マイコンソフトメーカーの上手い下手
FirstUPDATE2023.2.2
@Scribble #Scribble2023 @8bitマイコン #ゲーム @I/O 単ページ 撮影 広告

区切りがややこしいんだけど、エントリタイトルは「マイコン(時代の)ソフト(ウェア)メーカーの上手い下手」ですから。けしてマイコンソフト(電波新聞社のソフトのブランド)の話じゃありません。

1980年代に発売されたI/O誌の面白さについては何度か書いてますが、これも何度も言ってるように当時のI/Oの面白さの<核>は膨大な広告にあります。
マジでこれらを見れば当時のマイコン界隈の状況が<すべて>わかる。だから懐かしさが喚起されないわけがない、というか。
でもね、あんまりしつこく、I/Oの広告ページを見過ぎたせいで、いっこ、どうしても気になることが出てきたんです。

例えばソフトウェアメーカーのゲームの広告だったとしますわな。
当時は、極端に言えば「ゲーム性<<<<グラフィックの美しさ」というよう時代なので、当然キャッチコピーには「グラフィックの美しさ」を大々的に謳っているものが多いんですよ。
ところがね、肝心のゲーム画面の写真が小さい。
いや載ってないわけじゃないんですよ。もちろん開発中のは載ってなかったりするんだけど、絶賛発売中のものは普通に載ってる。でもマジで写真が小さいんです。

そりゃ1ページに多数のソフトを載せなきゃなんない、なんて場合はしょうがないんだけど、1ページにひとつのソフト、なんて場合であっても写真が小さい。どうしてもって場合はひとつの写真をデデーンって感じではなく、複数のゲーム画面を載せているケースが非常に多いんです。
いやいや、グラフィックが売りなんだったらゲーム画面をもっとデッカく載せろよ、と思うのは当たり前ですよね。

少々もったいをつけ過ぎました。
何故、ゲーム画面を小さくしか載せられないのか、それは「ゲーム画面を写真に収めるのが非常に難しかったから」です。
念押ししておくけど、この時代はまだ画面キャプチャなんてものは存在しない。となると、です。
ゲーム画面っつーかマイコンに映る映像を「静止画」という形にしようと思うなら、モニタをカメラで撮影するしかなかった。

これがシミュレーションゲームとかアドベンチャーゲームとかならまだいい。特別操作しない限り画面は動かない。しかしアクションゲームになると「走査線のことも気にしながらブレない写真を撮らなければならない」んですよ。
さらに言えば、これまた言うまでもないけど、当時はデジカメなんてあるわけがなく、その場で「写り」の確認が出来ない。現像してプリントが上がってくるまでどのように写ってるかわからなかったのです。

もしかしたら気の利いたメーカーは「撮影のためだけに」一時的に画面をフリーズさせる機能を入れてたかもしれないけど、悪く言えば粗製濫造の時代で、しかもひとりのプログラマーがイチからジュウまでやってることが多かったので「撮影のためのフリーズ機能?冗談言うな。ただでさえケツギリギリなのに」なんてこともあったでしょう。
これがメーカーじゃない、例えばマイコン雑誌の編集者ならもっと大変で、ファミコン雑誌なんか少しでもキレイな画像を誌面に載せるためにRGB出力のシャープC1を編集部が買い占めた、なんて噂もあったほどです。

ま、それはともかく、写真の上手い下手はソフトウェアメーカーによってバラバラで、酷いメーカーだと斜めってたり、台形になってたりする。何しろゲーム画面を映し出してるのはブラウン管のモニタなので、しかもまだこの頃は平面に近いブラウン管モニタもほとんどなかった時代なので、多少は歪むのはしょうがないけど、それでも、これ、正面から撮ったの?なんてのも散見出来る。
一方、上手いメーカーはRGBの<R>の発光、<G>の発光、<B>の発光がはっきり確認出来るレベルでくっきり撮影出来ているんだけど、まァ上手い、と言えるメーカーは全体の1割にも満たない。

ゲーム画面をデカく載せられない、じゃあどうするかっていうと、メインとなるビジュアルはたいていイメージイラストとか、イメージ写真(主役キャラのコスプレをさせたりしたの)とかでゴマかしている。
翻って現代は、というと、もうパッケージ販売自体がかなり減ったけど、今でもイメージイラストをパッケージに採用する、というケースが圧倒的に多いし、広告にしろパッケージにしろゲーム画面そのものを全面に使ったものとかほとんどありません。
今なら当然、普通にキャプチャも出来ればフリーズさせるのもわけないし、全面広告やパッケージに耐えられるくらいのグラフィックを実現出来ているのに、何故かやらない。

どうも、アタシは、これは<慣例>のような気がする。実際は知らないけど、広告やパッケージにゲーム画面を載せない、イメージイラストでやるのが基本、というのが浸透しすぎたので、無難に、となるとああなるんじゃないかと。
何だか眉唾の話ですが、こんなもんで。







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