PCエンジンのおかげかどうかはさておき
FirstUPDATE2023.7.29
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何だか「PCエンジンのおかげでNECのパソコンが売れた」というトンデモツイートが話題になってるみたいだけど、たしかに「PCエンジンのおかげ」はトンデモだとしても、こと<シェア>の話になると結構難しいと思うんですよ。

アタシのように「8ビットマイコン御三家」を記憶されてる方には「いやいやいや、PCエンジン発売前の時点でNEC製パソコンは大人気だったよ」と思ってしまいがちなのですが、注目すべきは「御三家」ってところです。
この「御三家」とはNECPC-8801シリーズ、富士通FM-7シリーズ、シャープX1シリーズ、ですが、これを見るだけで「ダントツでNECがシェアを奪っていたわけではない」というのがわかります。
もちろんこの当時に発売されていたのは御三家だけではなく、NECだけでもPC-6001シリーズやPC-9801シリーズ、シャープならMZシリーズ、さらにはMSXが各社から発売されていたわけで。

1985年くらいの、あくまで感覚なシェアで言えば、NEC(全シリーズ合わせて)=3.5、シャープ=2.5(X1、MZ合わせて)、富士通=2、MSX=2、くらいの感じだったと思う。つまりNECのマイコン(パソコン)シェアは、少なくとも<寡占>ではない。
ところがわずか2年ほどで8ビットホビーマイコンが急速に衰退し、NECのPC-9801シリーズが主役に躍り出たんです。
ここで奇跡的な偶然が起こる。
8ビットホビーマイコンが市場で力を失ったのがいつかは諸説あると思いますが、ほぼそのタイミングと言える1987年にPCエンジンが発売された。そしてこれまた偶然にも、PC-9801シリーズの寡占が確定的になったこの年、PC-9801互換機がエプソンから発売されているのです。

正直、1985年頃と1988年以降でNECのシェアがどれだけ伸長したかはわからない。しかし1985年頃の「御三家時代」と1988年以降の「PC-9801一強時代」なら、そりゃNECのシェアは大きく伸びたと思うんです。
要するに、たまたまPCエンジンが発売されたタイミングくらいからPC-9801一強時代に入ったのですが、ただたんにデータだけを見るとまるで「PCエンジンが発売されて、それにつられるようにパソコンも売れた」というふうに見えてしまう、という。

こうなるとPCエンジンの発売とNECパソコンか売れたことの関連性を<数字を用いて>具体的に語るのは非常に難しい。つかこれは状況証拠は山のようにあるけど物的証拠が何もない事件の裁判に似ている。
しかも、いわば一審で「PCエンジンのおかげで」云々が認められた状態からスタートしているわけで、これを覆すためには「話を根幹からひっくり返せる」物的証拠が、それこそ事件で言えばDNA鑑定のようなものが必要なんです。

ところが、PCエンジンのおかげ云々にたいしてみな(ま、アタシを含めてですが)、トンデモトンデモというばかりで、誰も具体的な証拠を提示出来ていない。
この場合、開発者が、とかね、誰がいったかは関係ないんですよ。PCエンジンの開発者が何と言おうが物的証拠がない限り、裁判で言えば差し戻しにならない。
たしかに答えは「偶然が重なっただけ」なんですよ。でもこれは「容疑者はたまたま偶然犯行現場に居合わせただけで、事件とはまったく無関係」と言い張ってるようなもので、それを状況証拠だけで固めて覆すのは無理です。

というか昔のマイコンマニアの人って、どうもアグレッシブ(喧嘩腰)な人が多いなぁ。みんな、間違いを見つけると「それ違うよ」と教えてあげようという気などさらさらなくて、まず間違いへの<怒り>が先にきて、結局ケンカになってしまってる。
というか某ゲームの歴史本の時もそうだったけど、某岩崎さんも攻撃的すぎるわ。指摘の初っ端から「デタラメ」なんてワード使ったら相手も言い返してくるよ。

PCエンジン云々と言い出した人は「PCエンジンでNECパソコンが普及したという事実を絶対に認めたくない自称古参オタク」と吹聴してるみたいだけど、まァ、そう言いたくなる気持ちもわかる。だって誰も「覆す物的証拠」を提示出来てないもん。そりゃ変なオタクに因縁つけられたと思っちゃうわ。

マジでさぁ、間違えてる人にたいして「違うやろオラ!」とか、自分が上の立場だと自認する人が一番やっちゃいけないことなんじゃないかねぇ。







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