ニチデンとかハチハチとか
FirstUPDATE2022.11.15
@8bitマイコン 単ページ @日本電気 ハチハチ キューハチ 呼称 @富士通

 なかなか進んでないんだけど、ずっと、1982年くらいから1986年くらいのね、マイコン文化華やかなりし頃のことをちゃんと書きたいとは思ってて。

しかしまあ、これが本当に骨が折れるのよ。
資料集めも大変なんだけど、集めた資料の精査がまた大変。つかね、資料って多けば多いほど良いってもんじゃないね。精査が大変すぎるわ。
この苦労は「植木等ショー!クレージーTV大全」の時や戦前モダニズムなんかの調査とは真逆です。
クレージーや戦前モダニズムは「必死になって一次資料を見つけて徹底的に裏取りする」って感じで、結果、モノになる資料はそこまで数がない。だから精査には時間がかからない。
マイコン文化は(クレージーや戦前モダニズムに比べたら、だけど)まだ直近のことなので、ヤル気次第で資料なんかいくらでも集められるけど、やりすぎるとマジで何が何だかわからないのよォ~!

そんなことはさておき。
ちょっとだけ、いや経過報告とまではいかないけど、マイコン関係の資料から小ネタを見つけたんで、そこから話を広げてみようと。
まァ一種のスラングなんだろうけど、当時のマイコン界隈では各メーカーから発売されていたマイコン各種をね、変な呼び方をしてたんですよ。
例えば、まァエントリタイトルに沿えば、PC-8801であれば「ピーシーハチハチマルイチ」と読む。つか呼んでた。んで略称が「ハチハチ」だったと。
PC-9801なら「キューハチ」、シャープX1なら「ペケイチ(ペケワンとも)」、日立ベーシックマスターレベル3なら「エルサン」とかね。

あとPC-8801やPC-9801を発売していたメーカーもNECとは言わず、何故か「ニチデン」と呼んでいたんです。NEC=日本電気の略なんですが、しつこくニチデンなんて使い続けたなんてマイコン界隈だけだったんじゃないか。
ただし何故かシャープは別で、テレビ事業部が開発したX1やX68000(これは「ペケロッパー」と言われてたと思う)にはスラングがあったけど、シャープ本体が出していたMZ-2000なんかはそのまんま「エムゼットニセン」って言ってた。
あれ、何でだったんだろ。

これらはあくまでユーザー間でのスラングで、メーカー自らが「こう呼んで!」みたいにアナウンスしてたわけではなく、ま、公式のものではないっつーか。
しかしね、資料を精査してたらこんな例を発見した。

これは富士通から発売されていたFM-16βという機種の広告(の一部切り抜き)ですが、注目して欲しいのは↓です。

何とメーカー自ら、当時のスラングルールに則って「イチロク」と書いてある。
富士通はCMなんかではっきり、FM-7なら「エフエムセブン」と発音していたせいか、当時はあまりスラングが適用されてなかったと思うのですが、これにかんしては「エフエムシックスティーンベータ」ではなく「エフエムイチロクベータ」と呼んで欲しい、という意思が見えるのが面白い。

一部界隈のみのスラングがいつしか公式化するケースはたまにありますが、マイコン界隈でこういうケースがあったのは知らなかった。
っても、まァ、小ネタっちゃ小ネタなんでね。こんな感じでサクッと書いてみました。