言いたかないけど、それ、カッコ悪いよ
FirstUPDATE2023.8.31
@Scribble #Scribble2023 #音楽 #YouTube #エンターテイメント #テレビ ヒットスタジオ タイマーズ 忌野清志郎 FM東京罵倒事件 幼稚 矮小化 単ページ

こないだね、何となく気が向いて、YouTubeにあった放送禁止歌をまとめた映像を見たんですがね。

あえてリンクは貼らないけど、すべてが放送禁止歌ってわけではなく、放送要注意曲や放送自体はされたものの物議を醸した楽曲も映像に含まれてて。
その中にタイマーズの「ヒットスタジオ」での、いわゆる「FM東京罵倒事件」も入ってて、もう、メチャクチャ久しぶりに見たんだけど、とにかく何とも言えない気持ちになった。
はっきりは憶えてないけど、この回のヒットスタジオはリアルタイムで見てたと思う。その時はとにかく、すべてが唐突すぎて「??ナンノコッチャ??」てな感想だったはずです。
で、それから実に30年以上ぶりにその映像を見た感想は

「どうでもいいけど、とにかくカッコ悪いことしてんな」

と。
アタシはね、忌野清志郎自体には何の悪感情もなかったし、RCサクセション時代の「スローバラード」とかタイマーズで言っても「デイドリームビリーバー」は今でも好きな楽曲です。
ただこの件にかんしてはまったくいただけない。
正直これを見て「アナーキーだ」とか思っちゃうような人とは友達になれない。つかそれこそアナーキーの矮小化で、はっきり言えば、ただの私怨じゃん、と。私怨でぜんぜん関係ないテレビ局やスポンサーに迷惑をかけんなよと。

そもそもですが、いきなり「♪ FM東京ォ 腐ったラジオ~」と言われても、リアルタイムのアタシのようにまったく意味がわからないと思う。リアルタイムでさえ、そういう事件が世間を賑わせてたならともかく、忌野清志郎とFM東京がモメてたなんてヒットスタジオを見ている大半の視聴者は知らない。
つまりは大半の人がバックボーンを知らない状態であれを聴かされたわけで、エンターテイメントとしては0点も0点なんですよ。

いやね、百歩譲って、エンターテインメント性なんて無視する、その姿勢こそがロックだぜ!と言うなら、だったらテレビなんか出ずに小さい小屋で信者レベルのファンに囲まれた状態でマスターベーションすればいい。
ましてや、ただFM東京を罵倒するだけじゃなしに「オマ◯コ野郎」なんてワードを入れ込んでくるとかね、とにかくやってることが<幼稚>だわ、と。

これまで何度も書いてきたように、アタシはロックに何の興味もありません。
しかしこれだけ長い期間、人々を楽しませて来た音楽ジャンルということも重々わかっており、ロックミュージシャンやロック愛好家を蔑む気持ちは1ミリもないし、いや蔑むどころかむしろリスペクトしている。
だからこそ思うんですよ。ロックのスピリッツってこんな幼稚なものなのか?私怨で何の関係もないテレビ局で幼稚なワードを入れた罵倒歌詞を歌うのがロックなのかよと。それってロックスピリッツとかアナーキーの矮小化じゃねーの?と。

いやね、もし本当に、忌野清志郎が本気でFM東京に怒りを持ってたら、そういうことはおくびも出さずに「FM東京の番組で生放送で歌唱する」という形で出演を取り付けて、そこでこれを歌えば良かった。もしそうであるなら仮に経緯は知らなくても「FM東京の番組でFM東京を罵倒する歌を歌った」ってならギリギリエンターテイメントになるし、それならアタシも「アナーキーだな」と思ったと思う。
つかこんなことをして「コイツら、果てしなくカッコ悪いな」と思われるとは思わなかったんだろうか。

1970年代くらいに「テレビに出るミュージシャン=ダサい」「出ないミュージシャン=カッコいい」みたいな風潮がありました。
いやこれはテレビ云々ではなく「もっとも影響力の大きいメディアに背をそむけた」ミュージシャンって、その後もずっと、メディアとの付き合い方が下手なイメージがあって。
こないだの山下達郎の余計な発言とか最たるものだけど、若い頃にメディアに背をそむけた人のメディアとの距離感の取り方は、やっぱ、ちょっとバグってるところがあるような気がする。というか、そうしたミュージシャンが一番テレビを過大評価してたんじゃないかと。

何度も書いてるように、テレビってのはそんなにたいしたメディアじゃないんですよ。たしかに影響力はあるんだけど、向き不向きが極端で向いてない人はとことん向いてない。
「向いてないから距離を取る」というのは一見正しいみたいだけど、何というか、若いうちから向き不向きを見極めが出来た、いわば達観した側の人間よりも、とりあえず、向いてないとわかっていながらも悪戦苦闘して揉まれた人の方が強い、というよりはある程度の「耐性が出来る」ような気がする。
で、耐性があるから、いち芸能人として、その人にとっての最適な距離の取り方が出来るんじゃないかとね。

ロックミュージシャンだろうがなんだろうが、芸能界に身を置く以上、所詮は芸能人なんですよ。もっと言うなら河原乞食と言ってもいい。
つまりね、別にロックってのは治外法権のパスポートでも何でもない。どれだけの怒りがあろうが、百歩譲って社会的通念は置いといたとしても、周りに迷惑をかけても許されるなんてあり得ないんです。
しかもです。忌野清志郎の場合、エンターテインメントにすらなってなかったんだから、完全に<芸能>としては失格ですし、反体制と言えばカッコいいけど、彼らはヒットスタジオのような人気番組に出てるわけで、見方を変えればどこか体制側におもねっているというか、結局はテレビというメディアの力を借りているということになる。
それは要するに、良い悪いの話じゃなくて、ただたんにカッコ悪いってことだよね。

本当は冒頭に書いたYouTube動画で含まれていた桑田佳祐の方が「メディアに大々的に乗っかりながらも、その姿勢は終始一貫している」って方がよほど<芸能>だと思うわけで、その対比で書くつもりだったんだけど、まァ、もういいや。長くなっちゃったし。







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