クレージーキャッツの映画、と言えば高度経済成長期=1960年代の象徴と思われているかもしれませんが、実際は1970年代になっても何本か作られてはいるんですがね。
シリーズ最終作となった「日本一のショック男」は1971年12月31日に公開された。つまりほぼ1972年というか1972年の正月時点でまだクレージーキャッツ主演映画が公開されていたってことになります。
1972年と言えば老いるショック、じゃねえや、オイルショックの前年であり、と書くと一気に<最近>っぽさが出ると思います。
「日本一のショック男」は全体的に暗い作品で面白くないんだけど、とにかくクレージーキャッツ映画っぽくないのが主役の植木等がつとめる会社の社屋ビルが「全面ガラス張り」なんですよ。こういう近未来的なビルとクレージーキャッツの取り合わせが珍妙になってしまっているというか。
しかし全面ガラス張り=近未来って図式は、極端に言えば1970年代初頭から令和になった現代までずっと変わってない気がする。今でも全面ガラス張りのビルを説明するとなったら「あの近未来的なビルの・・・」なんて言っちゃいそうだしさ。
だからといって何でもかんでも全面ガラス張りになってるわけじゃないんだけど、今の子供でも全面ガラス張り=近未来的って変わってないと思うし、ちょっと進歩がなさすぎるよと。
そういや神戸に「人と防災未来センター」ってのがあってこれも全面ガラス張りなんだけど、でっかく「5:46PM」という文字が掲げられている。(阪神淡路大震災が起こった時刻)
もうこれなんかブラックジョークですよ。全面ガラス張りのビルが如何に地震に弱いか散々わかったはずなのに、震災を伝えるはずのビルを全面ガラス張りにするなんて正気の沙汰ではないよねぇ。