奇跡の24fpsという最適解
FirstUPDATE2022.12.13
@Scribble #Scribble2022 #映像 #映画 単ページ フレームレート 24fps プロトタイプ #本 #物理メディア

いやちょっと、近年にはないくらい素晴らしい記事を読んだので、それについて書きたいなと。


別にAV Watchをディスってるわけじゃないけど、AV Watchというサイトの趣旨からして、比重はどうしても「最新の技術」に偏るのは、もうしょうがないと思ってはいるんですよ。
でも、やっぱ、もうちょっと経緯っつーか「時代の積み重ね」を考慮して欲しいと思ってしまう。まァ、あくまでアタシがそう思ってるだけの話なんで勘弁してください。

しかし、先のリンクにある記事は違います。
書籍レベルで丹念に「何故フィルムは24fpsになったか、何故変革が起こらなかったのか、具体的にどのような変革が試みられていたか」を、実例を検証しながら記されており、これを読めば一発で「何故映画は24fpsなのか」が理解出来るはずです。(fps=フレームレート=1秒あたりのコマ数)
著者はフリーの映像クリエイターの方で、現在は大学や専門学校で教鞭をとられておられるようですが、まるで生徒に教えるが如くわかりやすく説明してくれてますので、よろしければ読んでみてください。

で、です。とにかく先の記事にもあるように、映画のフレームレートが24fpsになったのは周波数諸々の、ま、いわば技術的な理由が<すべて>で、別に「フィクションを映像で見せるなら、それは24fpsがベスト」みたいな理由はまったくなかった。
ところが様々な実験を経ることで、だんだん「フレームレートは映像の内容によって向き不向きがある」ことがあきらかになっていったんです。

このあたりの感覚は、テレビ系のエンジニアには理解できなかったようである。筆者がその現象を、ある技術系の学会で報告した時、偉い人から「フレームレートは高い方が良いに決まってるだろ!低い方がリッチに見えるなんて、そんなバカなことがあるか!」と怒られた記憶がある。


しかし実際にフレームレートを落とすことで、過剰なリアリティがなくなって造り物っぽさが感じられなくなる。(中略)
逆に高いフレームレートは、素材感を生々しく認識してしまうため、セットはセットに見え、カツラはカツラに見えるという現象を引き起こす。


記事からの引用ですが、筆者はこの事を「水戸黄門効果」と名付けています。
しかし実際問題、24fpsと60fpsで、何故そこまで、見た者が<差>を覚えるのか、これは科学的に解明されたわけではない。ま、統計学的に、という感じというか。
あくまで私見ですが、どうもね、フレームレートが多ければ多いほど生々しくなる、というような単純な話でもない気がするんですよ。
この話はまた別口ってことで。マジメに書き出したら超がつく長文になっちゃうと思うので。
にしてもですよ。偶然というかラッキーパンチというか、で、いきなり「24fps」という最適解を引き当ててしまったのは奇跡すぎる。
もし、この奇跡がなければ、映画という産業がこれほどの世界的な規模にまで発展したか。

アレですよ。科学的な立証もいいけど、科学的立証ってのはとかく時間がかかりすぎる。それよりも「直感」とか「ラッキーパンチ」の方がはるかに早い場合もあるよって話でね。







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