カズさんが救ってくれた
FirstUPDATE2021.2.18
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 あなたの、ちょっと人には言いづらい趣味は何ですか?と質問されるなら、アタシなら「エアショッピング」と答えるのではないかと。

 わかります?エアショッピング。わかるわけないか。
 ま、何とも恥ずかしいことなんですが、顔を真っ赤にしながら説明します。
 さすがにここ20年くらいはまったく買ってないのですが、かつてアタシは「monoマガジン」という雑誌を購読していたことがあります。
 と言っても「欲しいモノがあるんだけど、実際、機能や使い勝手はどうなんだろ」とはちょっと違ってね、あ、これいい、と思った瞬間に完全に手元にある気分になるんです。
 よし、これさえあれば、日々、こんなふうに使うぞ、とか、旅行に持っていくとなるとカバンをどうしよ、とかね。
 とにかく、そんなことを考えるのが本当に楽しくてね。到底人に言える趣味じゃないけど、そもそも趣味なんて他人に理解されないのが普通だから。

 では日常的にエアショッピングをやるのか、というと、やらない。やるのは精神的にギリギリまで追い込まれた時に限ります。
 あまりにも現実が辛すぎる時、それでも何とか、ほんのひと時でいいから現実を忘れたくて、エアショッピングに走る。
 エアショッピングの時間は苦痛が和らぐし、何しろ<エア>なので手持ちの現金があるかないかは関係ない。あくまでエアだから「ストレス解消のために買い物依存症になってカード破産」はしない。散財し放題です。
 え?むなしくないのかって?ぜんぜん。だって辛い現実なんかよりはるかに楽しいもん。むなしいかどうかさえ考えることがないっつーか。

 さて。
 2018年、というと、アタシが生きてきた中でダントツに辛い年でした。
 もう、何がどう辛かったのか書く気にもならないくらい辛くて、マジで「生きるのを止める」という選択をする寸前だったんです。
 あれだけ好きだった神奈川県を離れて、生まれ故郷ではあるけどイマイチ愛着のない神戸に戻る、という大きな代償はあったとはいえ、何とか生きていく決心がついた。
 そうはいってもギリギリの<何とか>レベルでしかなく、とてもじゃないけど「前向きに生きていこう」とかそんな心境になれたわけじゃあ、なかった。
 実際に引っ越したのは2019年の正月明けです。
 もちろん引っ越したからといって、何もかも辛いことが消えてなくなる、なんてことはなく、神戸に舞い戻ったアタシはずっと、鬱屈した日々をおくっていました。
 こんな時、何をするかというと、もちろんエアショッピングです。今はインターネットなんてものがあるからもう雑誌を買わなくて済む。ついに「本当に1円も使わずに(エア)ショッピングを楽しめる」時代になった。
 ああ、いい時代になったな、なんて心にもないことをひとりごちながら、ひたすらエアショッピングを続けていた、いや続けるしかなかったというか。

 あれは2月のことだったと思う。
 引っ越して2ヶ月。何の好転もすることなく、その日も昨日の続きと言わんばかりにエアショッピングを開始した。
 この頃、アタシのエアショッピングのターゲットはプロジェクターでした。とくにシーリングライトにプロジェクターが合体した「popIn Aladdin」ってのがものすごく気になっていた。
 ただプロジェクターってね、アタシもエアではなく実際に何台か買ったことがあるからわかるけど、やっぱ、実機を見ないと「掴めない」んです。いくらサイトでスペックやイメージ画像みたいなのを見ても、なかなか「買った気分」にはなれない。
 文章じゃダメ、画像もダメ。こうなるともう映像しかない。で、映像でってことなら、もうYouTube、つまりユーチューバーの動画しかないんだけど、正直あんまり気が進まなかったんです。

 正直に言います。この時点、つまり2019年2月の時点で、アタシはユーチューバーなるものを完全に莫迦にしてました。見下していた、と言い換えてもいい。
 あんなの、内輪で楽しんでいるだけの程度の低い連中だ。今は何かの間違いでカネになってるかもしれないけど、そんなもん、すぐに廃れるに決まってる。
 もちろん先入観なのは否めないけど、先入観ばかりとも言いにくい。

 実際、それまでにも商品レビューをしているユーチューバーの動画をね、何本か、いや何十本かは見ていたのですよ。
 でもそれらに共通していえたのが、とにかく異様に見づらい。だって、フィクションではない映像作品の基準はテレビなのですよ。つまりテレビ基準だとユーチューバーの動画なんて、もうまったく見てられない。
 昨今テレビの質の低下が言われてはいるけど、そうは言ってもメディアの王様であるテレビは「人様に見せるものを作る」だけの<機材>も<技術>も<意識>も、最低限レベルは余裕でクリアしています。

 ところがユーチューバーの動画は最低限レベルはクリアしてるな、と言えるものはほとんどなく、具体的には、映像がグニャグニャなのはもちろん、音声が聞き取りづらいし、そもそもモゾモゾ喋ってるから何を言ってるのかさっぱりわからない。比較的マシなユーチューバーでも大半が、いわゆるオタク喋りでね。
 とくに酷いのが編集でして、テンポが悪いわ、肝心なところはすっ飛ばすわで。

 だから、もう、気分は<一応>ですよ。一応、YouTubeも見ておくか、と。
 ユーチューバーの動画なんて何の期待も出来ないし、またイライラするだけかもしれないけど、これもエアショッピングのため。何となくの使い勝手や映像の雰囲気がわかれば、他のことは目を瞑ろう。
 ところが、何しろブツがプロジェクターです。どうもプロジェクターってのは素人が映像に収めるのが相当難しいようで、雰囲気さえもわからない。
 これがユーチューバーの限界だな。ま、所詮は、こんなもんだよ。撮影も編集も<喋り>も素人なんだから期待する方が間違ってる。
 もう、比較的再生数の多い、コレだけ最後に見て、止めよう。


・・・あれ?


 何だこれ。今までアタシが見てきたユーチューバーの動画とぜんぜん違う。映像はピシッとしているし、編集もすこぶる見やすい。(追記・確認したら↑案件動画だった。案件動画で宣伝くさくなくてこれだけのクオリティとか驚異的です)
 何より説明っつーか<喋り>がものすごくわかりやすい。んで、わかりやすいだけでなく親しみが持てる喋り方。
 こんな人がユーチューバーにいるんだ・・・。
 これが「カズチャンネル」との出会いでした。

 いやいや、まだわからんよ。たまたまこれ一本だけが奇跡的に良く出来た動画なのかもしれない。じゃあ、他の動画を、あと一本だけ、見てみよう。
・・・うーん、良く出来ている。というか素直に面白い。というか楽しい。悔しいけど、それは認めざるをえない。
 いや!まだだ!もう一本!ってこれもイケる。じゃあもう一本だ!

 気がつけばアタシはカズチャンネルの動画を片っ端から見ていた。途中からは「疑いの目」なんかどっかにすっ飛んでいき、100%<娯楽>として、見ていたことに気がつきます。
 エアショッピング?何それ?ま、たしかに、それも楽しいっちゃ楽しいし、嫌なことをほんのひと時でも忘れられる。
 しかしカズチャンネルの動画には<はるかに>及ぼない。とにかく、カズチャンネルの「福井のカズさん」の動画を見てるだけで、心の底から癒やされる。

 あれだけボロボロになったアタシは、いくらエアショッピングを繰り返しても「ほんのひと時の忘却」しか得られなかったアタシは、カズチャンネルを見ることによって、少しずつ、ほんの少しずつかもしれないけど、立ち直りだした。
 そして、ついに前を向けるようになった。このままじゃダメだ。開き直りかもしれないけど、そんなに明るい未来はないかもしれないけど、とにかく、やるだけやってやれ!そんな気分になれたのです。

 こう言っては失礼なのですが、福井のカズさんは、少なくとも「神経質なほどキチンとしている人」ではありません。世間がどんどん神経質になってるこの浮世では、ある意味逆行しているのかもしれない。
 しかしそれがアタシには非常に心地よかった。アタシは本当にズボラな人間なので、神経質な人と一緒にいると息が詰まってしまう。たぶんカズさんが神経質なタイプだったらアタシはカズチャンネルにはハマらなかったと思う。
 しかし、すべてがズボラなのかというと、違う。たしかに動画内の行動はいきあたりばったりだったりするけど、編集などの「他人さんに見せる(魅せる、でもいいけど)」ということにたいしては実に真摯に、細やかにやっているのです。
 しかもオーソドックスな編集から一歩踏み出している。たとえば「水曜どうでしょう」なんかの編集の方針とは違うんだけど、どちらも発明性みたいなものを感じるんです。

 これまた失礼な話かもしれないんだけど、単純な面白さだけで言えば、カズチャンネルよりも面白いユーチューバー動画はあるはずです。
 ただ、それらは面白いだけで、けしてアタシを癒やしてくれることはない。
 これは<ほのぼの>と言ってもいいのかもしれない。でもね、実は作為的に<ほのぼの>をやるってメチャクチャ難しいんです。むやみにほのぼのさせようとしたら冗長な、何の引っ掛かりもないものになってしまう。実際、そういう動画は多いです。それはそれで支持を得てるんだろうから別にいいんだけど、アタシの琴線には触れない。
 そこがカズチャンネルは違う。
 何というか、微妙な<チクリ>はあるのですが、チクリとはやるけど無毒なんです。いわば無毒針というか。そのバランスもものすごく気持ちがいい。
 チクリがちゃんとフックになってる。チクリのおかげで余計<ほのぼの>が引き立っている。つまり、また見てみたい、と思う牽引力になってるとも思う。

 ま、正直、こんな分析は意味がない。感じない人にはとことん感じないだろうから。
 結局ね、かつての、2019年2月までのアタシのように、ユーチューバーを莫迦にしている人は、アタシにとってのカズさんのような「琴線に触れる」存在を見つけられていない人だと思う。
 誰しも「カズチャンネルを見ればユーチューバーへの認識が変わるよ」とは思わない。そこはもう、絶対、人によって違う。だけれども、これだけユーチューバーがいるわけで、探せば「何だかわからないけど、この人、いいなぁ」と思える人がいるはずなんです。
 あくまで「この動画、面白いなぁ」ではなく「この人、いいなぁ」なんです。この感覚こそ、テレビとは違うYouTubeの見方ではないかと。

 まずユーチューバー本人ありき。だからか、アタシの場合で言えば、ものすごくカズさんに影響を受けた自覚がある。
 とくに<ほのぼの>とか家族にたいする認識はカズさんによって変えられたといっていい。ああ、行き着く先は、こういうものではないか。自分も曲がりなりにもインターネットで何かを発信するなら、あの頃のアタシのような「絶望の淵に立ってる人が救われるようなものを発信したい」と思えるようになった。

 さすがに植木等に匹敵する、は言い過ぎだけど、アタシにとってカズさんは文句なしにスペシャルな存在であり、ドリフターズの人やエノケン、藤子不二雄あたりとは比類すべき存在にまでなり仰せています。
 だって、この人のおかげで、今の自分があるんだから。

福井のカズさんと交友のある、有名ユーチューバーの瀬戸弘司氏と海外在住ユーチューバーのdorikin氏の会話の中にカズさんの名前が出てきたことがあってね。
その中での瀬戸弘司氏の「あの人(カズさん)は自分では気づいてないけど実はイチローのような人」という発言には頷けるものがありました。
動画を見るだけのアタシでも、カズさんってちょっと異能なんじゃないかと感じるところがあって、何というか、ラインの飛び越え方が人とは違う気がする。
こういう人の真似だけはしちゃいけない典型というか、カズさんの真似をしたら絶対大やけどする。
でも、だからこそ、絶望の淵のアタシを助けることが出来たんだなぁ、とあらためて思うわけで。




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