たしかにアタシは神戸生まれなのですが、神戸には実はそんなに長い期間住んでたわけじゃあないんですよ。ま、短いってほどでもないけど。
高校を卒業するまでだからまず18年間。その他諸々短期間住んだのが延べ2年ほど。んで2019年からあらためて神戸に居住しだしたのが2年半ほど。つまり計22年半ちょいしか住んでない計算になる。アタシの今の年齢から換算すれば22年では半分にも満たない。いや半分どころか2／5ほどです。
それでもやはり、子供時代の記憶は強烈なので「良くも悪くももっとも印象深い街」になってもよさそうなもんだけど、それがなってないわけで。
アタシが住んだ中で印象深い順を付けるなら
ロンドン＞＞東京・人形町＞＞＞湘南＞＞＞＞神戸＞＞＞＞福岡＞＞＞＞＞横浜＞＞＞その他
ってな感じでしょうか。しかも現今住んでるにもかかわらずってことを考慮すれば相当順位が低い。
何でこんなことになったかというと、もう言いたくないんだけど、結局は阪神大震災なんですよ。もちろん今は復興はしたんだけど、あれでもう、ぜんぜん別の街になっちゃった。いや流行り廃りはあるので変化は当たり前なのですが、上手く言えないけど空気感が変わってしまったので、いくら現今神戸在住だからといって今の神戸に思い入れを持ちようがないんです。
せめてね、昔の神戸とは違うけど、今は今で面白いな、とかならいいんですが、2年半住んだ感想を言えば「面白みのないただの地方都市」としか言えないわけで。
かろうじて過去の（阪神大震災前の）神戸と今の神戸をつなぐのがサンテレビです。
サンテレビだって本当にいろいろ変わった。動かないCMが普通だったのが今はすべてのCMがハイビジョンで制作されているし、自社制作の番組も、昔のように「異様に薄暗い」感じはありません。あと「おっサン」っていうゆるキャラを押し出したりね。そういや本社もポーアイからJR神戸駅前に移転したりして。
でも本質的な空気は変わらない。あの、ウチはカネがありませんので、やれることだけやらせてもらってます、というね、謙虚と言えば謙虚、開き直りと言えば開き直り、そんな、他の民放局と張り合おうなんて滅相もない、という姿勢は昔とまったく一緒です。
そんなサンテレビが昔から一貫してストロングポイントとして打ち出しているのはスポーツ中継です。
ま、競馬をスポーツと言っていいかは微妙だけど、阪神タイガース戦完全中継（サンテレビボックス席）はもちろんですが、サンテレビと言えばスポーツであり、実際スポーツ中継のクオリティだけはキー局準キー局含めてもっとも高レベルです。
たしかにウチは貧乏やけど、スポーツ中継だけはすべての面でテッペンを取らさせてもらいます。そこがアカンかったら存在意義がありませんから・・・と言いたげなくらい、本当にサンテレビのスポーツ中継は天下一品なのです。
以前「神戸はもっとスポーツを全面に押し出すべきだ」と書きました。
もうオシャレな街じゃなくなったし、街の発展も停滞している。そんな一見何にもなさそうな神戸が現今唯一誇れるのがスポーツだと思う。
前回イチローやイニエスタ、はたまたマートンやメッセンジャーなどの元阪神の外国人選手の名前を挙げましたが、やっぱり、神戸はスポーツ選手に愛される＜何か＞があるんだと思う。
正直それが何なのかはわからない。でも、スポーツの街にするに相応しいというか、胸を張ってウチはスポーツ市です！と打ち出せるなんて神戸くらいなんですよ。
さて、少し話が変わります。
アタシはね、正直、今回のオリンピックにかんして、止めておいた方がいいんじゃないかなぁ、というスタンスでした。つまり賛成はしてないけど積極的反対でもない。あくまで「どちらかと言えば」ならば、まァ反対、という感じだった。
それが覆ったのは、阿部一二三、阿部詩兄妹を応援するノボリを見た時です。
ああ、こんな身近に、オリンピックを目標にして頑張ってる人がいるのか、もし、オリンピックが中止になればどれだけの人が悲しい思いをするだろ、と考えた瞬間、心が動いた。
もちろん、このパンデミックの最中、クラスターが起こればもっと悲しい思いをする人が出てくるのはわかっていた。わかっていたからこそ消極的反対だったんだし。
でも「だからオリンピックなんか我慢しろ」というのは絶対に違う、と。
オリンピックを運動会と例えた莫迦な女優がいたけど、自分と関係ないことならば平気で我慢しろ、我慢が足りない、と言う人たちは、アタシから言わせれば想像力が足りない。相手の立場になって物事を考えるという共感力が足りないと思う。
つまりアタシは、コロナで苦しむ人や医療従事者の人たちに共感するのと同様に、オリンピックを夢見る人たちに共感したまでなんです。
とにかく、結果として、オリンピックは開催されました。
アタシは必死で阿部兄妹を応援した。もちろんアタシなんかニワカもいいところだけど、何だか彼らを本気で応援する人たちの姿が背後に見えるようだったんです。
そして、阿部一二三の金メダルが確定した瞬間、もう涙が止まらなくなった。というかこれを書いててもあの瞬間を思い出して涙が滲むレベルで、感情が動かされたのです。
阿部兄妹のノボリが街にある、ということはつまり、彼らの出身地は神戸です。
やっぱり、神戸はスポーツなんだ。今後神戸が本当に復興するなら、基点は絶対スポーツだ、スポーツしかあり得ない。その気持ちがより強くなった。
神戸が今、カネがないのはわかっています。
でも、願わくば、ノエビアスタジアムとほっともっとフィールド神戸、あとワールド記念ホールや王子動物園の横にある体育館など、周辺を含めて再整備して欲しい。
そして、もし可能ならば、甲子園球場に負けない大球場と日産スタジアムに負けない大スタジアムを、そしてロンドンのウインブルドンに負けないテニスコートを作って欲しい。それも出来るだけ立地の良いところに。
さらに全部の区に、野球にもサッカーにも対応可能な、極端に言えば地方大会くらいであれば対応出来るレベルのスタジアムを作って欲しいのです。
今時ハコモノを作って、なんてやり方は時代遅れ、と言われるのはわかっています。それでも神戸はあまりにもハコモノが弱すぎる。何でもかんでも無限に作る必要はまったくないけど、神戸くらいの規模の都市でこのハコモノのなさは異常なんだから、作ることに問題はない。
そしてそのハコモノは必ずスポーツ絡みでなければならない。イベントなどに対応させるのはいいけど、あくまでスポーツありきのハコモノを作る、と。
スポーツが好き？ならばやるのも見るのも神戸だろ、と言われるレベルになって欲しいと切に願う。それだけのポテンシャルはゆうにあるんだから。
神戸はスポーツの街にならなきゃいけない
FirstUPDATE2021.8.28
