いやね、実は「ドラえもん」なんかに登場するフニャコフニャオに類似するキャラクターって他にいないんじゃないかと思いまして。
漫画の作中に作者が登場する、というのは先例はいくらでもあります。コマからはみ出た形で作者の似顔絵ともに「←作者」みたいに明示してある場合もあるし、それ自体は手塚治虫以前からあることです。
また主人公のモデルが作者自身というのも珍しくない。ま、「まんが道」なら満賀道雄と才野茂、手塚治虫なら大寒鉄郎、とかね。
でもフニャコフニャオはどちらでもない。枠外に登場する作者そのものでもなく、自伝的物語のキャラクターでもない、というね。
「ドラえもん」にしろ「オバQ」にしろフニャコフニャオ登場回はたいてい彼が主人公で、コメディリリーフなんだけど脇役ではなく「使えば主役」ってのが面白い。
近いキャラクターとしては吾妻ひでおの「あじまひでお」ってのがいる。だけど、やっぱ、あじまひでおの方が現実の吾妻ひでおに近い。もちろん違うところはあるけど、カリカチュアされたって感じだし。
でもフニャコフニャオになると、もう、完全にフィクショナルなキャラクターなんですよ。
完全にFとAが合体したような顔で、描いてる漫画も「ライオン仮面」というアクションヒーロー物だなんて、現実の藤子不二雄がむしろ避けてきたようなジャンルの漫画ってのがよりフィクショナルです。
また今度詳しく書くけど、吾妻ひでおだって別にロリコンでもないのに「あじまひでお」はロリコンって設定にして読者のイメージと合わせてたんですよ。でもフニャコフニャオはそれさえしてないですからね。
世間のイメージに合わせることもなく、かと言って現実の藤子不二雄に近いわけでもない。極端に言えば共通点は漫画家ってくらい。
なのに名前は自身のをモジったフニャコフニャオなんだから。
ただ無理矢理、もうひとつ共通点があるとするなら、O次郎にクラゲっぽいキャラクターを描かせて、フニャコフニャオがそれを気に入って「クラリン」と名付けたところでしょうか。
たしかに幼児の落書きタッチだけどデザインそのものは実に藤子キャラっぽく、名前がクラリンってのも本当に藤子キャラっぽい。
こうやって深読みしていけば、たしかに作者がモデルってわかるのですが、前も書いたけど、F、A問わず、この人らのパロディはわかりづらいんだよね。ぜんぜん気づいてもらおうって気がない。
やっぱふたりとも大衆漫画家の皮を被ったマニア向け漫画家だわ。