一堂零ってやっぱ超天才だろ
FirstUPDATE2023.6.27
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こないだ書いたことに続きっつーか、もう少しちゃんと書きたいと思いまして。

「奇面組」(3年奇面組、ハイスクール!奇面組)の作者である新沢基栄が徹底的にエロを排除していた、というのは今ではわりと有名です。
何しろアニメスタッフにパンチラ禁止令まで出したってんだから徹底しており、そのせいで「スケベ」という設定だった出瀬潔や「オカマ」設定の物星大をほとんど活躍されられていませんでした。
やっぱね、スケベとかオカマって多少なりともエロ要素がないとギャグが作れないと思うわけで、奇面組5人のうち2人を<死にキャラ>にしてでもエロを排除したのはすごい。

何でそこまでエロを排除したのか、もちろん単純に下ネタが嫌いだったのかもしれないけど、とくに初期の「奇面組」はあきらかに「平凡と個性的」がテーマになっており、そのテーマは若干薄くなりながらも最後まで貫き通されていました。
そうなるとね、たしかにエロってちょっと邪魔なんですよ。エロってどれだけフェティシズムを扱っても<個性的>ってことにはなりづらく、スケベやオカマも並大抵のスケベや並大抵のオカマではただの平凡ってことになってしまうわけで、でも少年誌で並大抵を超えるエロなんて不可能ですからね。だったら、ま、ない方がいいわな。

さて、先ほど「初期の奇面組は平凡と個性的というのがテーマだった」みたいに書きましたが、最後の最後まで<個性>を突き詰めるという姿勢を崩さなかったのは主人公である一堂零だけです。
このテーマは実に深い。「平凡であることを嫌う」というのはそれこそ厨ニ的というか若かりし頃には誰でも通る道だと思うけど、一堂零はそれを哲学的にまで突き詰めて個性的であろうとしたわけです。
これね、正直、相当知能指数が高くないと出来ないっつーか考えも及ばないことだと思うんですよ。最近アタシはよく「アタマがヨイとは何なのか」みたいなネタを書いてるけど、むしろ勉強とは関係のないところでこそアタマのヨサが如実にわかるような気がする。

一堂零はそういう意味で早熟であり、超天才的とも言えるんです。
たしかに落第を繰り返すほど成績は悪いし、実際奇面組内で問題を出し合ってボケた解答ばかりするシーンもあったりする。
でもね、一堂零が学校的にというかテスト的な意味での正解を導き出すことなんて容易いことだったんじゃないか。それよりも本当の正解から如何に飛躍した答えを出せるか、そして飛躍した解答の中にこそ<真理>があるのではないか、みたいに見えるんです。

バカっていうのは自分がハダカになることなんだよ。世の中のいろんな常識を無視して、純粋な自分だけのものの見方や生き方を押し通すことなんだよ。
だから、バカだからこそ語れる真実っていっぱいあるんだ。


ただバカっつったってホントのバカじゃダメなんだからな。知性とパイオニア精神にあふれた バカになんなきゃいけないの。リッパなバカになるのは大変なんだ。だから、バカになる自信がなかったらごく普通のリコウな人でいたほうがいい。


どちらも赤塚不二夫の言葉ですが、すべて、キレイに一堂零に当てはまる。
テストで満点を取るなんて簡単なこと、それよりも正解不正解にとらわれない自由な発想をどれだけ出来るか、そして実際にそれを答案用紙に書き込むことが出来るかどうかで人間としての価値が決まる、という赤塚不二夫に似た思想があったとしか思えないんです。

実は超天才なんだけど凡人を装っていた漫画のキャラクターと言えば「エスパー魔美」の高畑くんもそうだけど、高畑くんは「頑張って勉強してるクラスメイトに悪いから」という理由で「わざと適当に間違える」みたいなことをしていたわけです。
つまり高畑くんの目指すところは<平凡>であり、一堂零の目指すところは<個性的>です。
目指すところが違うのは、もうたんに性格の問題で、どちらの考えもとても中学生→高校生の発想とは思えないほどです。

一堂零の話に戻しますが、一堂零は「奇面組」と言いながら、そしてたしかに眉のない三白眼でありながら相当なイケメンで、劇中でも「実はカッコいい」というふうに語られています。さらに言えば身体能力もきわめて高い。
そうなるとモテないわけがなく、ギャップを含めてジャンプのキャラでも非常に珍しい完璧超人なんですよ。
そしてヒロインに「平凡は嫌、個性的であることが素晴らしい」と考える唯を配置したのもすごい。つかこういうヒロイン像って実はかなり画期的なんですよ。

だから、ま、独自解釈とはいえ一堂零のキャラ分析は出来るんだけど、何で一堂零の声が千葉繁だったんだ。そこが一番わからない。
合ってるかどうかで言えば、間違いなく合ってるんですよ。でも「主役はやりたくない」と常々公言し、「うる星やつら」のメガネなど何故かメガネをかけてる役が多かった千葉繁を一堂零に、と考えたスタッフはタダモノではない。

つかこの頃って「それ、絶対違うだろ」みたいなキャスティングなのに、実際やったらハマりまくったとか結構あるのよね。
もしかしたら近年、そこが一番退化したところかも、と思ってみたり。







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