恥部を晒すみたいで嫌なんだけど、アタシはものすごくひとり言が多い人間です。とにかく、ずっと、ブツクサ言ってる。
なんて言うと文句ばっかり言ってるイメージになるかもしれないけど、あんまりね、ネガティブなひとり言は言わないんです。
説明が難しいんだけど、別に「ネガティブなことばっかり言ってちゃ人間としてダメになる」とかね、そんな高邁なことを考えて抑制してるんじゃないんですよ。そもそもアタシは怒りの感情が薄い人間なんで、そんなことを考えもしないっていうか。
ましてやテレビで野球観戦をしてる時なんて、ま、野球好きにはテレビに向かってアホだのボケだの言ってるイメージがあるかもしれないけど、アタシはね、もう、プロ野球選手になれたってだけですごいと思っている。いわば尊敬の念があるわけで、選手や監督の采配をボロクソに言うわけがない。
せいぜい、そうだな、それは止めといた方がいいんじゃないかなぁ、くらいです。
だからといって選手に甘々なのかというも、それも違う。素人見立てなのは百も承知しているのですが、これはちょっと、一軍では厳しいな、とか、さすがにその育成方法はどうなの?、みたいなことは思います。
しかし逆もまた真なりで、阪神に限らず他球団の選手であろうが、良い選手が台頭してくるとワクワクする。
最近で言えば巨人の岡本とか、完全に停滞しちゃってるけど広島の小園なんか、本当にワクワクしたもん。
ま、比べるもんじゃないのはわかってるけど、それにひきかえ、こと野手で言えば、阪神には本当、そういう選手が少なかった。
あ、これも言っとかなきゃいけないと思うけど、ネットでは阪神ファンはポジポジとか言われてるけど、阪神ファンほどネガティブな人らもいないと思ってる。
だってさ、いったいどれだけ期待を裏切られてきたと思ってんのよ!?んなもん、そう簡単にポジれるわけないじゃん!!
でもねぇ、そんな飼い慣らされた阪神贔屓からしたら、本当に、今年のゴールデンルーキーである佐藤輝明にたいして困惑している。
いくら素材は良くても最初はバットにも当たらないだろ。ま、今年の後半くらいからボツボツ一軍の試合に出てくれたらいいよ。
マジでそんなことを思ってたし、阪神の育成力ではしんどいと思ってたから昨年のドラフト前には「早稲田の早川で行け」と思ってたくらいです。
佐藤に驚いたのは結果ではない。何というか、思ってたタイプとぜんぜん違うことに驚いたんです。
何しろあの体型だしあのスイングです。大学時代には三振も多かった。だからとにかく、すべてにおいて不器用で粗くて硬い感じと思ってたっつーか。
ところがところが、キャンプで動きを見る限りどちらかというと器用な方で、硬いどころか守備も打撃もかなり柔軟性がある。とくに肘や膝や手首の使い方が思ってたよりもずっと柔らかいんです。
よくチームメイトで大学の先輩でもある糸井や、ソフトバンクの柳田と比較されるけど、単純な<柔らかさ>だけでいえば佐藤の方が柔らかい。
糸井も柳田も打撃はまあまあ柔らかいけど、守備はふたりとも硬すぎる。とくに糸井は札幌ドーム→京セラドームと硬いグラウンドでやってきた影響で膝がボロボロになり、柔らかい甲子園に来たら今度はグラウンドの柔らかさに膝がついていけなくなって守備範囲が極端に狭くなった。
その点佐藤は全部が柔らかいし、本拠地が甲子園なのも大きい。
正直、佐藤が今季、どの程度の成績を残すのかはわかりません。ただ、間違いなく、あのスイングと身体の強さ、そして器用さ、柔らかさは本物中の本物です。
ただ、それでも、こんな選手が何で阪神にいるんだ、という違和感が消えないのは飼い慣らされすぎてるな、と思ってしまうわけで。