アクションをつける意味
FirstUPDATE2021.11.27
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 えと、たしか志村けんの追悼番組だったと思うのですが、志村けんのコントのVTRが流れた後、仲本工事が「さすがだな、と。セリフに全部アクションが付いてるんですよ」という話をしててね。

 セリフにアクションが付く、というのはわかりづらいのですが「おかあさんといっしょ」などの教育番組を見ればどういうものかよくわかります。
 実際、「おかあさんといっしょ」などではセリフひとつひとつに必ずアクション、つまり<動き>が付いている。ま、何しろ幼児向けなのでかなりのオーバーアクションなんですが、つまりはああいうことです。
 さすがにあそこまでオーバーアクションだと幼児以外には違和感が強い。やっぱ、時代を考慮すると大人になるほど「自然なアクション」を求めると思うわけで。

 というか、何かね、仲本工事の言葉で「志村けんが追い求めたもの」がわかった気になったんです。
 ドリフターズ加入直後の志村けんは、活躍の場が公開収録である「8時だョ!全員集合」だったせいか、すべてにおいてオーバーアクションだった。というか全員集合での会場クラスならばオーバーアクションでないと客席に伝わらない。だからオーバーアクション自体が間違いだと言っているのではありません。
 ただ志村けんは、どんどん「スタジオコント、もしくは小劇場クラスでの収録や公演」に重きを置き出した。こうなるとオーバーアクションはウザいものになってしまうのです。

 それでも志村けんは「セリフにはアクションが付いてなければならない」ということに疑いを持たなかったんたと思う。でもオーバーアクションは不向きである。ではどうするか。
 セリフひとつひとつにアクションは付けるけど、それを見ている人が違和感がない、自然なアクションに出来ないか。たぶんそうした発想の集大成が「となりのシムラ」で結実したのではないかと。
 「となりのシムラ」での志村けんは、今まで通りアクションは付いてるんだけど、きわめて自然なアクションで、コントというよりは芝居に近いのですが、やっぱりあれはコントをきわめたからの発想だったと思う。

 これは若手芸人にとくにありがちなことなんですが、いくら面白いことを言っても「口だけ動いている」んですよ。
 これでは笑いにつながらない。やはり、何らかのアクションが付随して初めて笑いになる。若手っつーかキャリアが浅い時は「自然なアクション」なんか無理に決まってるんだから、それこそ「おかあさんといっしょ」ばりにオーバーアクションでやればいいと思うんです。
 というか、ナインティナイン以降の芸人は本当にアクションを付けなくなった。岡村なんかあれだけ動けるのに「セリフひとつひとつにアクションが付いてない」から、何か、どうも、面白いって感情に結びつかなかったんだろうな、と。

 志村けんは加藤茶から笑いの基礎を学んだ、と発言していたけど、仲本工事の発言からするに、おそらく、ドリフターズ全員の共通認識として「セリフを口で喋るな、身体で喋れ」というのがあったんだと思う。
 「ドリフターズはすごい」「ドリフターズを目指します」なんてのはよく聞くけど、だったらまずは「セリフひとつひとつにアクションを付ける」ってのをやらなきゃ。
 ダウンタウンなんか蔑ろにしていると思われがちだけど、あの人たちは実はかなりアクションを大切にしている。浜田は言うに及ばず、一見「口だけ動かしている」ように見える松本も「これから口だけ動かしますよ」というアクションをしていますからね。

 いやさ、むしろアクションを大切にしているのは芸人よりもヒカキンをはじめとしたユーチューバーですよ。つかトップユーチューバーと言われる人は必ずと言っていいほどアクションを付けてるもんねぇ。

一応記念として書いておきますが、このエントリのリンクをTwitterに貼ったら仲本工事さんからイイネをもらったんですよ。
もうそれだけでも十分なんだけど、まさか、あれが本当に最後の仲本工事さんとの接触になるとは思わなかった。




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