キラキラの映像化
FirstUPDATE2023.9.26
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えと、ついこないだ、いやこないだでもないか。ちょうどあれは阪神が1日で広島を抜き返した日だから7月28日、つーことはもう2ヶ月ちかく前になるのか。

ハァーッ!時間の流れは早いもんですなぁ!とかはどうでもいいとして、とにかくね、その日友人と長電話してたのですが、その時の友人の話した内容っつーか感覚が面白くて。

「よくInstagramが<キラキラ>してるって言われるけど、よくわからない」

と。
こう書くとその友人はInstagramに縁がなさそうに思えるかもしれないけど、とんでもない。アタシが知る限りもっとも巧みにInstagramを活用している人間で、実際Instagram経由での仕事の依頼もかなりあるらしい。
だから、変な表現だけど、InstagramなるSNSの酸いも甘いも承知しているわけで、当然他のSNSと何が違うか、どういった層がInstagramを好むかも完璧に把握していると言ってもいい。
そうした人間からしたら余計、Instagramと<キラキラ>という表現が結びつかない、らしい。

アタシは基本的にInstagramに馴染めなかった 側の人間なので、おそらくアタシのイメージなんかより友人の感覚のが正しいと思う。つまり「世間で言うほど」Instagramはキラキラした場所ではない、というのが妥当な気がします。
だとしても、です。
実際のInstagramはイメージよりはキラキラしてなかったとしても、現時点でInstagramをやってない人間にとってのイメージは「Instagram=キラキラ」であり、縁がない人間にとっては「実際」よりも「イメージ」が強いなんて往々にしてあることです。
それこそ大阪だって静かに暮らしてる人も、ごく普通の会話をしてる人もいっぱいいる、いやむしろそういう人たちが大半なのに、イメージは「常に馬鹿騒ぎして漫才めいた会話をする」というふうになってるわけで、そうしたことはそう易々とは変えられないわけで。

いやね、実際、キラキラとしたイメージに憧れてInstagramを始める人はかなりいるだろうし、つか間違いなく<キラキラ>というのはポジティブワードであって、「キラキラした生活」とか「キラキラした生き方」とかね、そこに憧れたりするのは何も変なことではない。
だからこそメディアは躍起になってキラキラした世界を見せようとしてきたのです。
例えば1980年代後半に生まれたトレンディドラマなんて最たるもので、リアルかファンタジーかで言えばファンタジーに近いんだけど、そうしたファンタジーを魅せるのもメディアのお値打ちのひとつではあるからね。

さて、何しろほんの一瞬しか見てなかったのでエラそうには言えないんだけど、今年7月期にフジテレビで放送された「真夏のシンデレラ」はトレンディドラマの現代版というか、設定自体は現代なんだけど話の展開やムードは限りなくトレンディドラマに寄せた作風、と話題になりました。
視聴率的には惨敗、TVerの視聴回数的には「良くもないけど悪くもない」程度だったらしいですが、現代を舞台にするのであればここまでトレンディドラマに寄せる必要はなかったと思うし、たぶん「古臭い」と思われたのもそこなんでしょう。

ただし、トレンディドラマに寄せるのではなく<キラキラ>の映像化に徹していれば、もう少し違った結果になったような気がする。
いやね、トレンディ=キラキラ、と考えれば、素直に<令和的>なトレンディを前面に押し出したっていうふうにしたら良かったのに、何故か<平成初期的>なっていうか、トレンディドラマを「トレンディ」と「ドラマ」というふうに捉えずに「トレンディドラマ」というひとつの単語として解釈してしまったんじゃないかと。

もしですが、如何にも令和的な<キラキラ>した世界を構築していれば、そこにガッチリハマる視聴者層は必ずいるはずで、しかも現今、何故かそういうドラマがないわけで、言い方を変えればマーケットがポコンと空いてるわけで、どんどん後続の作品が作られることになったんじゃないか。
どうしてもキラキラ=表層だけのアタマ空っぽみたいに思ってる輩もいるけど、ここで冒頭の友人の言葉を思い出して欲しい。

友人がInstagramの実態についてキラキラとは違うんじゃないかと感じたのは、結局Instagramのポストには「キラキラに見せようとしてるんだけどキラキラになってない」とか「あまりにもキラキラが表層的すぎて生活臭が透けて見えてる」のが多いからなんじゃないか。
つまりはね、とにかく令和的なキラキラを徹底的に突き詰めていけば、本当に時代に即したキラキラになっていれば、もう勝手に、キラキラの裏が透けて見える、結構奥深い作品になったと思うんですよね。

昨今はネットで異様なまでの恋愛要素嫌いが幅を効かせているけど、ま、恋愛だってキラキラ要素なんだしさ、ということはキラキラ好きと同じくらいキラキラ嫌いも多いのかもね。たしかにInstagramに異様な嫌悪感を抱く人も結構いるし、そんなもんかもしんないけど。







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