所作がわからない
FirstUPDATE2021.12.22
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何度もね、もし自分が戦前期にタイムスリップしたら、みたいな妄想をするんだけど、いくら考えても「いい塩梅」になりそうな想像が出来ないんですよ。という話で。

たぶん見た目にかんしては、これは相当若く見られるんだろうな、と思う。
ま、別にアタシが特別若いわけではなく、ここ100年くらいの間に、こと<老け方>みたいなのは大きく変わった。だいたい昔の、昔ったっていろいろあるけど、昭和中期で言えば、今の30代が20代前半、今の50代が30代、今の70代が50代くらいに相当すると思う。ま、あくまで見た目にかんしてはの話ね。
つまり今現在50代のアタシは戦前にタイムスリップしたら30代に見られると思うし、いいことか悪いことかはともかく、大変は大変だと思う。だってさ、若いのは見た目だけで中身っつーか身体は相当くたびれているんだから。

それよりですね。
戦前期の映画と、現代で作られた戦前が舞台の映画やドラマと何が一番違うかというと、やっぱり所作のキレイさがぜんぜん違うんです。
例えばですが、こう、振り返ったりしますわな。そんな時でもリアルタイムのはまず肩からひねって、後から顔がついてくるって感じで本当にキレイなんです。ところがこれが<再現>になると顔も肩も同時に出てくる。
これはもう、ダンスというよりは<踊り>なんですが、ダンスと<踊り>の一番の違いはそこで、<踊り>って所作の連続なんですよ。だから日舞とかそういうのをちゃんと習った人は今の人でも所作がキレイだし、昔は日舞なんて芸者さんなんかに限らずもっと身近なものだったから、当然動きがキレイな人が多かったと。

もしかしたらですが、所作の美しさっつーかしなやかさってのは日本人の最大のストロングポイントだったのかもしれない。
たしかにガイコクジンから見たら「何だかヘンな動き」に見えるかもしれないけど、逆に「日本人の所作に魅入られる」人もね、あれだけ<禅>や<侘び寂び>に魅入られるガイコクジンがいることを考えたら絶対に一定数はいたと思う。
そこを打ち出せないどころか捨ててしまって、所作まで欧米風にしてしまったのは、本当に良いことだったんだろうか、と。

アタシはね、これからの時代、ローカリズムをどれだけ大切に出来るかだと思うんですよ。
そりゃあ、ローカリズムが敵対関係に結びついちゃマズいけど、自分ところのローカリズムを大切にして、ヨソのローカリズムに口出ししない、これが本当の多様性だと思う。
じゃあ、日本人のローカリズムの良さってなんだろ、となった時、大多数のガイコクジンにとっては珍奇でも、あの所作の美しさは日本が誇れるところだと思う。
だってあれだけ「日常の所作」に<しなやかさ>を取り入れた国なんてないもん。

だからさ、もう言ってもしかたがないけど、子供の頃に日舞を習いたかったな。多少女性的な所作にはなるけど、あのしなやかさは本当に羨ましいからねぇ。







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