夕ニャンと4時ですの狭間
FirstUPDATE2018.12.6
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「夕やけニャンニャン」の略称が<夕ニャン>なのは間違いないとして、「4時ですよーだ」の略称は本当に「4時です」でいいのだろうか。ま、ダウンタウンのふたりは「4時です」って言ってるけどさ。

1980年代半ば、突如として「夕方に若者向けバラエティ番組を放送する」という波がやってきました。
それ以前にも「ぎんざNOW!」などの放送はあったけど、これは関東ローカルで、準キー局の関西にはその波は及んでいなかった。
当時、関西ローカルでの夕方のタイムテーブルは、17時からは大抵アニメや特撮などの子供向け番組の再放送枠で(16時台はドラマの再放送枠だった気がする)、よみうりテレビに至っては18時30分まで子供向け枠があったくらいでした。(この枠のスポンサーだった「センタン」っていうアイスクリームメーカーのCMが懐かしい。ちなみにニュースは18時30分から19時まで)

それが「夕やけニャンニャン」で夕方のタイムテーブルが大きく変わった。瞬く間に話題を呼び、本来関東ローカルとして始まったはずの番組はすぐに各地方局にネットされるようになったんです。
「夕やけニャンニャン」と言えば、もう誰がなんと言おうと<とんねるず>です。とんねるずなくして「夕ニャン」の成功はなかったと言い切れる。おニャン子クラブも、鶴太郎も吉田照美も、番組の継続やさらなる人気拡大への貢献はあるんだろうけど、若者の間に「夕ニャンを見ずしてどうする」という空気を生み出したのは、紛れもなくとんねるずの存在があってこそだったっつーか。

今にもテレビの画面の<枠>を超えてきそうな熱気と迫力はとんねるずによってもたらされた。笑える笑えないを超越した、今、まさに、何かが起ころうとしている、という感覚を作れるエネルギーが当時のとんねるずにはあったんですね。
さて、フジテレビ系の関西テレビはすぐに「夕ニャン」のネット受けを決めますが、始まったのは1985年6月。関東での放送開始から2ヶ月後のことです。
この間隙を縫って、朝日放送が仕掛けた。「夕ニャン」のフォーマットをまるまるパクった番組を疾風迅雷の勢いで作ってしまったのです。

タイトルは「YOUごはんまだ?」。放送開始が1985年5月13日らしいので、つまりひと月ちょっとで、関西で「夕ニャン」が放送されてないのをいいことに、イタダいてしまったと。
あろうことか、おニャン子クラブまでパクってしまったっつーか、素人をかき集めてアイドルの真似事をさせてレコードデビューさせる、なんてことまで真似てしまった。「ICHIGOちゃん」というのですが、まァ、こんなの誰も憶えてないわな。アタシもWikipediaを見るまで忘れてたし。

さて、アタシは以前、表層をいくらパクっても粗製乱造になるだけですぐにダメになる、パクるなら根幹をパクらなくてはならない、と書きました。
「YOUごはんまだ?」は準備期間が極端に短かったせいか、「夕ニャン」が何故人気が出たのかの分析がまるで出来てない時点でおっぱじめてしまったので、完全に表層だけをパクった、みたいになっていた。(これまたWikipediaによれば、企画自体は「夕ニャン」放送開始前から存在したと読み取れるけど)

とにかくこの番組=「YOUごはんまだ?」の印象は薄いのですが、無理矢理記憶を紐解けば、とにかく「オジン臭い」印象が強く、というのも素人集団のICHIGOちゃんを除いて、すでにそこそこ実績のある人で出演者を固めていたのです。
そしてひと月も経たないうちに関西でも「夕ニャン」が始まった。フレッシュでエネルギッシュな「夕ニャン」に「YOUごはんまだ?」が太刀打ち出来るわけもなく、一年も保たずに番組は終了してしまいました。

その点、十分な準備期間がとれたとおぼしい「4時ですよーだ」は「夕ニャン」の根幹がちゃんとパクれていたんです。
つまり、とんねるずの役割をダウンタウンに担わせる、という。
しかしひとつだけ違いがありました。それはファン層っつーか、ファンの男女比がとんねるずとダウンタウンではまるで違っていたんです。
とんねるずはね、圧倒的に男性人気が高かった。もちろんふたりとも長身で見栄えは悪くないので女性人気もあったのですが、それでも印象としては男性ファンが支えたイメージが強い。

一方ダウンタウンは、少なくとも「4時ですよーだ」をやってる頃に限っては女性人気が異様なほど高かったんです。
とにかく、番組の進行とか一切関係なしに、のべつまくなし「松ちゃんカッコいい!」「浜ちゃん可愛い!」という声援が飛ぶ有様で、全国区進出以降のダウンタウンしか知らない人には意外すぎるかもしれないけど、彼らは完全にアイドルだったんです。
ダウンタウンの影響はいろいろあるけど、芸人のアイドル化の<はしり>は間違いなくダウンタウンだった。ま、この話への深入りは避けるけど、昨今忘れ去れがちなので、あえて書いてみました。

ま、それはともかくとして。
朝日放送ってのはどうも昔から「若者狙い撃ち」みたいな番組が苦手っつーか、どうもジジ臭くなる傾向がある。
関西ローカル局で一番上手いのは毎日放送で、関西テレビは前に書いたように「エンドレスナイト」という完全若者向け番組を作ってたし、よみうりテレビもパーソナリティの人気実力ともにダウンタウンよりはるかに劣るはずの森脇健児と山田雅人を起用して「ざまぁKANKAN!」を成功させた。

何なんだろうね。朝日放送の体質なのかね。もうちょい上の30代くらいをターゲットにしたのは上手いのに。







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