さらば!ドメさん
FirstUPDATE2022.9.9
@Scribble #Scribble2022 #プロ野球2022年 単ページ 福留孝介 引退 クラッチヒッター 再掲 熱血!タイガース党 サンテレビ

えと、中日ドラゴンズの福留孝介選手が昨日引退を発表してね、ま、さすがに昨日の今日なんでどう書いていいのかもわかんないんだけど、それでもなる早で何か書いておこうと。

そうは言ってもイチから書くのは無理なので、2015年11月29日にエントリした「詰まれ!ドメさんの金言」という文章を、一部割愛しつつほぼ転載したい。
2015年ってことは当然阪神タイガースに所属していた頃ですが、とにかくこれを読んでもらえれば福留孝介という選手の懐の深さがよくわかってもらえるのではないかと。
そんな感じで、どうぞ。

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先日、久々に「熱血!タイガース党」を見たんだけど、その日のゲストが福留孝介で。

野球に関係ない話から始めると、この人のボケってあきらかにダウンタウン松本の影響を受けてますね。つまりは真顔でボケる、という。
そういや(現注・2007年までの)中日時代から「実は福留は面白キャラ」ってのは阪神ファンにも知れ渡ってたんだよね。
ライトを守る福留に阪神ファンが「福留ぇー!岩瀬ってどんなピッチャーやー!?」とヤジを飛ばすと、左でヒョコッと投げる真似をして、阪神ファンから拍手喝采をもらってたんだよな。
でも、ちょっと扱いが難しいというか、ドメさんのキャラがわかってないと何だか単に噛み合わない会話みたいになってしまう。
先日の「タイガース党」でも最初はギクシャクしてたけど、途中から湯浅アナが完全にドメさんのキャラを把握して、上手く使ってました。
とくにドメさんが打撃論を披露した後、「その技術をいつくらいから意識し始めたんですか?」と湯浅アナに聞かれたドメさん、「昨日からです」。
これか天丼になって、聞かれるたびに「ここ(サンテレビのスタジオ)に来る時に渋滞にハマってた時」「ついさっき」とボケ続けるんだから。

ま、それはいい。
ではどのような打撃論を展開したのか、ですが。
具体的にはインコースの捌き方について、実際にバットを持ってやってみせたのですが、これが実に凄かった。
バットを寝かせようと思うと、どうしても(左打者なら)左肩が下がってしまう。だから極端にいえば、バットを垂直に立てたまま目の前をバットが通り過ぎるイメージで、と。
それなら詰まるんじゃないですか?という質問にも「詰まっていいんです。その方がヒットになる」。
アタシはこの話を聞いて、即座に伊藤隼太のことを思い出した。隼太といえばどうしても首が倒れてしまうと言われ続けて、いまだに改善されていません。(現注・当時は伊藤隼太は現役)
が、問題は首が倒れることより左肩が下がることが問題なんじゃないかと思ったわけです。つまり左肩が下がるから連動して首も倒れると。
このドメさんの理論でいえば、隼太は詰まることを恐れている、ともとれる。詰まりたくないからバットをスムーズに出そうとする、結果捉えられるポイントが減ってしまってるんじゃないかとね。

詰まるとボテボテにしかならない、それは打ち方の問題ではなく(まァ広義には打ち方の問題だけど)、それ以前の問題として「詰まっても内野と外野の間に持っていけるだけのスイングをしていない」という意味が隠されていると思う。
スイングが緩いと当たりが弱くなる。となるとなおさら詰まりたくない。スイングが弱くて詰まったら、それこそボテボテにしかならない。
今年(現注・2015年)までの阪神の大方の打者は、まさしくコレでした。
たぶん金本監督(現注・同オフに監督就任)が問題にしたのはそこで、スイングが弱いばかりに詰まることを必要以上に恐れる。ならば何故「詰まらせない練習」ではなく「もっと鋭いスイングが出来る」練習をしないのか、と。
実際秋季練習から秋季キャンプにかけて、打者としてのタイプ関係なく「しっかり振る」ことを求めている。それ自体はまったく正しいとしかいいようがない。
が、同時に意識も変えていかないといけないと思う。
今まではスイングが弱かった。でも、もう、それは克服しつつある。だから詰まることを恐れるな、という意識ね。

実際今の阪神で詰まることを恐れていないのは、ドメさんと鳥谷、あと西岡くらいです。ぶっちゃけていえばゴメスですら詰まることを恐れているように見える。
でもそこの意識を変えなければ、結果は何も変わらないと思う。詰まることがダメなんじゃない。詰まった打球が外野の前にすら飛んでいかないこと、つまりはスイングが弱いことが問題なんだ、という。
某前監督と違って金本や掛布は当然この辺はわかってると思う。でも指導者側ではなくプレーヤー側(もちろんドメさん)にわかってる人がいるのが大きい。何しろ完全に実践で見せることが出来るからね。
打撃だけじゃなくて守備もだけど、常に実践で見せることが出来る福留が来てくれて本当に良かった。まさしく「この人がいるから全体のレベルが上がる」人材ですよ。

最後に。
「タイガース党」で守備の話もしてたんだけど、江越には実践に即した細かいアドバイスを与えて、狩野には平凡なフライをキャッチしただけで「よく取ったなぁ!」と褒めるって話は爆笑でしたよ。
半分は冗談としても、いつぞやの記事によると狩野には「誰もお前の守備には期待していない。その代わり、とにかく打て」ってアドバイスしてるからね、ドメさんは。
ちゃんと選手のレベルや期待値に合わせて指示であったりでアドバイスだったり、もっと単純にノセたりできる。
もう今の時点でもトップクラスのコーチだっていえるんじゃないかな。少なくとも今年までいた某打撃コーチや某外野守備コーチよりははるかにレベルが高いコーチですよ。

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ま、ちょっと残念な理由で福留は阪神を去ったわけですが、まだ家は関西にあるというし、今後阪神でコーチをする可能性も大いにあると思う。
ただ福留クラスなら、さすがに二軍の打撃コーチとか守備走塁コーチには出来ないよな。でもいきなり一軍ってのも最近の阪神の人事を見ると考えづらい。となるとまずは中日のコーチからかね。

何にせよ、たぶんアタシが見てきた中で指折りの勝負強い打者だったことは間違いない。短期的になら他にもいるけど、これだけ長期に渡って勝負強かった選手となると、マジで福留がナンバーワンではないかという気がするわけで。

というかこの人、野球だけじゃなくて人生も勝負強そうなんだよな。これからもそういうのを見せてください。