タイトルの「女の子向けトイドール」なんて言葉があるのか知らない。つまりアタシがテキトーに作った言葉ですが、早い話がリカちゃんとかバービーとか、そういった人形を指しています。
リカちゃんやバービーは今もありますし、というか発売からすでに数十年が経ってなお超人気を誇っています。
とくに昨今は「鬼滅の刃」の禰豆子バージョンや初音ミク(ヴォーカロイド、ね)バージョンのリカちゃんが登場したり「コラボ系リカちゃん」もいっぱい出てきている。
つまり、子供たちはもちろん、コレクターにまで購買層を広げよう、てな作戦なのでしょう。
現今、もっとも大人向けというかコレクション要素が強いトイドールは「ブライス」でしょう。
あと、さらにマニア向け、いやオタク向けとしてスーパードルフィー、なんてのもあります。
ブライスはハンドメイド洋服も盛んで、ま、どちからと言えば裁縫などを得意とする大人の女性が対象のはずです。
一方スーパードルフィーは、着せ替えはもちろん顔や身体の細かいパーツを変更したり、ジオラマっつーかドールハウスというか、いや人形用セットって表現が適切かもしれないけど、どちらかと言うと「世界観の構築」に重きを置いてるというかね。
ま、アタシの場合、スーパードルフィーに興味があるわけじゃないけど、秋葉原に行ったらついつい、見てしまう。一見「スーパードルフィーに興味津々のオッサン」だけど、こういう世界観にはまったく興味がありません。
ただ、それでも、細かいパーツ類が実に良く出来ているので、わりと面白いのですよね。
しかし今回はブライスやスーパードルフィーなどの、いわば最新の話じゃない。グッと遡って1960年代後半から1970年代前半、つまり昭和40年代に絞っていろいろやってみようかと。ま、一部1960年代前半(昭和30年代後半)と1970年代後半(昭和50年代前半)のも含みますが。
ただせっかくなんで、リカちゃんやバービーといった誰もが知る有名どころのトイドールだけでなく、とうの昔になくなってしまった、マイナーなトイドールも含めて取り上げたいと思います。
まずはメジャーどころから。
◇ リカちゃん(タカラ・1967年発売)
男の子だったアタシからすれば、リカちゃん=リカちゃん電話、くらいの認識しかなかったのですが、これ、今考えても凄いですよね。架空のキャラクターとお話しできるよってコンセプトなんだから。一種のヴァーチャルです。
さてさて、リカちゃんは時代に合わせて顔つきや体型を変化させて、常に「今の時代の子供の好み」にフィットさせているのは有名ですが、単に人形遊びに終わらず、無限の世界観を提供しようとする姿勢は不変です。
その代表がリカちゃんハウスで、人形の家ってだけじゃない、生活そのものが垣間見える、その生活も現実離れしすぎない、しかし女の子ならみんなが憧れるようなライフスタイルを具現化しているっていうね、そのバランス感覚には脱帽レベルなわけで。
◇ バービー(国際貿易/マテル・1962年発売)
いかにも西洋的な顔つきのバービーは、どちらかといえば大人に人気のあるトイドールです。
やはり子供からすれば、あの顔つきは、ちょっと怖い。リカちゃんが現実と乖離しないように気を配っていたのとは対照的に、徹底的な「理想の女性」、それも<アメリカ人にとって>という注釈が付くっていう。
でも日本人の女性でも思わず声をあげてしまうほどのファッショナブルさは、背伸びした女の子にもドンピシャだったはずで、リカちゃんから入って、いつの間にかバービーにハマる、という関係性になったんじゃないかと睨んでいます。
◇ タミーちゃん(アイデアル・1962年発売)
さあ、ここから少しずつマイナーな世界に入っていきます。
タミーちゃんはバービー同様アメリカ産でアイデアルから発売されていたものですが、我が国でもライセンスではなくアイデアルの日本支社から発売されました。
キツネ顔のバービーと比べるとタヌキ顔で、日本でも受け入れられる要素はあったと思うのですが、そうなったらそうなったで、リカちゃんとの比較になってしまうっつー。
実際、リカちゃんが発売された頃には撤退というかディスコンになったようで、まァ難しい立場だったんだろうね。
◇ ドーリーダーリン(ハズブロ・1965年発売)
ハズブロ社が発売していたリカちゃんやバービーよりひと回り小さいミニサイズ人形。トランプや電話機、レコードプレーヤーなどのミニチュアが標準装備されていたのが珍しいというかアメリカ的というか。
にしてもこのアヒル口はなんだ。これからアヒル口をやってる子には「ドリダってるね!」って言おう!
◇ マーガレットちゃん(中嶋製作所・1965年発売)
アタシたち世代の男性からすれば、タイガーマスク人形でお馴染みだった中嶋製作所から発売されていたのがこのマーガレットちゃんです。
ただしこれはリカちゃんとかとはジャンルが違っていて、もっと大ぶりで、今でいえばメルちゃんなどに相当します。つまり幼児が手で持って遊ぶのではなく、抱っこしたりして遊ぶ、ま、架空の妹とでもいうのでしょうか。
◇ スカーレットちゃん(中嶋製作所・1966年発売)
その中嶋製作所がモロにリカちゃんの対抗馬として出してきたのがこのスカーレットちゃんで・・・と言いたいところですが、実際はリカちゃんに先行して発売されたもので、ま、後発のリカちゃんに抜き去られた悲運のトイドールです。
画像を見てもらえればわかる通り、顔つきはリカちゃん寄りというか日本風で、しかしファッションはあきらかにバービーを意識しています。
中嶋製作所自体は現存していますが、今ではライセンス物と、オリジナルも動物をモチーフにしたものしか販売していないようです。
◇ ルビーちゃん(新堀産業・発売年不明)
これもマーガレットちゃん同様、抱っこして遊ぶメルちゃんタイプです。
販売していたのは新堀産業有限会社というメーカーですが、検索してもまったく情報が出てこないところをみると現存しないのでしょう。
◇ ミニー(大池産業・発売年不明)
ミニーで検索したら、某ミ○キーのガールフレンドしか出てきませんが、こういうのもあったんですね。
販売元は大池産業。ここは他にも「自動歩行人形リリーちゃん」、や「パピーちゃん」、「アイドルサンちゃん」、さらには「ミリオンベビー」というメルちゃんタイプの人形も出していたみたいで、「ミリオンベビー」が1970年に中小企業庁長官賞を受賞したことがホームページに高らかに書かれています。
◇ イエスノーミニーちゃん(ツクダ・1968年発売)
上記の「ミニー」と紛らわしいですが、これはツクダが販売したギミック付き人形。
背中のボタンを押すと首を縦や横に振ることができる。だから「イエスノー」ミニーちゃんなんですな。
◇ ハイファッション・リナ(タカラ・1968年発売)
販売元は何とリカちゃんと同じタカラ。リカちゃんとバービーはラインが違うことを自覚していて、リカちゃんでの成功を受けて、バービーとまったく同じラインの製品を作ろうとしたのでしょう。
頭身も完全に大人で、しかし顔つきだけ微妙に日本風にしてあるのがミソなのですが、逆に野暮ったい感じになってしまったのは否めません。
◇ レディリカ(タカラ・1970年発売)
ハイファッション・リナが上手くいかないとみるや、1970年にレディリカなるシリーズも発売しているのです。
このレディリカもイマイチな結果になってしまいましたが、ちなみにWikipediaには
通常販売されているリカちゃん(香山リカ)とは別設定の人形。ストレートヘアで名前は北原理香、年齢設定は16歳。翌年、ジュン(花園順子)とアヤ(白川彩)の3人で「花のトリオ」を結成する。
とありますが、1970年の時点で『花のトリオ』ってネーミングしたのがすごい。
桜田淳子、山口百恵、森昌子による「花の中3トリオ」が出来たのが1973年ですから、何と3年も先んじている。
もしかしたら花の中3トリオってレディリカから取ったのか?ま、レディリカの3人は16歳ってことは「花の高1トリオ」になるけど。
◇ マミーちゃん(販売元、発売年不明)
こんな画像しかないってことは、もう相当マイナーです。販売元も不明ですし。
サイズも小さいようですが、その分価格も圧倒的に安く、リカちゃんやバービーを買ってもらえない子供が「間に合わせ」で買ってもらうような、というかそれを狙ってどこかの超マイナーメーカーが作ってたんでしょうね。
◇ カシマシ三人娘(販売元、発売年不明)
これもマミーちゃん同様で、安価なだけが売りのトイドールですが、それにしてもこの名前はすごいというかなんというか。
ま、この時点では音曲漫才の「かしまし娘」はまだ若かったんだけど。
◇ チビッコチーちゃん(タカラ・1969年発売)
バービーの対抗馬としてハイファッション・リナを発売したタカラですが、何と安価な小型サイズにまで参入しています。が、これも、ま、失敗って感じで。
◇ ドォン(Topper/タカラ・1970年発売)
完全にバービーの対抗馬ですが、日本での販売元はタカラってのがね。
タカラといえばどうしてもリカちゃんというスーパーメガトン級の大ヒットがあるので隠れがちですが、ハイファッション・リナといいレディリカといいチビッコチーちゃん、そしてこのドォンといい、意外と失敗作も多いのですね。ま、このドォンはオリジナルじゃないけどさ。
◇ こえだちゃん(タカラ・1977年発売)
んでついにリカちゃん以外でタカラが当てたのがコレ。
ここまで紹介したトイドールはすべて<身近>というか現実感のある設定でしたが、この「こえだちゃん」はメルヘンというかファンタジーに針を振り切り、さらに年少者向けに特化させることでリカちゃんとの差別化に成功したというか。
1977年、つまり「昭和40年代」って枠からはみ出しちゃうけど、その後タカラはリカちゃん以外でも成功したよってわかってもらうために入れました。
◇ リンダちゃん(トミー、発売年不明)
なんとこれ、「こまっちゃうナ」で人気絶頂だった山本リンダをモデルにして作られたらしい。いやはや、もうどうにも止まりませんな。
こんな感じでおしまい。ま、アタシの知識ではこんなもんじゃないでしょうか。
実は結構思い切ったエントリでして、これね、昔、仕事用に書いた文章のリライトなのです。 もうその仕事はやってないし、その時のブログも閉じちゃったし、紛れもなくアタシが書いたものなので著作権的には何の問題もないんだけど、何となくコワいなぁと。いろいろあるからね。 でも、内容的に非常にもったいないというか、「やぶにら大全」という形にピッタリすぎる内容なので、いろいろな呪縛を振り払ってリライトしたって寸法です。ま、画像は元エントリから大半を流用しましたが。 当然、テーマ的にはちょっと異質なんだけど、これはこれでいいかなと。 元の文章だけでは短いし、もうちょい補足もいれたいなってのもあって冒頭にブライスとスーパードルフィーの話を追記しました。って、この辺のことまで押さえてるって、やっぱ、引かれる可能性があると思うのですが、そういう人間なんでね。どんな人間だよ。 |
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