世間にはいろんなマニアがいるので、あくまで映画と音楽の話に限らさせていただきます。
どんな映画を愛好してたら、もしくはどんな音楽を愛好してたらマニアの領域になるのか。これ、意外にも明確な分岐点があると思うのです。
数年前ならツタヤやゲオなどでレンタル扱いされているか、今ならサブスクリプションで配信されているか。
たったこれだけ。いわゆるメジャーと言われている映画や音楽は、よほど意固地やよほどの戦略があるもの以外は、まァ、サブスクに入っているわけでね。それはレンタルもそうだった。存在自体は十分メジャーなのに、頑なにレンタル扱いしない一部のDVDやCDはありましたから。
そうした一部の例を除いて、需要が低いものはレンタル扱いされなかったし、サブスク配信もされていない。ま、当然ちゃ当然の話です。「見込みが薄い」のにマスタリングや版権処理とかやってられないってのはよくわかる。
だから「数は少ないかもしれないけど、一定数さばけることは見込める」映画や音楽はレンタル扱いにもサブスクにも入らず、メディア化されて販売オンリーになる。
そうした「自分の好きな映画や好きなアーティストの作品ってことごとくレンタル扱いにもサブスクにも入らないんだよな」なんて人は、もうこれはマニアと言ってもいいはずです。
さらに「一定数の売上さえ見込めない」映画や音楽を求める人は、これはもうマニアを通り越して研究者の域に入る。
それはさすがに話が逸れすぎるのでペンディングしますが、研究者まではいかないまでも、<所詮>マニアレベルでも、その数は想像以上に少ないのではないかと睨んでいるのです。
例えば某巨大掲示板なんか、まるでマニアしかいなさそうなのに、その実「サブスク?あんなの中途半端だよ」とか「ぜんぜん揃ってないよね」なんて意見が極端に少ない。むしろ「見たい(聴きたい)のがありすぎる」という意見のが圧倒的に多いんです。
某巨大掲示板でさえその程度と考えるなら、もっと普通のっつーか、一般の人たちにとってサブスクレベルでも十分であり、正直あんなの入る価値が薄い、なんて考える人はよほど特殊ってことなんだと思う。
んで、当然のように、その特殊チームの中にアタシも入る。
アタシは<無料配送のオマケ>でしかないアマゾンプライムを除いて、たったひとつのサブスクもやっていない。よく「何で?ネトフリとか面白いのあるよ」とか「Spotifyはいいよ」なんて話は聞くんだけど、とにかく<好み>のがまったく配信されていないんだから入る価値が、つまり毎月毎月カネを払い続ける価値がまるでないのです。
正直、サブスクに入るくらいならそのカネでスカパーのチャンネルを契約したり、ブルーレイやCDを買う方が<好み>の、つまりは望み通りの体験が出来る。
でも世間というか、もうこれは全世界的になんだろうけど、アタシのような考え方の人間は本当に少ないようで。
これ、時代についていけてないって話じゃないんですよ。もうただたんに「マニアであるか否か」だけなんですよ。
映画や音楽に限らず書籍類も同じでして、アタシが望む本はぜんぜん電子書籍化されない。だからシコシコと自炊するハメになる。
ある意味これは「時代に取り残された」ってのよりも疎外感がある。そうか、そんなにアタシは特殊なのか。しかも日本に限らず世界中どこでもそうなのか、と。
というかマジでつくづく思う。メジャーな趣味趣向がある人が本当に羨ましい。
何の因果で、戦前の(それも日本の)スイングジャズとか映画が好きになっちまったんだろうって。こんな趣味のせいでサブスクなんて完全に興味の範疇から外れた時代遅れ人間扱いされるんだから。
マイナーな趣味なんておやめなさい。本当に好きで好きでってのならしょうがないけど、スノビズムでマイナーな趣味とか、悲しい思いをするだけなんだから。ほんと。