貯金を使って貯金を作る
FirstUPDATE2023.5.29
@Scribble #Scribble2023 #プロ野球2023年 阪神タイガース 貯金 交流戦 岡田彰布 原口文仁 糸原健斗 前川右京 8:2の法則 余裕 #ポジティブ 単ページ

というわけで毎週月曜日は野球ネタの日なんですが、本当に、どうしちゃったんでしょうか。いやいや阪神がですよ。

もちろん単純に強いのは強いんだけど、アタシはね、常々野球には「8:2の法則」があると思ってて。
よく「どんな弱いチームでも3割の確率で勝てる」と言いますが、実際、日本のプロ野球においてシーズンで、つまり100試合以上のリーグ戦をやって勝率3割を切ったケースは9例しかない。

これを「9例<しか>ない」と捉えるのか「9例<も>ある」と捉えるのかは非常に難しいんだけど、それでも勝率2割を割ったケースは一例もない。
ということは「どんな弱いチームでも2割の確率で勝てる」のは絶対なのかもしれない。
一方、年間最高勝率は、というと7割5分で、いまだかつて勝率8割のチームは存在しない。

つまりはです。どれだけ弱いチームでも勝率2割を割る勢いで負け続けている場合は下振れであり、どれだけ強いチームでも8割以上の勝率のチームは上振れということではないかと。
ここ16試合の阪神は15勝1敗。要するに9割を超えているわけで、完全な上振れでしかない。
だからこそ、これだけ勝ってるのは実力だけではないわけで、ま、いわば「降って湧いたような貯金」とも言えるんですよ。

この降って湧いた貯金の数をどう使うか、いや使う必要はないんだけど、今日の公示で原口、糸原、長坂の出場選手登録が抹消されました。
そして、まだ正式に公示されたわけではないけど、新聞紙上では前川、小野寺、中川の昇格が決まってると。
この記事を読んでアタシは「ああ、貯金を使って貯金を作ろうとしてるな」と感じた。

この場合、最初の、つまり<使う>方の貯金ってのは勝敗の貯金です。
しかし後の方の貯金とは「先を見据えたチーム力を強化する」という意味での貯金なんですよ。
これは個人に置き換えた方がわかりやすい。
本当に、降って湧いたようなカネが入ったとしてね、それをどう使うかは個人の考え方によります。
もちろんそれをそのまま銀行に預ける人もいるだろうし、パッと使ってしまう人もいる。そして中には「自分自身の能力を向上させるために」、つまり先々を見据えて、例えば資格を取るとか、英会話を習うとか、そういうことに使う人もいるわけで。

岡田彰布は監督就任後、常々「開幕からしばらくは5割でいい」と言っていましたが、17まで膨れ上がった貯金を「後生大事に取っておこう」という気はさらさらないんだな、と今回の公示で感じた。
それよりも、せっかく勝敗的な意味での貯金があるのだから、この貯金を使って「先々のチーム力強化」に充てようとしているのではないか。そしてそれは必ず<地力>という貯金になると。

もちろんこれは前川や中川といった高卒2年目の若手のためだけじゃない。もちろん彼らが<地力>への貯金に、という目論見はあるのは間違いないとして、実はもうひとつ目的を感じる。
あまり出番がなく、また調子の悪い原口と糸原にファームの試合に出てもらって調整させる。彼らの力は後半に差し掛かって以降、終盤に向かう毎に重要になってくるのは間違いない。だから交流戦開始から4カード中3カードがビジター(=交流戦なのでDHが使える=代打の出番があまりない)このタイミングで二軍行きを決めたのでしょう。

これは正直恐れ入った。何というか完璧すぎる。ここまですべて算盤ずくの運用は今まで見たことがありません。
つまり「行き当たりばったり」とか「応急処置」とか「ダメ元」みたいなのをぜんぜん感じないわけで、これはファンとしたら、やっぱり納得しやすいんですよ。
変な話、交流戦で多少貯金が減っても何とも思わない。だって別の意味での貯金を目論んでるんだから。仮に別の意味での貯金が出来なかったように見えても、それこそ前川や中川がまるで通用しなかったとしても、意図がはっきりしてるので、腹の立ちようがないっつーか。

いや実際、今年は本当にゆっくり試合を見てる。負けそうになっても、実際に負けても、まあまあ、負けも必要だしな、という感じで見てますからね。
これはすごいわ。つか今年の阪神は楽しいわ!







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