いやぁ、どうにも、本当は「昨日の続き」なんてやりたくないんだけど、昨日のエントリの最後に書いたことをもうちょいキチンと書きたくなって。
さて、いわゆる「なろう小説」の黄金パターンに「異世界に行って無双する」というのがあるようで。ってももう、なろう小説が出来てからずいぶん月日が経つので、いろんな無双パターンがあるそうな。
その異世界ってのがどういうものかわからない、いやもちろん作品によっても違うんだろうけど、その異世界は異世界なりに歴史を重ねてきたわけですよね。そんな世界で、素人の思い付きレベルのことが
「おお、まさかそんな方法があったとは!」
なんてなるか?
もしなるとするなら、それはその世界の住人の知的レベルが著しく低い場合に限られる。
日頃から「他人なんて馬鹿ばっかり」なんて言ってる連中が、そんな圧倒的に知的レベルの低い世界にいて楽しいのかね。アタシならすぐに逃げ出すわ。
人類の歴史ってのは本当に馬鹿に出来ないことで、大抵のことはすでに「誰かがやったこと」なんです。
音楽で言えばわかりやすいけど、本当の意味で新しいメロディなんてほとんどない。んなもん、数多の人間が五線譜にオタマジャクシを並べてきたわけで、新しくて、しかも素晴らしいメロディが生まれるなんて奇跡レベルなんですよ。
しかもそれは、かなりちゃんと音楽理論を学んだ人でさえそうなる。
となるとですよ、んなもん、素人の思い付きのメロディが本当に新しい、というか類似が一切ないメロディなんてあり得ないと考えるのが普通です。
昨日は法律のことを書いたけど、素人の思い付きの発想なんか、専門家は全部承知している。四六時中そのことを考えてる人間が「素人の思い付きレベル」のことを思い付かないわけがない。
アタシは専門がデザインだからデザインのことを書くけど、時たまクライアントでデザイン案を出してくれる場合があります。
しかし、ただの一度たりとも「その発想はなかった!」なんてことはない。ああ、大抵、知らないとそういうふうなことを思い付くよね、みたいなのばっかりだった。
で、アタシがそうしたデザインを提案しないのは、ちゃんと提案しないだけの理由がある。何故それだとダメなのか、素人では見えないネガティブなところがあったりするわけです。
でもさ、これは愚痴だけど、その説明をするのが難しいのよ。下手にやるとクライアントを否定することになるし。愚痴終わり。
いやね、それなりに社会経験があれば、素人の思い付きが如何に初歩的な話なのかわかるはずなんです。んで同時に「せめて自分はこんな素人の思い付きを口に出すのは止めよう」と思うはずだと。
それをさ、さも「どうだ!こんな素晴らしいアイデア、今まで誰も思い付かなかっただろ!」みたいな、したり顔でネットに書き込むとか、本当、アンタいったいいくつ?と聞きたくなる。
昨日の「一方がイジメと言えばそれはイジメ」ってのもそうだけど、そんな理屈のアラを専門家が気づいてないとでも思うのか?
まったくの門外漢が「素人ならではの斬新な視点で正解に導く」なんてのはフィクションでは定番ですが、それはフィクションでの話。リアルでそんなことは、まァ、マジでないから。少なくともアタシは一度も体験したことないから。
ま、これも「現実とフィクションの区別が付いてない」ってことなんだろうな。