オトナじゃない人生
FirstUPDATE2023.9.22
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松本伊代の4枚目のシングル「オトナじゃないの」が発売されたのが1982年のことです。っていきなり松本伊代の話題から入るのもすごいな。

その21年前、弘田三枝子が「子供ぢゃないの」という楽曲を歌っており(カバーだけど)、作詞を担当した糸井重里はこの楽曲を意識して、というか逆張り、じゃないけど時代を鑑みて「背伸びして大人になりたい」弘田三枝子の楽曲とは真逆の「ガキンチョにしがみつきたい」心理を歌詞にしたと。
ちなみに「子供ぢゃないの」をリリースした当時、弘田三枝子は14歳。松本伊代が「オトナじゃないの」を出したのが17歳であり、ま、大人になりたい14歳と子供でいたい17歳、というね、だからどちらも思春期によくある心理なんですよ。

いやこれは、もしかしたら思春期に限った話ではないかもしれない。
大人になると誰しも「子供でいれたらどれだけ楽しいだろう」と夢想するもので、もちろん子供は子供なりにというか、相当不自由な立場で、押し並べて考えると辛いことの方が多いような気がする。
だからね、大人が思う「子供でいたい」というのは現実ではあり得ない空想上の子供なんですよ。カネも時間も自由に使えて、誰にも咎められることもなく、感情のままに行動しても大丈夫、みたいなね。
そういえば昔、友人からこんなことを言われたことがあります。

「アナタは働くのが嫌いなんじゃない。むしろ働くことは好きかもしれない。しかし時間を束縛されるのが嫌いなだけだ」

と。
実にアタシのことをよくわかっている発言で、働くこと=勉強、と置き換えたら、まさにアタシは「オトナになりたくない」人間だったのでしょう。
いやこれは過去形ではない。実際今も決まった時間に仕事に行くのは「可能であればやりたくない」ことであり、その結果フリーランスになったわけなんだけど、だからといって別に仕事は嫌いじゃないんですよ。というか仕事自体はどんな仕事であっても「わりと楽しい」と思えるタイプなんです。
ま、仕事、はね。勉強が楽しいと思ったことは一度もないけど。

そうはいっても、それこそ国会図書館に籠もって何かを調べるなんて大好きなのことでね、これも学校の勉強ではないってだけである種の勉強です。
もちろん趣味っちゃ趣味なんですよ。でも趣味かどうかはたいした問題ではない。それよりも「自分の意志で好んで国会図書館に行ってる」ってことの方が重要で、もし仮に趣味だったとしても「毎日朝9時から夕方5時まで国会図書館で調べものをしろ」とかなったら途端に嫌になるに決まってる。やってる時間は楽しいけど、時間に縛られるってのにそこはかとない窮屈さを感じるに決まってる、といった方がいいか。

大人になる、というのは「時間に縛られる窮屈さを許容出来るようになるか」なんじゃないか。
もちろん子供だって時間に縛られている。学校にも行かなきゃいけないし、遅くまで起きていると大人っつーか親がうるさい。
でも子供の時間に縛られるって全部他動的なんですよ。
それを大人は自分の意志で時間縛りをやんなきゃいけない。
よく「糸の切れた凧」という表現をしますが、当たり前のように子供の頃は大人に時間に縛られて、社会人になっても当たり前のように自分で時間を縛ってきた人間ほど、ふと、我に返ると言ったら変だけど、あれ?自分はいったい何のために生きているんだ?みたいな感情を持っちゃうと「糸の切れた凧」のように失踪したりするような。

アタシなんか日常的に「時間に縛られる窮屈さ」を感じてる人間だから、逆に糸の切れた凧にはならない。いや年がら年中糸の切れた凧状態というか。
それが良い事か悪い事かはともかく、もう、そういう人間なんだ、と覚悟して行きていかなきゃしょうがないのです。
これ、重要なのは<覚悟>であって<あきらめ>じゃないんですよ。

そういう人生を送っていこうと思えば、糸が繋がった凧状態の人よりも何百倍も苦労がセットで付いてくるからで、何で自分ばっかりこんな苦労を、なんて思っちゃいけない。やっぱり<覚悟>がないと生きていけない。何というか「オトナにならない人生」という<覚悟>をね。
もうこれは人間としての最低限なんですよ。
覚悟もないまま子供でいよう、なんて、そんなムシの良い話はない。<あきらめ>だったり<開き直り>だったり、はたまた「こうなったのは誰某が悪い!」みたいに責任をどっかに押し付けようとしたり、そんな美味い話があるか。

メチャクチャなのは自分でもわかってるけど、覚悟がないなら大人になれよ。もし大人になりたくないし覚悟も持つ気がないとか、それはもう大人か子供か以前の話で、ただのワガママなだけだから。







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