リアルシムシティな街・神戸ハーバーランド
FirstUPDATE2019.6.27
@街 #神戸 #1990年代 単ページ ハーバーランド 作りかけのバイト PostScript

 先日、「Cities:Skylines」てなゲームをやりたいよォみたいな話を書きましたが、架空の街を再現したいって夢は大昔からあって、この10年ほどはそのために奔走していたと言っても過言ではありません。
 それはともかく、やっぱね、そーゆーことをやろうとすればとにかくカネがかかる。「Cities:Skylines」だってそれなりのことをやりたければ50マンコースなんだからさ。

 例えば「シムシティ」や「A列車で行こう」(デューク・エリントンじゃないよ)なんかは街を発展させることが目的のゲームではあった。でも、何と言うか、これらのゲームはアタシにとってはゲームでありすぎたんです。
 ってゲームなんだからゲームなのは当たり前じゃねーかってなもんですが、アタシ的にはね、ゲームというよりは限りなくツールであって欲しかったんです。
 これは街シミュレーションに限らずね、ここで何度も「ウイイレ」や「The Show」というスポーツゲームについても書いたけど、何の制限もなく自由自在に弄れて、その結果をシミュレートしたものが見たいんです。
 スポーツゲームなら選手データから果てはスタジアムまで<制限なく>変更出来るものがやりたい。つかさ、自チームをスーパースターだらけにして、つまり最強チームにして悦に入るなんて、そんな幼稚な遊びはすぐに飽きるもん。
 制限なんてね、自分で決めた方が面白いんです。こっちで勝手に縛りプレイをやるんだからさ、余計なゲーム的要素は邪魔なだけなんですよ。

 もちろんですが、本当はゲームじゃなしにモノホンの街を作ることが出来たらどんなに楽しいだろうな、と思うのは思う。
 とは言っても、んなもんゲーム以上に制限だらけだろうし、全責任をおっ被らなきゃいけないし、そんなことあり得ないけど「やる?」と聞かれても、ふたつ返事では無理です。
 ただね、別にアタシが総監督をやったわけでもなんでもないけど、たった一度だけ「街が組み上がっていく過程」を目の当たりにしたことがある。
 1992年、というとアタシは何もせず、と言えばオーバーだけど、大学を出てプラプラしている頃です。
 その頃アタシはディスプレイの会社でアルバイトをしていました。わかりやすく言えばデパートの内装やショーウィンドウを装飾する、という。
 何しろ25年以上前のことなので今は知らないんだけど、この業界が一番忙しいのは12月です。ま、クリスマスの装飾ですよ。
 全部を現場で制作なんてまったく無理なので、クリスマスツリーならクリスマスツリーをほぼ完成した状態まで仕上げておいて当日は設置だけにする。でないと到底閉店→翌日の開店までには間に合いませんから。

 実際にクリスマスツリーの制作にかかるのは秋口に入ったくらいから。デパートと言っても複数の店舗をやらなきゃいけないから、それくらいからやらないと間に合わないんです。
 まァね、アタシらバイトは気楽なもんなんですが社員は本当に大変そうで、年末が近づくにつれ社員全員生気がなくなっていく。疲れ果てて、限界まで疲れ果てて、それでも仕事がある。バイトを総動員しても、やってもやっても終わらない。
 クリスマス以外で忙しかったのは阪急百貨店神戸店オープンの時。これは結構忘れられない。何しろデパートの新規オープンの装飾をまるまるやるのです。1店舗だけどは言えさすがに<まるまる>となると途方もない仕事量になるわけで。
 ちょうどその頃にFMのヘビーローテーションになっていたのが平松愛理の「もう笑うしかない」だったのですが、社員のひとりが「まさに今の状況やな」と力なく笑っていたのを思い出します。

 ってかアタシは神戸出身なんで、阪急百貨店の神戸店なんてどこに出来るのか、逆に想像がつかなかったんですよ。
 たしかに阪急三宮駅の地下にスーパーに毛が生えたレベルの小規模店舗があったけど、あれの改装?まさか。だったらこれだけの仕事量になるわけがない。
「なんかハーバーランドっちゅうとこらしいわ」
 ハ、ハーバーランド?ポートアイランドと六甲アイランドは知ってるけど、ハーバーランドなんてまるで聞いたことがない。
 よくよく聞くとJR神戸駅の南側だという。あの辺はたしか工業地帯だったはずだけど、それをブッ潰して一から<街>を作る、らしい。
 それにしても何ともスケールの大きな話よ。でもわからんでもないというか、この頃、つまり震災までの神戸って街作りが上手かったんですよ。何しろ「株式会社神戸市」なんて言われたくらいで、正確には観光スポットを作るのが上手かったというべきか。

 全館一斉オープンだから「百貨店の営業終了から営業開始までの間に設置」なんて縛りはない。たしかオープンの一週間前から設置を始めたように記憶しています。
 アタシも何日目から実店舗での作業に参加したけど、そこにはまさしく「作りかけの街」があった。真っ昼間なのに関係者しかいない、未完成極まる街が。
 面白いつまらないでは測れない、まったくフシギとしか言いようのない魅力がある。あれは忘れようにも忘れられない。

 その後何度も「完成した後の」ハーバーランドに行った。デートで行ったこともあるし、上司の結婚披露パーティーもハーバーランドだった。何の意味もなくフラつきまくったこともある。
 でも完成後のハーバーランドは未完成時のハーバーランドの魅力に到底及ばない。実際に出来てみると何の変哲もないってのは言い過ぎだけど、そこまで面白いとは思えない街になっちゃった。ま、アタシ個人の感想ですが。
 だからといって永遠に完成させないってのはあり得ないわけで、では永遠に完成しない横浜駅がメチャクチャ魅力的か、と聞かれたら、とてもじゃないけど、ねぇ。

「Cities:Skylines」はセールの時に一応買ってはおいてるんですが、ためしにインストールしたらアタシのボロマシンではまったくまともに動かず断念しています。
ああ、ゲーミングPCが欲しい。ってもCities:Skylinesが動きゃいいだけだから超高性能のじゃなくてもいいんだけど。




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