これ、こないだ観た映画の感想なんですがね、ま、普通は映画を観たくらいじゃわざわざ文章にしないんだけど、個人的に非常に珍しい感情を抱いたもので。
「リスペクト」がアレサ・フランクリンの伝記映画ってことで「これは観る」って決めたし、やっぱ、アレサ・フランクリンは好きだから。
とか書いたら「お前さん、古い邦画、古い邦楽専門だろ」とツッコまれそうだけど、いやいや<邦>ではないけどアレサ・フランクリンって余裕で古いじゃん。つかアレサは「女性ヴォーカリストのベスト」のひとりですからね。って<ベスト>なのに<のひとり>ってどういうことだよって話ですが。
ま、そんなことは置いといて。
Twitterに「65点」って書いたけど、序盤はね、もっと良い点数になるな、と思ってたんですよ。とくに子役からジェニファー・ハドソンに変わるところは良かったし、エラ・フィッツジェラルドとかカウント・ベイシーとかまで出てくるのもアツかった。
ま、ハナシが進むにつれてポリ○レ棒がチラチラ見え隠れしてきたんだけど「まあなァ、アレサの伝記だからなァ」とそこは目を瞑った。だってアレサがそういう人だし。
途中からあきらかに「アレサの人生をなぞる」みたいになってね、どうも盛り上がりに欠けるな、それでもまァ、ジェニファー・ハドソンの歌唱力もあって、何とかクライマックスまで来た。
クライマックスは、ネタバレになっちゃうけど教会での「アメージンググレイス」。当然、ジェニファー・ハドソンが熱唱するんだけど、ここで、自分でもまったく予想だにしない気持ちになったのです。
ひと言で言えば
ジェニファー・ハドソンの歌に飽きた
のです。
いやね、上手いのは上手いんですよ。でも、どうも、続けて聴くとモタれてくるっつーか、そう言えばアタシは過去にこんなことを書きました。
(現注・美空ひばりを)聴くたびにやっぱ上手ぇよなぁと思うんだけど、それは一曲だけ聴いた時の話。何曲も続けてっつーかアルバム単位でまとめて聴くとモタれてくる。というか美空ひばりって一曲にすべてを詰め込んでくるというか、10曲聴いたら「10本分の映画を続けて観させられた」みたいな感覚に近いんです
ジェニファー・ハドソンも美空ひばりと同じで、上手いんだけど「演劇的な上手さ」なんです。だからモタれるし飽きもする。
アタシがジェニファー・ハドソンを知ったのは「ドリームガールズ」だけど、「ドリームガールズ」は全編ジェニファー・ハドソンが歌ってるわけじゃないし、ある意味バランスが取れていたんです。でも「リスペクト」はまさに、歌いっぱなしだもん。
そこへいくとアレサ・フランクリン本人はぜんぜん違う。一時期、朝から晩までずっとアレサを流してた頃があったけど、別にモタれもしなければ飽きもしない。
ま、ヴォーカリストとしてアレサ・フランクリンとジェニファー・ハドソンはタイプが違いすぎるって話なんだけど、クライマックスで「またジェニファー・ハドソンが歌うのかよ」と思ったのも事実で。というかクライマックスで主人公が熱唱して「感動する」どころか「飽きた」なんて前代未聞だったからこんな文章をしたためようと思ったわけでしてね。
で、65点って点数ですが、本当は60点、つまりギリギリ赤点にしようと思ったんですよ。
でも5点上げたのはエンドロールで、ここはネタバレなしで行くけど、これなんだよなぁ、と思ってしまったから。だから本編とは関係ないとは言え、オマケで合格かなと。
伝記というより音楽映画って難しいわ。というか「上手けりゃそれでいい」ってもんじゃないのがよーくわかったっていうかさ。