まるでディナーのあとみたいですが、実際はたいして謎でもない。ぶっちゃけ言えば答えが出ているようなものなのですが。
色川武大の著作に「あちゃらかぱいッ」というものがあります。エッセイと私小説の中間のような作風で、ただアタシは小説にかんしては<っぽい>ってだけであんまり読まないんだけど、アタシの大好きな戦前モダニズムの頃の浅草を活写しているので、非常に楽しめるのです。
しかも全部実名で書いてある。いやエッセイならやたらに仮名にする方がルール違反だけど、私小説的要素がある以上、書かれていることが全部本当のこと(真実云々ではなく色川武大自身が本当だと信じていること)かは極めて微妙なわけで。
この中にR子という女性が登場する。仮名なのはほぼこの人くらいなんだけど、それもそのはず、R子は「誰とでも寝る」ことで有名で、男娼まで抱えてたってんだから、そりゃ実名では書けませんわな。
もしこれが、R子が無名の存在なら「そんな人がいたんだ」で済ませられるけど、当時はトップクラスの美人女優だった、と。
松竹歌劇出身、東宝の美人スター、八重歯が特徴的、名前がR子、となると、ひとりしか思いつかない。
彼女の名は江戸川蘭子。どう考えても江戸川乱歩のモジリである芸名ですが、アタシも彼女が出演した映画はいろいろ見たけど、どう見てもそこまで「好きモノ」には見えない。
けど色川武大も「R子ではなく乱子だ(もちろん淫乱の乱)」と書いてるくらいなので、ほぼ間違いない、というね。
ご本尊を拝みたい方は、www.yabunirami.orgの「コマった女優」のトップ画像を見てください。一番右が江戸川蘭子嬢です。
ね?見えないでしょ?ま、人は見かけによらないというけど、男娼まで抱えるって、ねぇ。好きモノというよりは超絶絶倫ってのが、どうも。