オモシロクない話を
FirstUPDATE2023.3.18
@Scribble #Scribble2023 #笑い 単ページ 仕方話 喋り方 強弱 歌唱力 音痴 素人 場数 絶対音感

いやこれ、何気にメチャクチャ難しいことと思ってる、みたいな話でして。

別に「話術の達人」とまでは言えないけど、<間>や強弱をハッキリ付けることによって「面白い話を相手に面白いと感じさせることが出来る人」は、まァ、結構いたりします。
中には素人でありながら「ごく普通の、たわいないネタでも、この人が喋ると妙に可笑しくなる」なんて芸当が出来る人もいる。
これ、アタシからすればすごいな、とは思うけど、かと言って「プロレベル」とは思わないんですよ。

ひとつ例を挙げます。
とある知人の話なんですが、その知人の知人が「如何に面白くないか」という話をし出した。
この場合重要なのはその知人の「そのまた知人氏」が如何に面白くない人間かを伝えることでして、それが出来ないと「面白くなさが逆に面白い」というふうに持っていけないんです。
面白くないことで定評のある「そのまた知人氏」が具体的にどう面白くないか、とにかくとんでもなくつまらないダジャレばかり言うらしい。
ある日、タンスの取っ手がない、と騒いでいたらしいのですが、その取っ手が何故かタンスの引き出しから出てきた。
このタイミングで、そのまた知人氏お得意のダジャレが発動した、らしい。

「とっておきやな」

もう、アタシは爆笑してしまった。
いやもちろん、取っ手→とっておき、という果てしなくくだらないダジャレが面白かったわけじゃない。じゃあ何で爆笑したかと言うと、とにかく知人の「喋り」が異様に面白かったんです。
つまり知人は無意識に、本来面白くあっちゃいけない「そのまた知人氏」の喋りの再現を、抜群の<間>と強弱で面白くしてしまったわけで。
知人は

「そこでウケたらこの話は失敗」

と落ち込んでいましたが、早い話が「つまらなくしなきゃいけないところで、つい面白くしてしまったせいで、逆に話として面白くなくなった」ということになるわけで。
これが素人の限界だと思う。何というか、プロとは違うな、と。
プロならね、つまらない人物像をちゃんと描けるというか、つまらない人物の再現喋りはちゃんと「つまらない<間>と強弱」で出来るんですよ。

これ、もしかしたら歌唱力に例えた方がわかりやすいかもしれない。
メチャクチャ歌が上手い人っていうか、マジモンのプロって音痴の再現も上手いんですよ。何故なら外れた音を脳内で楽譜化して、再構築した楽譜に忠実に音を出せるから。
でも素人には難しい。絶対音感があれば可能かもしれないけど、そうじゃなければ「何となく音痴っぽいけど、ところどころメロディが原曲に合ってしまってる」みたいになるっつーか。

笑い話にしろ歌唱にしろ、やっぱ単純に技術だけじゃなくて修練ですよね。いや修練というよりも場数か。
もっと言えば「カネに直結しない人はカネに直結してる人に勝てない」ってことかもしれない。
もう、結局、最後は場数ですよ。となると自然と場数がハンパじゃないプロには勝てないってのも道理で。







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