「兵六夢物語」は許せるサンドイッチ
FirstUPDATE2020.1.31
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録画するだけして見てなかった「兵六夢物語」(1943年、東宝)を見たんですがね。あ、兵六とは兵六餅で有名なあの兵六です。ちなみに「ひょうろくだま(表六玉=マヌケ)」とは語源が違うらしい。

もう出だしから軍事色濃厚で、とにかく暗いし硬い。エノケンもずっと暗い表情をしてるし。
んでラストもマジメな感じっつーか完全に出兵のイメージで、数あるエノケン映画でもっとも戦時色が濃いのは間違いありません。
でもさ、もう、しょうがないのですよ。だってこの映画、製作が1943年ですよ。まァ一番ヤバくなってきた時期なんだから、どうしてもそうなる。
でも同じ1943年に作られた「音楽大進軍」あたりよりはいろいろ明るい。んでその明るさっつーか<やり方>は同じ年に作られた「ハナ子さん」とも通じるんです。

「ハナ子さん」も途中にレビュウシーンが内包されているけど、「兵六夢物語」も上手い展開でファンタジックなレビュウとギャグを入れ込んである。ギャグにもちゃんと狂気感があるしね。
ただ、このファンタジックなシークエンス、短いのよ。んで前半の国策っぽいが長い。というか映画自体がたった69分(現存するのは67分)しかないし。

サンドイッチに例えるなら糞マズいパンが分厚くて、具が少ない。だからそこだけ見るとダメなサンドイッチだけど、少ないながらも可能な範囲でちゃんと美味い具にしたのは本当によくやったと褒めていいと思う。
もし3年早く作られていたら、相当面白い映画になったと思うもん。それが感じられるだけで評価していいと思うんですよ。

つか、やっぱこの時代の映画は時代背景っつー忖度が絶対に必要です。それがないと評価が出来ないし、時代背景抜きなら評価の遡上に上げちゃいけないよなぁ。







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