正直言ってアタシは戸川純みたいな女性は大嫌いだったんです。戸川純のデビューはアタシが中学生の頃、全盛期は高校生から大学生の頃になるんだけど、とくに大学に入ってから戸川純が大嫌いになった。
その頃はまだそんな言葉はなかったけど、いわゆる「不思議ちゃん」ってヤツですよね。ま、戸川純本人は喋るテンポが独特なだけで不思議ちゃんとは違うんだけど、ああいうのがアタシが行ってた大学にはウジャウジャいた。そーゆー大学だったのよ。今は知らないけど。
しかも、もう理由はさっぱりわからないけど、とにかく当時のアタシは不思議ちゃん系女子に<だけ>は、やけにモテたんです。
ところが不思議ちゃんと喋っててもぜんぜん楽しくない。つかはっきり言って一緒にいるだけで不愉快になるっつー。
だから完全にとばっちりだけど、元祖不思議ちゃんの戸川純も大嫌いになったっていうね。
しかし今あらためて戸川純を見ると、意外や意外、フシギな色気がある。今で言うところのメンヘラっぽい感じもないし、あれ?これはイケるんじゃね?みたいな。
あ、もちろん当時の戸川純だからね。間違っても今のじゃないよ。
歌も偶然にも今のアタシの好みに準じている。「銀輪は唄う」(これはゲルニカ名義か)とか、似非戦前歌謡としてはかなりレベルが高いし。つか演奏(アレンジ)はパロディなのに戸川純は完全になり切ってるもん。
ま、歌唱力は低いんだけどね。完全に「役として歌ってる」レベルというか。でも、そこがいいんじゃない。
いやさ、大学時代にせっかく不思議ちゃん系にモテてたんだから、今思えばもったいない気もするけど、冷静になれば顔面レベルも色気も戸川純に遠く及ばない子らばっかりだったから、別にもったいなくないか。