東映の前川陽子、タツノコプロの嶋崎由理
FirstUPDATE2023.5.20
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あまりにも告知ばっかり続くのもアレなので、一回ね、普段はこんな感じで書いてます、みたいなネタを挟んでおきます。

思えば前川陽子のことはサイトを始めた直後から何度も書いてきました。
かつて「弘田三枝子に近しいところを感じる」というようなことも書いたのですが、凌駕していると思えるところもあって、声にパンチがあって艷やかなのは共通しているんだけど、前川陽子の場合、弘田三枝子よりもさらにキュートで、「おんぶおばけ」の動物の擬声をあれほどキュートに歌い上げられる、とか弘田三枝子でも無理でしょう。


というかね、前川陽子って<品>があるんですよ。
だから「キューティーハニー」とか「魔女っ子メグちゃん」のようなセクシーな歌詞を歌ってもイヤラシさがまったくない。結局イヤラシくなるかどうかって下品かどうかとも言い換えられると思うわけで、下品さがないからセックスまでは連想出来ないんですよ。
でも声の艷やかさはあるからセクシーまではいく。つまりセクシー以上セックス未満になってる。このバランスは驚異的です。


ここまで絶妙なバランスを保った「まんがのうた」を歌う女性ヴォーカリストは非常に珍しく、正直突出してると思ってた。
逆に言えば、前川陽子以外の「まんがのうた」女性ヴォーカリストを一段低く見ていた、ということになります。
例えば嶋崎由理で言えば「吉田よしみと前川陽子の中間のような存在」とは思っていたけど、それ以上の興味を持つことはなかったんです。

吉田よしみ、とは「いなかっぺ大将」の「大ちゃん数え唄」を歌った、とか書くと空々しいか。ま、吉田よしみ=現在の天童よしみです。
面倒だからここからは天童よしみと書くけど、天童よしみは子供のど自慢荒らしと言われた天才ヴォーカリストで「大ちゃん数え唄」を歌ったのは若干15歳。年齢も驚きですが、その歌唱力はさらに驚異的で、とても少女の歌唱とは思えない。上手い下手を超えた完成されたヴォーカルです。



嶋崎由理は天童よしみより2歳下ってことになるのですがデビューは天童よしみよりも早く、デビューは何と13歳の時。とくにデビューの翌年の14歳の時に吹き込んだ「ハクション大魔王」の主題歌は現在も愛される名曲です。
つまりです。天童よしみと嶋崎由理は経歴もよく似ている。のど自慢からプロに転向、少女の頃に「まんがのうた」でデビュー、そして大人向けの(つまり「まんがのうた」ではない)歌手へ、という。

しかしヴォーカリストとして見た場合、嶋崎由理はどちらかというと前川陽子に近い。(ひいては弘田三枝子に近い)
違いがあるとするなら、前川陽子はどこまでも明るい。しっとりムードの「夜霧のハニー」も前川陽子の声の明るさが救いになっています。
一方、嶋崎由理には独特の哀愁があって「みなしごハッチ」のような哀感が必要な楽曲がハマる。

だからこそ大人向けの歌手への転向が上手くいったんだと思う。それは「Gメン75」の主題歌になりそこそこヒットした「面影」を聴けばよくわかる。


その点、前川陽子は良くも悪くも<品>がありすぎた。ま、あんまり使いたくないけど「健康的でありすぎた」ということか。
前川陽子が「ハクション大魔王」を歌うのは容易に想像出来るし、「みなしごハッチ」を歌うのも、まァギリギリ想像出来るけど、前川陽子が「面影」を歌う、というのはまったく想像が出来ない。
もし前川陽子が「面影」を歌ったらイメージがまったく変わるんじゃないか。荒んだ感じがまるでなく、もっともっと爽やかな印象の歌に聴こえるだろうな、とね。

本当は実質東映専属(実写版「忍者ハットリくん」の歌も歌ってるから東映<動画>には出来なかった)と、実質タツノコプロ専属の嶋崎由理、みたいな対比で書くつもりだったんだけど、長くなっちゃったし、もういいや。