ま、言うまでもなく「あれから28年」ってことは、つまりは阪神淡路大震災からってことなんですが、こういうのはね、年イチで絶対に振り返ってみるってのが重要なんですよ。
さて、昨日「BRIDGE はじまりは1995.1.17神戸」を見ました。
これが放送されたのは2019年だから今から3年前。リアルタイムでも見たのですが、まァ、震災の前日だし、もう一回見てみるかと。
メチャクチャ面白い、とかではないけど、細かいところで良く出来てるシーンが結構あってね、個人的には合格点をあげてもいいと思う。上からで申し訳ないけど。
細かいところ、と言ってもいろいろあるんだけど、個人的には開通後の松尾諭の「こんなもんやろ」という捨て台詞がメチャクチャ良かった。というか、あれが関西弁なんですよね。
関西弁については今までもかなり書いてきましたが、ああいうね、関西弁ならではの捨て台詞ってわりと「関西が舞台のフィクション」ではないがしろにされていて、あくまで個人としては(おそらくはアドリブで)森繁久彌が多用し、捨て台詞は森繁久彌の代名詞にもなりました。
しかしああいった捨て台詞を言いたくなる、言わずにはおれない、というのは森繁久彌が関西の血筋だと思うところで、正直森繁久彌は成人する前に関西から離れているので純粋関西人とは違う気もするんだけど、でも、どこか、ひとつ、となったら、やっぱり関西人ですよ。
話が逸れましたが、ドラマで捨て台詞を吐いた松尾諭は尼崎の出身なので、これはキレイな関西弁が喋れるのはわかる。
でも椎名桔平ですよ。ま、この人は三重の人なんですが、これも前に書いたけど、三重って「関西弁っぽい地域と尾張弁っぽい地域が混在」しているのです。
んで、仮に関西弁っぽい地域でも、正直純粋関西人が聞くと「わりとナマってる」ふうに聞こえるんだけど、椎名桔平は自然だったねぇ。しかも絶妙に「神戸弁」っぽいニュアンスが出てたし。
神戸弁ってね、もちろん大枠では関西弁なんだけど、やっぱり大阪弁とは違うんです。もう、どこがどう違うか、神戸で生まれ育ったアタシでも説明するのが難しい。
代表例としてはよく「知っとぉ?」というのが挙げられますが(標準語なら「知ってる?」、大阪弁なら「知っとる?」)、それだけじゃなくて、もう独特の神戸特有の言い回しみたいなのがあるんですよ。
個人的に驚いたのが「阪急電車」という映画での宮本信子で、いやぁ、これはマジで驚愕レベルでした。宮本信子自身は関西出身でもなんでもないのに、ちゃんと「関西弁」ではなく「神戸弁」で演じてたから。あれは純粋神戸人が聞いても一切文句の付けようがない神戸弁ですよ。
アタシは今までのエントリで、とくに2019年に神戸に居住するようになってから、相当辛辣に神戸のことを書いてきました。
嘘を書くサイトではないので改めて申しますが、神戸は今、地盤沈下の真っ最中です。全国でもトップレベル(ワーストレベル、か)の人口減少率という自慢にもならないことで争っている。
しつこく、震災前の神戸はともかく、今の神戸はダメだと書いてきたし、それは今も変わりない。
だけれども、例外、と書いちゃうとアレだけど、それでも神戸弁だけは、ああいいな、と思う。
神戸弁の良さは大阪弁や京言葉ともまたぜんぜん違って、個人的には京言葉や船場言葉よりも「おっとり」していると思う。そのわりには嫌味ったらしさがあんまりない。ま、その代わり微妙に「他人事」みたいなニュアンスはあるんだけど。
この方言がある限りは、神戸、は不滅です。マジでそう思う。
震災で何もかもなくなった?冗談じゃない。建物は潰れたし、亡くなった人もいっぱいおられるけど、言葉、はなくなってないよ。
言葉がなくならない限り、神戸はなくならない。どれだけ地盤沈下しても、またいつか、本当の意味で復興する。そう信じてますから。