ま、いろんな考えで、なるべくScribbleには野球の話を書かないようにしてきたのですが、ちょっと変則的なのでまァ今回はいいかと。
日本ハムの監督に就任した新庄剛志がわりと面白い打順の組み方を試行していて。
もちろんこの考えのままシーズンでもやるかどうかはわからないけど「1番打者は中距離ヒッター、4番打者は俊足、7番と8番に(旧来の)3、4番(に相当する打者)を置く」というのは面白いのは面白い。
正直打順に正解はない。ネットなんかでは「出塁率が高い順に」とか「2番に強打者を置く」と言うのがまるで絶対的正解みたいに言う人がいるけど、アタシはね、そもそも得点期待値なんてものをあんまり信用していない。
だってあれは「0-0から入れた1点」も「10-0から入れた一点」も同じ扱いだから。それこそ10-0ならバントなんかしないし、相手投手も敗戦処理レベルです。仮に満塁でホームランを打てば得点期待値はグッと跳ね上がるわけで、それこそ重い展開の0-0の終盤とは単純に点数の入り方がぜんぜん違う。
そこを換算しないで何が得点期待値だ、と思うわけでね。
さて、基本的な話かもしれませんが、試合展開って大雑把に3種類に分けられると思うんです。
ひとつは「序盤から大量リード」、ふたつめは「序盤から大量ビハインド」、みっつめは「ロースコア、もしくは1点、2点レベルの僅差」です。もちろんいくらでも細かく分けることは出来るけど。
相手投手との兼ね合いやこちらの先発の出来でこれらは変化しますが、アタシの考え方としては従前の「攻撃的や野手がスタメンで、守備が上手い選手が守備固めで終盤に出てくる」ってのが、実は間違ってるんじゃないかと。つまり「スタメン→守備型、途中出場→攻撃型」の方が理にかなってそうなんですよ。
たとえば「序盤から大量リード」出来た場合は、もう得点を取る必要はないんだから、最後まで守備型の選手を使い続ける方がいい。
「序盤から大量ビハインド」の場合は早い段階で逆に守備型を引っ込めて攻撃型の選手を入れる。「守り抜く」ことよりも「攻めまくる」ことの方が大事だからです。
この場合、極端な話、とりあえず正面の打球さえ捌いてくれたらいい、くらいの考えで起用することが大切で、細かい連携がまったく出来なくて失点しても「点を取る」ことを最優先させるべきです。
そして一番肝心なのは「ロースコア、僅差」の時です。
よほど打撃偏重、つまり打線は良くて先発が弱いチーム以外は、たぶん中盤までこのパターンで進行することが一番多いと思う。
もちろん点を取らなきゃいけない。しかしこういう展開こそ「守備の乱れからの失点」だけは絶対に防がなきゃいけないわけです。
この場合、攻撃型の選手は「投手の打順、もしくはそのポジションを守れる選手がまだ控えにいる」ところに代打を出していく。当然守備型の選手がスタメンなんだから代打の層はかなり豊富になります。
なんてことを基準にして今年の阪神タイガースを見た場合、守備の面でかなりの<穴>であるセカンドには熊谷、レフトには江越、というのが妥当な気がする。
もちろん大量ビハインドの時は早いイニングから熊谷に変えて糸原、江越に変えて糸井やロハスを使う、というね。
0-5とかで負けてる展開で終盤ならば、それこそ糸原がショートで大山がセカンドを守ってても誰も文句を言いませんよ。だって点を取らなきゃ負けるんだから。
ここからは「ついで話」です。
とにかく糸原はヘイトの対象になっちゃってるけど、個人的には巨人の藤田元司が監督の時にやった岡崎郁の起用法を当てはめるべきだと思ってるんだけどね。
若い頃の岡崎はショートを守ってて鴻野淳基あたりとポジションを争ってたけど、藤田元司が監督になってショートに守備の上手い川相昌弘を、そして守備に不安はあるけど打撃は見るものがある岡崎をファースト、もしくはサードで起用し始めた。
岡崎の打撃力でファーストは無理があるんだけど、守備の不安がなくなった岡崎は数字以上に勝負強い打撃を見せるようになり、6番打者として優勝に貢献しました。
これ、まんま糸原にも当てはまりそうなんですよ。というか岡崎と糸原は「守備が苦手だけど内野しか出来ない」「足は遅くないけど盗塁出来るほど速くもない」「打撃は高い数字が上げられるわけではないけど打線にいれば頼りになる」という相当似通った選手です。
こういう「帯に短し襷に長し」な選手をどう上手く使うかで優勝出来る出来ないが決まる気がするのですがね。