命にかかわる」自動車において日本車は絶対的な地位を確保出来た。
というか本当はスマホで例えるより自動車で例える方がはるかにわかりやすい。
もし自動車を購入する時にエンジンのスペック、つまり<性能>やオートクルーズコントロールなどの<機能>にだけこだわって<品質>ガン無視して取捨選択出来るならたいしたものだわ。アタシなら怖くてとてもそんな選択は出来ないよ。

今では日本より中国の方がはるかに技術力があるとか言われる時代ですが、中国はどうも、お国柄か、品質にこだわるタイプではない。となると日本が勝てるとするなら原点に立ち返って「日本製=高品質」をどれだけ実現出来るかじゃないか。
たしかにスマホなんかは品質にこだわりづらい、こだわって高額になると途端に評価が下がるという側面があるから難しいのはわかるけどね。







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