えと、例のプペなんちゃらが作品の内容と関係のないところでエラくモメて、その結果、かはわからんけど、所属事務所も辞めることになってね。
まァね、こういうふうになった以上は、これまた作品の内容関係なくディズニーもジブリも超えられませんな。それははっきりした。
んなことよりですね、そのプペなんちゃらの製作総指揮ですか、をやった人の相方のYouTubeチャンネルのね、一本の動画にアタシは感心したんですよ。
おそらく、まったく狙ってやったんじゃないと思う。というかアップされてからも本人及びスタッフはこの動画の本当のすごさに気づいてないと思う。
まァ、こう言ってはナンですが、だからラッキーパンチ以外の何物でもないと思うんだけど、このラッキーパンチは強烈すぎる。それほどちょっと類を見ない映像作品になってるんです。
ここから先は当該動画を閲覧してから読んでもらいたいのですが、軽く内容を説明しておきます。
カジサック及びスタッフたちがたわいないゲームをしているのですが、その様子は一切カメラに映さず、延々、生まれてまもないカジサック家の赤ちゃん(はるちゃん)を映し続けている。
何しろ赤ちゃんだからね、とくに何をするわけでもなく、何か飲んだり、お母さんにあやしてもらったり、軽くウロウロしたり、ま、その程度です。
つまり、この動画の狙いははっきりしている。
「かわいい赤ちゃんの様子をひたすら見てもらいたい」
というね。
ところがこれがとんでもない、というか作り手にとってはまるで計算外の感情を動かされた。
赤ちゃんをずっと映している、ということは、被写体が赤ちゃんであるにもかかわらず赤ちゃん目線に近くなる。そして周りで騒ぐカジサック他は「ただの大人たちの饗宴」になるのです。
これ、いつか体験したことがあるぞ。というかこれって自分が赤ちゃん及び幼少期にまったく同じことがあったじゃないかと。
何しろ小さいから大人たちが何を話しているか、具体的にはまったくわからない。でも、ビールでも飲みながら、たわいない世間話をしながら笑い合ってる。その様子を見るとはなしに、聞くとはなしに、感じている。
いや、たぶん、これはアタシだけではないと思う。もうほとんどの人が幼少期に「似たような感覚」があったんじゃないか。
よく童心に帰るなんて言いますが、ここまで幼少期の感覚を喚起させてくれる映像はちょっと見たことがない。本当の意味で「懐かしい感覚」というのはこういうものではないか。
アタシはね、実はここに金脈があると思っているのです。
金脈なんて書くとそれこそその相方みたいになるけど、本当に「懐かしい感覚」ってクレヨンしんちゃんのオトナ帝国の逆襲の20世紀博みたいなことじゃないと思う。
それよりも藤子・F・不二雄のSF短編「やすらぎの館」のような、自分がまるで子供に戻ったかレベルで家具やなんかが微妙に巨大化された施設がもし可能なら(さすがに巨人症は無理だけど)「懐かしい映像」や「懐かしいおもちゃ」を見せられるよりももっと「懐かしい感覚」に戻れる=童心に帰れると思うのです。
アタシはプペなんちゃらは当然見てないけど、これは断言出来る。あれだけカネも手間暇もかけて作った映画よりも、相方のYouTube動画の一本の方が心を揺さぶられるものが内包されている。
惜しむらくは、ただのラッキーパンチってことなんだけど、こういうのは得てしてラッキーパンチから新しい何かが生まれるもんだから。