昨日で東京に引っ越してきて半月が経ったのですが、まァ、いろいろあった。でもこの<いろいろ>はいい意味での<いろいろ>で、じゃあ引っ越す前の2週間ほど、つまり旧居住地である神戸での<いろいろ>は完全に悪い意味での<いろいろ>だったわけで。
正直言えば、あまりにも辛い記憶すぎて、思い出すのも忌々しいのですが、何とか書いていきます。
肉体的にもメンタル的にも悪い意味での<いろいろ>を何とか乗り越えることが出来たのは「これが最後」という気持ちがあったからで、とにかく「もうこれが最後の長距離引っ越し」と思いながら限界を越えてやった。ま、限界を越えちゃったんで腰をやっちゃったんだけど。
「最後の長距離引っ越し」ってことは同時に「二度と神戸に住むつもりはない」ということも意味します。
いやこれは周りにも言ってることなんだけど、もし、今後、神戸に拠点を移さなきゃいけないような事態になったら、アタシは躊躇なく自死を選ぶ。つまりね、東京内、もしくは東京近郊への引っ越しは今後あると思うけど(いやそりゃ今の部屋にずっと住もうとはならないよ)、神戸が居住地になる可能性は完全にゼロです。
そういう気持ちがあったから、引っ越しで時間がない中、神戸市立中央図書館に何度も足を運んで、調べておきたいことを調べたし、どうしても一度は行っておきたいスポットにも行こうと思った。
本当は最後に、もう一度甲子園に行きたかったんだけど、チケットも取れないし、さすがに甲子園に行くとなったら半日潰れるので断念した。まァ神戸に居住することはなくなるだけで帰省とかは普通にするつもりなのでね、甲子園なら帰省の時でも出来るな、と。
もうひとつ、どうしても行っておかなきゃいけないと思ったのがHAT神戸にある「人と防災未来センター」です。
ここも帰省中に行くって感じでもいいんですよ普通なら。でもアタシは「神戸という<街>」に区切りをつけたかった。いや区切りと言うよりも<カタをつける>という言い方の方が正確か。神戸にカタをつけるとなると、やはり、あの震災へのカタをつけなきゃいけないし、となると帰省中ではなく神戸に居住している状態の時に行っておかなきゃな、と。
まず、入場して見せられるのは多面スクリーンを使った1.17の再現映像で、スタンディングだし地面が揺れるわけではないんだけど、光の演出なんかもあってね、ま、簡易的4DXに近い。
これがかなり良く出来てまして、たしか7分ほどの短い映像なんですが、特撮を使った映像が見事すぎて気分が悪くなる人もかなりいるようです。
この映像の監督は平成ゴジラシリーズで辣腕を揮った川北紘一。つまりノリは完全に東宝特撮で、いくら特撮に興味がないアタシでもこの微妙な東宝ノリは純粋に娯楽として楽しめました。
でもね、アタシはこういうのこそ山崎貴がやればいいと思う。
そういや次のゴジラは山崎貴がやるみたいだけど、特報映像を見る限り悪くない。
いやこの特報を見てつくづく思った。
もうアタシも何度山崎貴をクサすことを書いたかわからないくらいクサしてきましたが、実は「円谷英二の後継」と考えたらわりとしっくりくる。ま、こんなこと書いたら円谷ファンに怒られるけど。
山崎貴の最大の欠点は「物語を構築する能力が極端に欠如してる」ところで、逆に言えば監督ではなく特技監督に特化したような、ただただ映像で魅せるモノを作らせたら話が変わると思う。
実際、「ゴジラ-1.0」の特報映像が素晴らしいのは、特報だから当たり前だけど「物語が入ってない」からで、もし「ゴジラ-1.0」が、極端に言えば全編短いセリフしかないような、ゴジラがただたんに暴れまわるような内容であれば面白くなる可能性はある。
現実問題、さすがに長編映画でそれは難しいのですが、じゃあ「人と防災未来センター」で流されるような短い映像なら、さらにすごいモノをこしらえられる可能性があると思うんですよ。
話が逸れすぎたので元に戻します。
次が復興をテーマにした映像ゾーンなのですが、1.17再現映像ゾーンと復興映像ゾーンの間が「震災直後の神戸の再現セット」になっており、当時のものを使ったりしてものすごく良く出来ていた。
でもこれはもったいないよ。復興映像の開始時間があるから足早に進まなきゃいけないし、何より小さすぎる。「人と防災未来センター」のスペース自体は広いんだから、もっと大きく作ってこれを目玉にするくらいでないと。
復興映像の方は当然のことながら当時の映像を使っており、それなりに良く出来てはいたけど、この手のドキュメンタリーはテレビでもよくやってるのでね。
ひとつ階を降りるとパソコンで検索しながら当時の細かい状況を把握出来るってなエリアなのですが、あいにく時間がなくてササッと見て回る程度になってしまいました。
丹念に見ていけばもっと面白がれたのかもしれませんが、資料はね、それこそ神戸市立中央図書館とかに任せて、ここは震災をリアルタイムでは知らない世代に<体験>させることに特化させた方が良かったように思う。
これはあくまでアタシの考えですが、こういう施設って「衝撃全振り」の方がいいんじゃないかね。
リアルタイムで記憶されている方も、そしてリアルタイムでは知らない世代も、震災を再体験させるくらいの感じで、館外に出たらちょっと気分が悪くなってるようにして欲しい。でないと、いくら資料を提示されても、そこに<体験>が伴ってないと次世代へのバトンタッチにならないと思うんです。
当時のものを使ってなくてもいいから、再現セットゾーンをもっともっと拡充してね、それこそ東宝特撮チームに協力をあおいで、フロアまるまる「震災直後の神戸」になってたら、と思う。
そうは言っても「株式会社神戸市」なんて遠い過去の話。現今、逆立ちしてもそんな予算はないんだろうけどさ。