口コミ界のレジェンドはインドの山奥にあり
FirstUPDATE2018.11.23
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えと、アタシの大学時代の奇ッ怪なファッションが、10年後、大学から遠く離れた福岡の地にまで知られていたって話を先日書いたのですが(現注・このエントリはオミット)、これ、考えてみるとかなりコワいですよ。

あのエントリではあそこで話が終わっていますが、妄想はいくらでも膨らむ。この件をアタシに伝えてきた女性がアタシ以外の人間に「大阪にある◯◯大学ってこうだったらしいよ」みたいな話をして、さらに尾ひれかついて、いつしか校名が取れて「大阪の(すべての)大学」みたいになって、さらに大学さえどっかに行ってしまって、将来的には「大阪人はランドセルに下駄で闊歩するのが普通」みたいになりかねないな、と。
ま、そこまで極端にはならないだろうけど、以前「豊川信用金庫事件」(噂に尾ひれがついて取り付け騒ぎになった事件)について書いたことがありますが、実際にそういう例はありますからね。
口コミってのはどこでどう変化するのか読めないのが怖いんですよねぇ。

さて、アタシが子供の頃、変テコな替え歌が流行りました。
とにかく歌詞はこんな感じだった。

♪ インドの山奥<で>んでんかたつむ<り>んごは真っ赤っ<か>あさん泣いちゃっ<た>~

<>内の音で前後のワードを繋いだ、いわゆる「しりとり歌」になっているところがミソで、たしかに良く出来ていると思うんだけど、いったいいつ、どういう状況で憶えたのかはさっぱり記憶がないのです。
間違いなくクラスの不特定多数の人間が、やにわに「♪ インドの山奥でんでんかたつむり~」って鼻唄でやってたんだけど、それが何年生くらいだったかもまるで憶えていないっつーか。
元歌は「レインボーマン」という特撮ヒーロー番組の主題歌(「行けレインボーマン」)、と思われます。少なくとも「インドの山奥」という箇所にかんしては歌詞もメロディも合致しているからです。

アタシは見てなかったんだけど、数年前にテレビでこの「レインボーマン」の替え歌が取り上げられたことがあったらしい。
それがきっかけかどうか、とにかく「インドの山奥でんでんかたつむり」と検索をかければ、この替え歌を検証したサイトがいくつか見つかります。
驚いたのがね、この替え歌にはいろんなバージョンがあるらしいんですよ。

地域で括ってあるサイトもあるけど、たとえば東京で言っても東京都下全土で同じバージョンだったわけではなく、もっと細かい地域で分かれていたと考えるのが自然です。
しかも、おそらくは「東京都◯◯区◯◯町と福岡県福岡市◯◯区◯◯町はまったく同じ歌詞」なんてケースもあると思う。
これだけ幾多のバージョンがあるという事は、つまりマスコミによって流布したものでないとわかります。もし当時の子供の間での最大の人気番組だった「8時だョ!全員集合」などが震源地なら、もっと統一された歌詞になったはずですからね。

アタシが口ずさんでいた替え歌とまったく同一のものを記したサイトは見つかりませんでした。
「♪ インドの山奥<で>んでんかたつむ<り>んごは真っ赤っ<か>あさん泣いちゃっ<た>」のあとに続くのは「タンメンみそみそ」で、何でタンメンなのかさっぱり理解出来ない。というのも関西では「タンメン」という料理っつーか名称はさほどメジャーではないんですよ。

とにかく「ウチ」のバージョンは以降「タンメンみそみそ」のリピートになる。っつーことは<しりとり歌>という前提を無視していることになるわけで。
ま、最後リピートになるのはともかく、タンメンという単語が出てきていることから鑑みても、おそらくアタシが生まれ育った神戸での発祥ではなく、他地方のものをどこかの誰かが<輸入>したんだろうね。

しかし一番気になるのは、何で元歌が「レインボーマン」なんだ?ってところなんですよ。
アタシは特撮番組に興味がないのでアヤフヤな説明になってしまいますが、「レインボーマン」が放送されていたのは1972~1973年、らしい。ま、アタシの住む関西地方でも再放送はされていましたが、それこそ繰り返しリピート放送されていた「ど根性ガエル」や、同じ特撮番組でも「仮面の忍者・赤影」なんかに比べるとかなり頻度は低かったように思うし、全国的に何度も再放送されていたってわけでもないと思う。

何が言いたいのかというと、「レインボーマン」ってモン自体、そこまで、主題歌が替え歌になって、みんながソラで歌えるほどメジャーなものではなかったって話でして。
アタシが生まれた頃にブルーコメッツの「ブルーシャトウ」の替え歌「♪ 森トンカツ 泉ニンニク 囲ンニャク まれ天ぷら」なんてのが流行ったみたいだけど、これは「ブルーシャトウ」という歌自体が爆発的にヒットしたので、替え歌も猛烈な勢いで流布したってのは理解出来るんです。
しかし「レインボーマン」はそこまでではない。特撮番組という括りでいっても「仮面ライダー」や「ウルトラマン」に比べると知名度でも視聴率でも再放送回数でも大幅に劣るはずだしさ。

「レインボーマン」という番組自体の記憶もかなり薄い。土の化身がビジュアル的にかなり気持ち悪かったってくらいしか憶えていない。
後年「死ね死ね団のテーマ」が話題になったり、極めて思想的な要素が強い内容だったことを知ったりしたけど、川内康範をはじめとするスタッフが作り上げた作品そのものをなぎ倒して、後世に残ったのが主題歌の「替え歌」ってのはある意味すごい。
それにしてもここまで謎だらけの替え歌って他にある?と思う。替え歌なんて大抵作者不明なのが普通なんだから「誰が作ったのか」とかはどうでもいいんだけど、マイナーな「レインボーマン」という番組の主題歌で、全国的に、しかもバリエーションが無数にある、というのは相当異質だと思う。

「豊川信用金庫事件」は口コミの伝播の仕方の例として大学の教材にまでなってるそうだけど、「レインボーマン」の替え歌もそのレベル、いや下手したらもっと面白い事例のような。







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