失敗の香りしかしないMSX3
FirstUPDATE2021.9.29
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まァ、これほど失敗が確定しているハードっつーか規格も珍しいんじゃないかと思うのが、MSX提唱者のひとりである西和彦が進めているMSX3規格です。

アタシはMSXには大いなる思い入れがある。
MSXはVDP(≒GPU)にTMS9918を使ったことが最大の失敗であり、今もってマニアを熱くさせる要因であるとも思うのですが、結局ね、マニア心をくすぐるハードウェア構成は最終的にグラフィック性能だと思うのですよ。
例えば、それこそファミコンの現代版が出たとして、CPUは6502を使って、音源も似た感じの能力で、でもグラフィックが「フルHDフルカラー」ならば、もうファミコンの痕跡も見い出せない。
ところがMSX3の場合、2K解像度に対応するらしい。これではぜんぜん「あの頃の現代版」にならないと思うのですよ。

たぶんマニアにMSX3なるものに希望を抱かせるのは「制限のないMSX」だと思うのです。
CPUはあくまで8ビット。んでZ80互換。それでいて8ビットとしては限界まで速いヤツ。
グラフィックで言えば解像度はMSX1の256x192のまんま。色数も16色。それでいてドット単位に色が変えられて、縦横ハードウェアスクロールが出来て、スプライトの数も(横方向の制限も)無限なヤツ。
音源はPSGなんだけど、複数個載せて、もしくはそういう音源を使って無制限に和音を出せるヤツ。

つまり、何が言いたいのかというと、あくまで「当時基準で夢のスペック」なのです。
今を基準にして、というかそれこそMSXの当初の構想通りホームコンピュータを目指したりなんかしたら上手くいかないに決まってる。中途半端に今の性能に近づけたらインターネットとの親和性とか、じゃあブラウザはどうするんだ、とか、問題が増えすぎるんです。

ま、せいぜい<今>を取り入れるとしたら、HDMI出力に対応させたり、ROMカートリッジスロットの代わりにUSBポートを付けたりするくらいだと思う。さすがにそこだけは、現代を入れなきゃしょうがないけど、それ以外はどれだけ「現代の基準を忘れて当時基準の夢を実現させられるか」なんじゃないかねぇ。
ついでに言えば、MSX2もMSX2+もMSXturboRも忘れる。あくまで初代MSXの無制限版を目指さなきゃどうするんですか。

正直、マニアにそっぽを向かれるマニア向け商品って最悪ですよ。マニアしか喜ばない商品もどうかと思うけど、それはそれで最低限のパイを確保してるんだからアリっちゃアリです。
というかさ、西和彦のTwitterを読む限り、まだホームコンピュータなんてものにとらわれているような気がする。
ホームコンピュータって、今さらWindowsやMacと勝負するの?いやそれでなくてもAppleTVとかFireStickTVとかいろいろあるのに、それらと勝負するには圧倒的に性能が足りないし、無理矢理対抗しようとスペックを上げたら、それはもう、MSXでもなんでもなくなる。

これはTwitterにも書いたけど、MSXって規格はゲームくらいしか作れない性能の価格帯の製品なのにゲームをないがしろにし過ぎた。
MSX規格を立ち上げる時に、せめてVDPだけは独自チップにして、とは言わないけど、ベースはTMS9918にするにしても独自に拡張させたMSX専用にしてね、ドット単位の色変更とかスプライトの数とか、縦横ハードウェアスクロールだけはファミコンと横並びレベルにするべきだったとつくづく思う。

あれから40年ちかく経ったけど、今もって西和彦の<夢>と熱狂的なMSXユーザの<夢>に距離がある、と思うのはアタシだけなんですかね。







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