ストレートニュースを復権させてみては
FirstUPDATE2022.1.26
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いや、もしかしたら、こと「後世への影響」の一点だけを考えるなら「ニュースステーション」がテレビ史上もっとも大きな番組だったんじゃないかと。

もちろん「キャスター+サブキャスター+コメンテーター(+天気キャスター+スポーツキャスター)」という、いわゆる「ニュースショウ」スタイルを日本で最初に始めたのは「ニュースステーション」ではありません。
おそらく我が国におけるニュースショウの元祖はNHKの「ニュースセンター9時」のはずで、ま、たぶん「ニュースセンター9時」プラス「モーニングショー/アフタヌーンショー」カケル「TVスクランブル」マイナス芸能ニュース、みたいな感じで「ニュースステーション」を立ち上げたんだと思う。
しかし、マジで「ニュースステーション」の影響力は絶大だった。各局、ニュースショウスタイルの番組を次々に立ち上げた。それはいいんだけど、いつの間にか、いわゆる「ストレートニュース」がなくなってしまったのです。

もうストレートニュースってなもんはほぼ消滅したから説明が必要なんですが、出演者は基本的にキャスターひとりだけ(現地レポーターがいる場合はある)、テーブルだけの簡素なセットがクロマキーの前においてあり、つまりテーブルとクロマキーの間にキャスターが鎮座して、バックのクロマキーにはニュース映像などが流れる仕組みになっているわけです。
もっと昔はさらにシンプルで、キャスターなし、アナウンサーがただニュースを読み上げるだけ、みたいなものが主流でした。
って説明が難しすぎるので動画を貼っておく。

こうしたストレートニュースはテレビではほぼなくなったわけですが、ラジオは相変わらずストレートニュースが主流で、アナウンサーが淡々とニュースを読み上げるだけです。

とにかくシンプルきわまる構成なので、バイアスがかかりづらいし、時にはノイズとなってしまうコメンテーターなどもいないのでニュースに集中出来る。
もちろん裏返しの欠点もあって、あまりにも淡々としていて人間味に欠けるし、さすがに殺風景すぎる。
それでもね、もしかしたら今の時代、ニュースショウスタイルの番組よりもストレートニュースの方が視聴者のニーズに合致しているんじゃないかと思うんですよ。
バイアスゼロで、とにかくニュースだけを淡々と伝えて欲しい。もし有識者の意見や一市民の意見が知りたければネットを見に行くから、みたいなね。

というかさ、ストレートニュースって昔は20時54分からとか、一時間番組のオマケとして用意されてたんだけど、何であれなくしちゃったんだろ。
ニュースってね、極端に言えば「最短10秒で概観を伝えられる」ものだと思うのですよ。そういう、ま、ヘッドライトニュースをなるべくコマメに、一時間に一回の割合で細かく挟んでいく。
でもそれじゃああまりにも、つまり、もうちょっとしっかり追跡した番組を、と思うのであれば、ニュース番組ならぬ報道番組をやればいい。キャスターなしでっつーかドキュメンタリー番組方式で、ひとつの事件や事故など、いわゆるトップニュースだけをしっかりやる。ここは各局色を出してもいいと思う。

とにかく、インターネット全盛の現今の世の中にとって個性の強い「キャスター」と専門家ではない「コメンテーター」ってのは相性が悪すぎる。
「ニュースセンター9時」や「ニュースステーション」が成功したのは、あの時代にはまだインターネットがないが如くだったからです。
それを無反省に踏襲しても、結局はどこかの誰かが詰め腹を切らされるだけで、発言が騒がれる、叩かれるわりには肝心の視聴率に結びつかない、なんてことになりやすい。
今後、ポリ○レ棒が増殖していって、キャスターもコメンテーターも当たり障りのないことしか言えなくなるのであれば、そんなのもう存在する意味がない。

というかさ、もうそろそろテレビ局は根本的な見直しの時期なんじゃないかな。
あいも変わらず「3時間合体スペシャル」なんて短時間なコンテンツが好まれる世相と逆行したことをしてるのは、さすがに成功体験にとらわれすぎなんじゃないの?
ある意味、昔の、それこそ1970年代くらいのタイムテーブルの方がよほど「今のニーズ」に合致してますよ。番組は30分単位が基本で15分番組や1時間番組はあるけど少ないとか、ニュースショウではなくストレートニュースをコマメにやる、とか。

ま、この辺は物量作戦ダンス映画と一緒で、と書き出すと長くなるのでおしまい。