えと、今から20年ほど前の話というのを了解して読んでいただきたいのですが、とにかくアタシがサラリーマンをやってた頃の話です。
その頃、広告代理店に勤務していたのですが、まァ、いろいろとね、会社の備品は必要となるわけで。
もちろんそれらは経費で落ちます。逆に言えば上司と経理が了解してくれないと備品も買えない。だからその備品が絶対に必要なものであるという証明を出さなきゃいけない。
これは今も同じだと思うのですが、だからと言ってメチャクチャがんじがらめレベルで厳しいわけじゃなかった。もちろん高額なものはその限りではないんだけど、せいぜい5マン以内のものであれば「最低3社から相見積をとって」とかはしなくても大丈夫だった。ま、ウチの会社はね。
となると「どこで購入するか」はその担当者に委ねられることになる。
そこで軽く問題になったのが「ポイントをどうするか」でした。
それこそヨドバシカメラとかで備品を買えば10%のポイントが付くわけですが、ポイントを会社のものにするのか、それとも個人のポイントにするか、です。
最初は会社としてポイントカードを作るという話になってたんだけど、上司がそれを止めた。
「そこまで厳密にやる必要はない。ポイントは購入した人間個人のポイントにすればいい」
と。んで社長にも掛け合って了承を得ていました。
これは今考えても上司の英断だったと思う。
実際、ポイントが横領にあたるのかはわからない。そんでもって「正しい」かもわからない。
ただ、こうすることで、会社の備品を購入するためにわざわざ買い物に行くという、ただ面倒なだけな仕事を社員が喜んで行くようになったのは事実です。
面倒だけど何か<オマケ>がつく、とかって、人間、やっぱ、メチャクチャ嬉しいのですよ。
ポイントなんか最初から無き物として考えれば別に会社が損してるわけじゃないし、その程度は社員のモチベーションアップの施策として固持する、それはやはり素晴らしいように思う。
というかね、組織って基本的には10のうち8でやりくりするものだと思う。つまりは<2>は見ようによってはただの無駄でいい、と。
しかしその<2>の無駄が社員のモチベーションだったり余裕を生み出し、いざという時の余力につながる。
要するにね、無駄を切り詰めるなんて、本当に組織がギリギリの状態までやるべきじゃないんですよ。
でも、一部のアホのコンサルは「2割も無駄がある!」と騒いで改革を迫る。結果、社員は疲弊する。
しかも、それでも業績が回復しなければ無駄ではないところまでコストカットを求めだして不祥事を起こす。
とにかくこの手の質の悪いコンサルが多すぎるというか、質の悪いコンサルにまんまと騙される経営者が多すぎるのが問題なんです。
業績が悪いのは無駄があるからじゃない。断じてない。利益が上がらないからです。
メチャクチャ極端に言えば、ひどく杜撰な経営でもちゃんと利益が出ていれば、本当はそれでいいんですよ。もしかしたら利益が出ている最大の理由はその杜撰さ=ユルさにあるのかもしれないし。
よく某掲示板では「金持ちほどケチ」とか言う輩がいますが、あんなの大嘘ですからね。
いやこれが「金持ちほど考えてカネを使う」とかならわかる。でもたんなるケチがカネを儲けられるわけがない。
もし生活が質素だとしても、それはあまりカネがなかった頃の名残りというか金銭感覚が変わってないだけの話で、使わなきゃいけないところは惜しげもなく使うからこそカネが増えるのです。
いやさ、もしケチが金持ちになれるならアタシなんかとっくに金持ちになってるよ。
アタシはケチではないけど振る袖がないので使えない。つまりカネを使えないのでカネが増えない。それだけです。
実際、もうちょっと羽振りが良くてカネを使ってた時の方がはるかにカネが入ってきてた。何でかわかんないけど、そういうもんなんだ、と思うしかなかったわけで。
とまあ、らしくなく経済っぽい話を書いてきたのですが、本当はそれはどうでもいいんですよ。
いやね、そもそも<無駄>ってなんなんだ?と思う。つか間違いなく何が無駄で何が無駄でないかなんて人によってというか価値観によってまったく違うだろ、と。
それこそ海外旅行なんて「今はGoogleEarthでもなんでもあるのに、そんなキエモノにン十マン使う神経がわからない」とかなんとでも言えるし、<無駄>だと思うのも一定の理解は出来るんですよ。
でもそれはソイツの価値観であって世の中の人間全員に当てはまるわけじゃない。もちろん当てはまったか当てはまらなかったかでバカかカシコか決まるわけでもない。
つまりは無駄かどうかなんて匙加減なんですよ。そんな「取りようでどうとでも取れる」ものに血眼になる方がどうかしてるし、もっと言えば無駄の何が悪いのか、と思う。
そんなこと言い出したら、もう生きてること自体が無駄ですよ。そんなに無駄が嫌なら、そこから先は言わなくてもわかりますよね。