むなしいもんだネ
FirstUPDATE2022.2.15
@Scribble #Scribble2022 #デザイン #世間の話題 単ページ アート 古塔つみ 二値化 アートディレクター 手垢のついた手法 奥付

高梨沙羅の失格騒動に掻き消された感はありますが、えと、古○つみですか。あれも結構騒ぎになってるようですが。

まァ、古塔○みの「良くないところ」を挙げていけばいくらでもある。しかしアタシはね、そんなことよりも、この騒動を傍観して、マジでむなしくなったのです。
一応、底辺とはいえグラフィックデザインを生業にしているアタシから言えば、あれは「手垢が付いた手法」です。
つかあれはトレースではなく画像加工でして、画像加工にわずかばかり手描きを加えたもの、と言えば正確か。
その画像加工ってのも、いわゆる「二値化」ってヤツで、要するに明暗を極端にして暗いところはまっ黒にして、明るいところをまっ白にする。つまり中間色を無くすわけです。
そんで黒と白を別の色に置き換える。ま、これだけ。
こんなの大昔からある手法だし、それこそ、えと何年前だったかは忘れたけど、チェ・ゲバラの画像を二値化加工したものがプリントされたTシャツとか流行りましたよね。

こう書けばわかるように、あんなの、ソフトさえ使いこなせれば、もう誰でも出来るんです。デザインの専門学生なら入学したての生徒でも「同じようにやってみて」となったら出来る。何だか「色遣いにセンスがある」っていう人がいるみたいだけど、センス?普通じゃん。ちょっとでも色彩を勉強していれば当たり前のことしかしていない。
要するに、手垢が付きまくって手法が完全に確立されている、クリエイティビティさもセンスも何もなくてもやれるし、誰でも思い付く手法なんですよ。
ただし、人様に見せられるレベルにするにはそれなりに手間はかかる。アタシもちょっとやってみようと思ってみたんだけど、面倒なんて途中で止めた。だって手間云々以前にやってて面白くないんだもん。
ま、誰でも出来るけど手間がかかるだけ、とかね、当然のことながらデザインではないし、ましてやアートであるわけがない。つかアート舐めんな。

今回の騒動で一番幻滅しているのは、Twitterでモデルを募集した○塔つみにたいして、喜々として応募した人が多かったって事実です。
性別を偽って若い女性の写真を集めたのは犯罪ではないか、というのは置いておく。そうかもしれないけどアタシは興味がない。
それよりも「こんなのありがたがるんだ。結局、大多数の人はデザインやアートの<デ>の字も<ア>の字もわからず、ただ知名度や実績だけしか見てないんだ」ってことです。

アタシがアートをやっていた頃、アートプロデューサーと称する人に会ったことがあります。
見本として自作が掲載された書籍を見せたんだけど、一番最初に奥付(発行元や発行日が記載されたページ)を見て、あ、コイツはダメだと思った。アタシより年配だったけど、その瞬間から心の中でコイツ呼ばわりになった。
それこそセンスのない人ってすぐに実績とか知名度といったデータに頼るんですよ。いやそもそもセンスなんて本当はあるかないかではない。まずは「自分が良いと思えるかどうか」なんです。
つまり自分自身を信じられる人かどうかってのは「センス云々以前の最低限」なんですよ。

アタシは幸い、データなんかに頼らない、そしてアタシのアートを認めてくれる人に出会うことが出来た。ただし、ほぼ外国人で、日本人では作品を認めるまではいかなくても「データに頼らずに自分の判断で良し悪しを測れる」人にさえほとんど出会えなかった。
もちろん認めてもらえたら嬉しいですよ。でもそれはそんな簡単なもんじゃない。だから認めてもらえなくても「その人の価値観で良し悪しを判断された」ってわかれば納得出来るし、その人をコイツ呼ばわりすることもない。
むろんアートとかデザインに関わりがない職種の人であれば別にいいけど、仮にもデザイン関係者、アート関係者でデータでしか判断出来ないならば、本当、心から軽蔑する。つかマジで、軽蔑しなきゃいけない状況が何度あったことか。
ま、だから先述の自称アートプロデューサー氏は特別でない、ということになるわけで。

何だかなぁ。所詮、こんなもんかよ。
マジでさ、しっかりしろよ日本人、と言いたい。もう、いろいろと、むなしいわ。







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