え?大山って、あの阪神の大山だろ?どこがスーパースター?と思われるかもしれませんが、そう感じたものはしょうがないだろ、みたいな話を書きます。
さて、直後にはメチャクチャあっさりしか書かなかったのですが、アタシは今年の8月31日に、そう、夏休み最後の日ですよ。もう夏休みなんか関係なくなってン十年だけど、とにかくこの日に甲子園球場で行われた阪神対広島戦の観戦に行ってきたわけです。
もう、こんな何の変哲もない試合なんて誰も憶えてないだろうからスコアを書いておけば
阪神対広島20回戦(甲子園球場・阪神6勝12敗2分)
試合時間 3:30(開始18:00 終了21:30 ) 入場者 34,685人
広島東洋 0 0 1 0 4 0 0 0 0 5 8 0
阪 神 0 0 0 4 1 0 1 0 X 6 11 0
勝投手 浜地 ( 1勝2敗 )
敗投手 森浦 ( 1勝5敗 )
セーブ ケラー ( 3S )
本塁打 菊池涼 6号 ( 5回3点 伊藤将 )
ま、34,685人のうちのひとりがアタシだったってことですよ。だからなんだって話ですが
この試合、今年の阪神の試合には珍しい「点を取っては取られて」みたいな展開で、逆転に次ぐ逆転でかなり面白い試合だったのですが、とくに4回に飛び出した大山の逆転タイムリーツーベースヒットが印象深い。
というかね、この場面で大山を迎えた球場の雰囲気を感じたからこそ、アタシはこんな駄文を書こうと思ったわけでして。
今、阪神の野手で日本代表に入る可能性があるのは近本です。そして、たぶん本戦では漏れるだろうけど強化試合ではサトテルと中野も招集された一方、大山なんかカスリもしてない。
大山が打てなかった時のため息は他の選手と比べるとかなり大きい。またドラフト指名時のため息を憶えておられる方も多いでしょう。
だからよくわからない、というか他球団のファンからは勘違いされやすい。「大山ってそれなりに頑張っているのに、何で阪神ファンは大山にああ厳しいんだ。そんなに大山が嫌いなのか」と。
まァね、こういうことを<煽り>として言うや輩もいるからね。甲子園球場なんて底辺層の老人しかいない、とか。実際行ってみればよくわかるけど、甲子園の阪神戦ほど客層の片寄りがないイベントもない。まさに「老若男女子供満遍なく」って感じだから。
もちろん「阪神ファンは大山が嫌い」なんてあり得ない。というか阪神ファンから如何に大山が愛されているか、球場に行けばわかるはずです。
さて、ここで話が変わります。
1991年に行われた「植木等・ザ・コンサート~いろいろあるよいろいろね~」に行ったアタシは、ラスト間際にすごい体験をした。
終り近くで「ハイそれまでョ」のイントロが鳴りひびくと、客席のうしろのほうから、う、う、うー、という異様な唸り声のようなものがおこったのに驚かされた。(小林信彦著「喜劇人に花束を」)
これ、アタシが馳せ参じた大阪会場でも同じことが起こった。あまりにも異様な唸り声に思わず後ろを振り返ったのをはっきり記憶しています。
マジでね、さすがに「唸り声」までは行かないけど、あの試合のあの場面での大山がコールされて打席に入る瞬間、植木等のコンサートの「ハイそれまでョ」の時に似た、何とも言えない、観客の興奮がスタンドの後ろの方から雪崩のように押し寄せてくるのを感じたのです。
たぶん阪神の歴史上、もっとも人気があった選手は掛布だと思う。掛布の人気は阪神ファンに留まらず大量の「右投げ左打ち野手」を誕生させた。松井秀喜も阿部慎之助もだし、あのイチローでさえ子供の頃に掛布の真似をしたというし。
じゃあ、その次、となると、これはもしかしたら大山ではないか。
アタシだって田淵以降の選手は、岡田もバースも真弓も新庄も桧山も赤星も金本も今岡も鳥谷も、いろんな選手を見てきたし、今もサトテルや近本もいる。
でも大山個人の<ファン>と言うよりは、全阪神ファンがもっとも感情移入している選手は大山なんじゃないかと。
これはね、アタシからしたら、完全にスーパースターなんですよ。
たしかに成績的には歴代のミスタータイガースと比べるとあまりにも劣るけど、その愛され方や期待のされ方は間違いなくスーパースターの<それ>です。
成績が物足りなくても、日本代表にカスリもしなくても、でも、阪神ファンが一番に挙げる選手、それが大山なんですよ。