紳助だったか鶴瓶だったか、それとも別の関西ローカルのタレントだったかは忘れたのですが、昔、音声はトークを延々と流して、映像はトークしている人間を撮るのではなく、まったく関係ない風景かなんかを流した番組をやったって話をしてて。
その番組はとにかく、すこぶる評判が悪かったらしい。
作った側は「映像付きラジオ」みたいなイメージだったそうだけど、視聴者から「見てたら酔う」と苦情が殺到したそうな。
「酔う」(酒で酔うのを除く)というのは「脳内のイメージと実際の映像(現注・というか実像)が微妙に違う場合に脳が処理出来なくなって」酔う、らしい。
昨今よく言われる3Dゲーム酔いとかVR酔いはそれが原因と言われますが、先の映像と音声がまったく関連がない番組もこれが原因なのは間違いないでしょう。
ところがこれを発想の転換で克服してのけたのが「水曜どうでしょう」で、カメラマンの嬉野Dが出演者を映さず延々車窓風景ばかり撮ってて、編集に困った藤村Dが「しかたなく」そのまま使ったらしいんだけど、これはね、見てても見事に酔わないんです。
ただでさえ揺れる車載+映像と音声が別、となったら完全に酔いそうなものだけど、車窓風景のど真ん中に会話の内容をでっかくテロップで入れることによって映像と音声の分離を防ぎ、かつ風景にあまり目をやらない仕組みにもなっているので酔いようがないという。
テロップばっかりの番組には批判も多いけど、ここまで発明クラスのことを考えて&やってる番組はほとんどないと思う。ただただ既存の番組の<作り>を踏襲してるだけ、みたいな。
何でテロップを出すのか、その方がわかりやすいから、なんて説明じゃてんでダメなんですよ。
だって「わかりやすさ」って諸刃の剣だもん。ミステリとかサスペンスで常にテロップで「この人が犯人です」って出しときゃわかりやすいってのと同じですからね。