HMDの視野角、別の意味で
FirstUPDATE2023.6.6
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念を押しておきますが、あくまで<別の意味で>ですから。けして真正面からHMDの視野角について書くわけではない、と。

いやぁ、最近、最近じゃねーな、HMDのことはずっと気になってて、4月末のサイト休止中に東京っつーか秋葉原に行った時に初めてPICO4を体験したんだけど、やっぱこれは面白いわと。
だからね、もうかれこれ、10年近くHMD、つまりVRやARを含むヘッドマウントディスプレイについてチェックしてるのですが、実際にHMDというかVRを使ってる人はみんな同じことを言ってるんですよ。

絶対、みんながHMDを使う未来がくる

と。
こういう発言を聞くたびに、いつも何とも言えない気持ちになる。
いやね、これからもっともっとHMDの性能が上がるのは間違いないし、もっともっといろんなことが出来るようになるとは思うんですよ。
それはそれとして、何で「みんなが使うのが当たり前になる」という話になるんだろ、と。それが疑問で。

例えばこれがAIなら、みんながみんな使う時代になるってのはわかるんですよ。
もっと正確に言えば、AIがなんたるか知らない人でも「知らない間に、気がついたら、いつの間にか使ってた、らしい」っていうふうになると思うから。
でもHMDはそうは絶対にならない。気づいたら、なんて、あんなもんを知らない間に装着してたら怖いわ。

おそらく「みんながみんな」というのは、おそらく今のスマホみたいなのをイメージしてると思うんだけど、アタシから言わせれば、スマホの普及率は奇跡レベルなんですよ。
もう、21世紀に入ったくらいから、いろんなことが細分化しすぎている。というか今、それこそ「みんながみんな」と思えるものは20世紀の時点で前身と言えるようなものが「みんながみんな」レベルで普及してたものなんですよ。
例えばパソコンで言えば、いやパソコンでさえも現今「みんながみんな」にはなってない。これは20世紀末の時点で「みんながみんな」レベルまで持っていけなかったからで、実際「パソコンを使えない若者」がニュースになることも多いですし。

HMDってのは完全な「新規カテゴリ」なんですよ。
これはスマートウォッチと同じで、スマートウォッチも「みんながみんな」にはほど遠い。でも「新規カテゴリの商品」と考えたら現状でも十分すぎるくらい売れたと思うんですよ。
もう一度言いますが、スマホはたしかに21世紀に登場して奇跡レベルで普及したけど、あれも前身となる携帯電話(今で言えばガラケー)は20世紀末の段階で「みんながみんな」に限りなく近づいていた。
アタシは20世紀初頭、つまり2000年代前半のPDA事情を憶えていますが、もし携帯電話が存在せずPDAしかなかったらスマホは今のようになってないと断言出来ます。

残念ながらHMDには前身がない。普通のディスプレイとHMDは違いすぎて前身とはとても言えない。ましてやHMDはスタンドアロン製品もあるとはいえポテンシャルを発揮させたいと思えばパソコンとの接続が前提になるわけで、パソコンでさえ「みんながみんな」ではないのに、パソコンの周辺機器とも言えるHMDが「みんながみんな」になるわけがないのです。

アタシはね、そんな「みんながみんな」使う未来なんか夢想しない方がより実利的だと思う。
そんなことより、とにかく「最低限、ちゃんと商売になる」と思えるほどになれるかどうか、そっちのがよほど重要だと思うんですよ。
同じく新規カテゴリに近い電子ペーパー端末はもはや風前の灯です。風前の灯は言い過ぎかもしれないけど、かつて電子ペーパー端末に参入していたメーカーがどんどん撤退していることを考えたらあきらかに市場が衰退してると言える。

だからね、HMDは電子ペーパー端末と同じ轍を踏んじゃいけないし、「みんながみんな」なんて夢みたいなことを言ってないで「電子ペーパー端末と同じ道を辿らない」というのを一番に考えないといけないんじゃないですかね。







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