もうずっと、阪神は外れ外国人選手ばかり獲る、と言われ続けていますが、しかし投手に限ればむしろ当たりばかり引いている印象があるくらいで、野手でも近年に限ってもマートンのような成功例もあるんですがね。
アタシは何も「阪神は本当は外国人選手を獲るのか上手い」なんて言いたいわけじゃない。やっぱ、失敗例が山ほどあるし、実は他球団も外国人野手なんて外しまくりじゃないかと強弁したところで、阪神とて外しまくってるんだから何も大きなことは言えません。
これね、スカウティング能力だけの問題みたいだけど、そうじゃないと思うんですよ。というか根本的に<獲り方>と<使い方>を間違えてるんじゃないかと。
その辺の話をする前に思い出話から入ります。
アタシが野球を見始めた1976年、阪神の助っ人はラインバックとブリーデンの野手ふたりでした。
ラインバックのことは繰り返し書いてきました。とにかくものすごい思い入れのある選手なのですが、ブリーデンも面白い選手でね。
とにかく典型的な低打率パワー型で、もう如何にも腕っ節でスタンドまで持っていくって感じでね。田淵の高々と舞い上がるホームランとは別の魅力がありました。なのにこの人、左投げ右打ちという変わり種だったんですよね。
当時は外国人枠は2つだったし、2つとも野手で埋めるのは普通のことだった。何故か外国人投手はあまりいなかったのです。
重要なのはラインバックもブリーデンも、アタシが野球を見始めた1976年に入団した、というところです。早い話が一気にふたり獲ったと。
同時に野手をふたり獲る、というのは今考えると計り知れないメリットがあるように思う。
新外国人選手はどうしても注目されてしまう。阪神のような人気球団ならなおさらです。
そして、2ちゃんねる(5ちゃんねる、か。メンドクセーな)界隈では当たり前のように<外国人ガチャ>なんて使われているように、当たり外れの見当がきわめて付きづらいわけです。
肝心なのは「ふたり獲ったからといって両方当たりだなんて間違っても思っちゃいけない」ことです。どちらかひとり当たれば良し。これだけで単純に確率は倍になります。
もうひとつのメリットとして、ふたりの方が注目が分散されるんですよ。ひとりだと今年(現注・2018年)のように「戦犯はロサリオ」なんて言われるけど、どちらかがそこそこ活躍したらあまり活躍出来ない方も叩かれづらくなる。
とくに今年の阪神のように決め手になる外国人野手がいない状況なら(ナバーロはあくまでスペアとして残したんだろうし)、同時にふたり獲って、時には張り合い、時には助け合い、んでお互いの存在がお互いをバッシングから守る、みたいな構図に持っていく方が良いんじゃないかと。
そしてもうひとつ。こっちは獲得の仕方ではなく起用法についてです。
これは完全なアタシの私見です。真っ向から反対されることはわかっている。つかまるっきり反対のことをいう解説者の意見も何度となく耳にしたことがあります。
それでもアタシは言いたい。
新外国人を開幕から4番で使うな、と。
もっと言うならクリーンナップでもダメ。6番(ふたり獲得の時はひとりが6番、もうひとりが2番か7番)から始めさせた方が絶対にいい。つか最初は代打、もしくは二軍スタートでもいいくらいです。
そこまで過保護にする必要がどこにあるんだ、高い金払って雇っているのに、という意見はもっともです。それでも活躍してもらう確率を少しでも上げたいのなら、活躍しやすい起用法にするのは当然ではないでしょうか。
というのもね、もうつくづく感じたのですが、野球というのは完璧にメンタルのスポーツだなと。
メンタルなんか関係ないくらい、他の選手と比較して圧倒的な能力があるのならいいですよ。でもそんなもん一朝一夕で身につくはずがなく、というか日本のプロ野球界の中で飛び抜けた選手になれという方が無理な話です。
単純な能力だけなら並かもしれないけど、見栄えの良い数字を残すことが出来る、もしくはチャンスやピンチで力が発揮出来る選手になる方がはるかに大事だし現実的です。
今の阪神で言えば糸原なんか代表的な例でしょう。けして身体能力が高いわけじゃないけど、メンタルが強いから見栄えの良い数字を残すことが出来るんだと思う。(糸原のどこが<見栄えの良い数字>なんだ?と思われる方は出塁率を見て欲しい)
これは外国人選手も一緒なんですよ。
アタシも半年とはいえ海外に滞在していた経験があるからわかるけど、海外で生活するってのはメンタルをやられやすいんです。何の期待もされずに渡航したアタシでさえ一時期はかなり参ってしまいましたから。
これが大きな期待をされて入団する外国人選手なら、そのプレッシャーはハンパではないはずです。実際メンタルをやられて本来の能力をまったく発揮出来ずに帰国した外国人選手なんて枚挙に暇がない。
加えて能力もあり日本野球への適応力もありながらスロースターターの選手だって絶対にいるはずですし。
だったら一番最初の負担は極力軽くしてやる。メンツ的にスタメンは避けられないとしてもクリーンナップは避けて6番あたりで、風当たりの弱い場所で慣れさせる配慮があって然るべきなんですよ。
つか、それでもダメなら、ファンも諦めがつくんです。ロサリオなんか、下位打線で振り回すところから始めさせてやれば、まァどれほどの数字を残したかはわからないけど、2年目も契約更改されるくらいには打ったと思うしさ。
来年はね、開幕から数試合は福留が4番でいい。もし大山が打ってたら大山を4番にすればいいし、新外国人(マルテ)が打ってればその新外国人で良いと思う。
というかドメさんの使い方ってそういうふうにして欲しいわ。体力的にフルで出るなんて無理に決まってるんだから、でも格はメチャクチャあるんだし、数試合だけなら他球団の4番と比べても見劣りしないんだから、しっかり大山に4番を継承させるための存在としてやって欲しい。
何か話が逸れちゃったけど、終わり。