@Classic #特撮 #ネタ #会話劇 単ページ #仮面ライダー ウルトラマン レインボーマン ハリマオ ただのおっさん同士の会話 悪 正義の反対はもうひとつの正義 アンパンマン PostScript #2020年代 #X/Twitter #公共交通機関 #嗜好品 #戦争 #東京 tumblr
いやぁ、遅くなりまして |
混んでました?道 |
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結構。ま、自分のバイクはすり抜けんのが難しくて・・・ |
カウルもだけどリアウイングがアレじゃあね |
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まったくですよ。何だってあんなデカいの付けて走んなきゃいけないんだか。抵抗も大きいから加速も悪いですし |
あれって、キャッ・・・いや、おやっさんが? |
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いや、おやっさんは、あれはワシじゃない、と言ってます。そもそもおやっさんはプロなんで、あんな加速の邪魔になるようなものを付けるわけがないんですよね |
そりゃそうですよね |
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ところでおたくはここまでどうやって? |
無難に電車です |
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たしかに確実だけど・・・飛んできた方が早いんじゃないですか? |
あれ?言ってませんでしたっけ?私ね、デカくならないと飛べないんですよ |
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それは不便だなぁ |
一回それで商談に遅れてエラい目に合いましたからね。ヤバい、遅れる、となって巨大化して飛んで行ったんだけど、降りる場所がないんですよ。散々先方のビルの上空を旋回して |
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車輪が出ない飛行機みたいですな |
しょうがないからお台場まで行ってね、ダイバーシティのところに降りましたよ |
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機動戦士の辺りですね |
そしたら騒いでる人がいるんです。「夢の競演!」って。こっちはそれどころじゃないのに |
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それ、Twitterで流れてきましたよ |
喜んでもらえる分にはまだいいんですが、売名とかでかなり叩かれましてね。商談に失敗するわ、ネットリンチに合うわ、もう飛んで移動は懲り懲りです。・・・ところでひとつお聞きしてもよろしいですか? |
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なんなりと |
今日、居酒屋でってお伝えしましたよね |
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はい、そのようにうかがってたのでここに来たのですが |
何故にバイクで?飲めないじゃないですか |
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いや、正直に言いますが、バイク諸共運んでいただこうかと |
私にですか? |
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すみません。むしのいいこと考えてました |
まァ前に2回くらい送ったことありますしね。でもやっぱ、飲酒飛行はダメですよ |
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やっぱあれって法律上ダメなんですか? |
そこがどうもわからないんですよ。私が止めようと思ったのはただの自制なんですが、「飲酒飛行を禁ずる」って法律はないはずなんです |
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ま、「乗り物を運転してる」わけじゃないですものね |
そうなんです。私の場合、自分の力で飛んでるだけなんですよ |
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たしかに自力で移動がダメなら飲酒徒歩もダメってことになりますもんね |
ただね、法律でどうかはわかんないんですが、お酒を飲んで泳いじゃダメなんですよね。水泳だっていわば自力での移動じゃないですか。だったら飛ぶってのも泳ぐに近いのかもしれないなと |
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まァグレーなことは止めておくのが賢明ですな。命あっての物種ですし。あ、そろそろ注文しないとね。私はウーロン茶にしておきます。おたくは? |
やっぱり生から行かないとダメですかね |
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とりあえず今日はいいんじゃないですかね。ふたりだけですし。ただ仕事が絡むとね、生から行かないと白い目で見られますもんね |
あれ、いったい何なんですかね。いやさすがに奢られる時は文句を言うつもりはないけど、テメエのカネで飲む時くらい好きなモンから飲ませろや!とは思います |
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安心してください。今日は割り勘ですから |
割り勘で安心ってのも妙ですが、そうですね。ではクアントロをトニックウォーターで割ったのを・・・、あ、若干濃いめで |
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・・・たしかにそれを一杯目、しかも居酒屋でってのは・・・ |
かなり勇気がいりますよ。ぶっちゃけ怪獣と戦った時の方が緊張感は若干薄かったくらいで。その分クアントロトニックは若干濃いめですが |
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上手いこと言わなくてもいいです。それでは乾杯 |
乾杯。どうぞよしなに |
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さて、いよいよ本題に入りますか |
あの話ですね |
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題して「誰と戦えばいいんだよ問題」 |
何だか夜ふかしとか水曜日みたいなタイトルですな |
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タイトルは半分フザけてますが、かなり深刻な問題です。まず議論に入る前に前提を踏まえておきます |
ヒーロー3か条ですね |
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そうです。1、個人の犯罪には関与しない。2、国同士の争いには関与しない。3、政治的なことには関与しない |
先人たちが折衝を重ねた上で決まったことですから文句はないのですが、しかし実際問題、日本が他国と戦争状態に入ったらどうすればいいんですかね |
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我々もこうやって、普段は普通の日本人として暮らしているわけじゃないですか。やっぱりね、そうなってくるとほんの少しでも力になりたいって感情が芽生えてこないとは言えないですよね |
そうなんです。とくに私などはサイズ的なことがありますから相当な戦力になれると思うんですよね |
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でも現状はだまってというか、指をくわえて見てるしかない |
せめて中立の立場から話し合いの場を作れたらいいんですけどね |
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まあそうなんですけど、今まで散々力で制圧してきた我々が「平和的に解決しよう」と言っても説得力がね |
だったらお前ら、怪獣や怪人と話し合いの場を設けていたのか、と言われたら何も返せませんから |
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ヤツら、話し合いに応じるようなタマじゃないですよ |
それを言い出したら戦争もそうなんですよね。「他国をぶっ潰してカタルシスを得よう」なんて政治家は誰もいなくて、話し合いじゃラチが開かなくなって、それで仕方なく戦争になるんですから |
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カネがかかりますからね。ホンネはどこもやりたくないでしょう。ましてやボタンひとつで小島が吹っ飛ぶ兵器がある時代だし、それなら経済戦争を仕掛けた方が実利的ですもんね。結局大事なのはカネなんだから |
おたくはまだ規模が小さいし、たいてい岩場みたいなところで戦ってきたじゃないですか。ウチは基本街中でね、しかもデカいもの同士だから、まあビルやなんかが壊れる壊れる |
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前から思ってたんですが、あれって補償とかどうなってるんですか |
これも先人たちが折衝で決めたことですけど、ヒーローには一切補償は求めない、というふうになってます |
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そりゃそうですよね。命懸けで怪獣をやっつけてるんだから |
ただね、思うんですよ。ああ、もうちょっと上手く受け身をとっておけば2、3のビルに損傷がなかったのにって。光線だって一回怪獣を上に放り投げてから放てばだいぶ被害は変わるんですよ |
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でも必死で戦ってるんだから、そんな余裕がないのは当たり前ですよ |
そうなんですけどね。でもいつもより余計目に壊してしまった時なんか、ビル壊された人、これからの生活大丈夫かなって考えてしまうんです |
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真面目すぎますよ。酔ってきたんじゃないですか? |
すみません。湿っぽくなってきたんで話を戻します。たとえば偶然かっぱらいを見たりしたらどうします? |
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私?私ならもちろん追いかけて捕まえますよ。私らの場合は不文律みたいなのがあって、変身さえしなければわりと何でもアリなところがあるんです |
変身しちゃったら3か条は守らないとダメだと。でも変身した状態で、時の総理大臣に直談判したヒーローがいましたよね |
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あの人はね、修行だか何だか知らないけど思春期をインドの山奥でおくった田舎者だから3か条を知らなかったんです。というか昔はっつーか3か条がなかった時代はあきらかに政治的活動と思われるヒーローもいましたから |
ああ、谷さんですね |
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谷さんはただのモデルだけど、じゃあなんのために戦ってたかというと結局は政治的活動ですから |
でもね、今ふと思ったのですが、まァどちらに付くかはさておき、政治的な理由で動いた方がある意味邪念なく動けるんじゃないでしょうか |
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それはあるかもしれない。結局私たちの場合、どっちが正しいかは「何となくの感覚」で決めてるわけじゃないですか。でもその判断までヒーローに委ねるってことがいいことなのかどうなのか |
まだね、私らの場合は善悪の判断はしやすいんですね。怪獣にどんな意思があるかはわからないとしても街を破壊してることは事実だから<抑止のため>に制裁を加えようってのは間違ってはない。でもおたくらの場合はもっと微妙というか判断が難しいんじゃないですか? |
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うーん、正直に言いましょう。実際私らは秘密結社なるものと対峙してきたのですが、本当に秘密結社が悪なのかっていうとわからないんですよね。というかそこまで秘密結社の内情を精査してない。ホントはつぶさに調べ抜かなきゃいけないんだろうけど、はっきり言えばしてないとしか言えないんです |
いわば「どれほどの危険思想を持ってるか」ってことですよね |
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たとえば何年か置きにテロが起こってますが、じゃあ近年存在したテロ国家と秘密結社の何がどう違うんだ、と聞かれても答えられない。いやヒーローで答えられる者は皆無でしょう |
でも秘密結社には手を出せてもテロ国家には政治や国同士の絡みがあるから黙殺を強いられる、と |
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正直内実に違いなんてないと思うのですよ。いや秘密結社だってテロ国家と呼ばれる国だって「自分たちなりの正義」で動いているのは確実ですからね |
そこ、そこってのは『秘密結社も「自分たちなりの正義」で動いている』ってところですが、ものすごく重要ですよね。要するに「悪の組織なんて実在するのか」ってのが |
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集団心理としてはね、まったくないことはないとは思うんですよ。ひとつの悪事をきっかけに関係者全員が「もう引き返せない」みたいになって突っ走らざるを得なくなるってのはね |
サリンのヤツもそこからだと言われてますよね |
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ただし最初から<悪>を標榜して組織が作られるってのはちょっと考えられないんです。それこそね、秘密結社だって「理想郷」みたいなのがあって、現実を突き付けられて、でも理想郷を実現するためにどんどんねじ曲がって、猟奇的な破壊活動をするようになったんじゃないかと |
つまり独善的ではあるけど理念としてはというか、少なくとも最初は<悪>を掲げていたわけではなかったと |
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いやそれは最初だけでなく今もでしょ。彼らは自分たちのことを悪だなんて思っちゃいないですよ。むしろ地球に生きるものとして正しいことをしていると思ってるはずです |
何だか今流行りの正義マンみたいですな |
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まったく。ま、組織だから正義マンズか。いやでもですね、正義マンと秘密結社ならどう考えても秘密結社の方がマシですよ |
行動力がまるで違いますよね。正義マンは所詮ネットで罵詈雑言を吐いたり自粛期間に営業している店に張り紙をするくらいだから |
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正義マンってそのくらいしか「しない」のではなく「出来ない」んですよ。でも秘密結社ってマンパワーで成り立ってるところがあって、科学者やスポーツ選手などの優秀な人材から、市井の人も一切合切かっさらってきて、適材適所に振り分けて活用してるんですよ |
その優秀な人材の中におたくもいたと |
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いやいや、私は運が良かっただけですが、たしかにね、ある意味秘密結社は私の第二の故郷でもあるんです。だから多少は点が甘くなってるのかもしれませんが、目的と手段のうち手段がマズいだけで目的はそこまで悪いとは思えないんです |
それがわかっているなら、怪人を倒した後、ちょっと、チクッとしませんか? |
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しますします。だって怪人に改造される前はものすごく善良な人だったかもしれないのに、とか思うことはあります |
それは私らもそうですよ。怪獣なんて酷い呼ばれ方されてるけど、彼らが住む星ではその姿がスタンダードな存在だったり、何らかの事故で怪獣に近しい姿になっただけ、なんてことは往々にしてありましたし |
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成敗する程度ならともかく殺してしまっていいのだろうか、みたいな |
おたくらの爆発させるのもたいがいですけど、私らのは見た感じもっと残酷ですからね。首をスパッと切ったりするんだから。仮に殺さなきゃいけなかったとしても、何もあそこまで残酷な殺し方をする必要があったのかと |
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あれ、結構トラウマになりそうですよね |
人間は低い位置から見上げてるから切断面は見えないけど、私らはモロ見えです。実際、自分がやっておいてナンですけど、相当グロテスクですから。その日はご飯は食べられません |
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そうなりますわな |
話を戻しますが、散々戦ってみて、ただの一度も「今日も悪い怪獣をやっつけたぞ!」みたいな、まァカタルシスですか、を感じたことがないんです |
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<悪>という定義が曖昧だと、どうしてもモヤっとするというかね。何というか、もっと掛け値なしの悪とやり合いたいなって |
でもそんな「これは地球上に住む人間が悪と認定するだろう」と思えるような、正真正銘の悪とかいるんですかね |
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個人ならいると思うけど、それも生まれ持って善悪の判断がつかない、いわば疾患と考えれば一種の被害者と言えんこともないんですよね |
そこに戻ってしまうんですが、悪って実はいないんですよ。個人の犯罪だったり、人類の敵はいるのかもしれないけど、それは善悪とは無関係ですからね。でも正義の味方はいる |
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そこです。というか正義の味方なんて、我々ヒーローだけじゃないですからね。被災地で人命救助をする人たちも、たとえわずかでも募金をしたりボランティア活動を行なったりするする人たちも十分正義の味方です |
そして正義の中に秘密結社や異星から来た生物も含まれる、と |
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そう思います。誰が言ったか「正義の反対はもう一つの正義」って言葉を否定するのはあまりにも難しすぎる |
我々とはジャンルが違うけど、ほれ、自分の顔を分け与えるヒーローがいるじゃないですか。いろいろ考えるとあれが究極のヒーロー像なんですよね |
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どっちが正しいとかにかかわらず、窮地に陥ってる人を<とりあえず>助けるっていうね |
そう。善悪で考えると本当に動けなくなってしまう。それでは力の持ち腐れです。でも後先考えずに<とりあえず>レベルで困った人を助けるってのは、我々に限らず出来ることですから |
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その方向で行くしかないですな |
ところで、今何時ですか? |
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えとですね、11時半を過ぎたところです |
あの・・・誠に申し訳にくいんですが、実は・・・終電の時間が過ぎてしまいまし・・・て・・・、いや、巨大化すれば済むんです。でもさっそく誓いを破るってのも・・・。ですからですね |
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要するにバイクでおくって欲しいと |
ひらたく言えばそうなります |
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あのですね、いや、嫌とかじゃないんです。これも<とりあえず>助けるってことだし。ただあれ、乗れます?どう考えてもリアウイングが邪魔でしょ。相当大股広げなきゃいけませんが |
・・・正座で座ります |
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会話形式の良いところは「自分の言葉で語ってるわけではない」というところで、つまり自分のようで自分ではないわけで、わりと書きにくいことも書けてしまうのです。こういう、ある意味忌憚のない話は書いてて気持ちいいです。 とは言え正直、初稿では面白さが出ていたとは言い難かったのですが、2021年10月のリニューアル時に「さかい親子」同様、完全に会話形式デザインにしたことで、つかアイコンを表示させたのでバカバカしさが上手く出たような気がします。 あ、ひとつだけ補足しておくなら「谷さん」とは谷豊のことです。谷豊が何者なのかは各自ご検索をば。 |
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