こないだ、といってもひと月以上前だけど、渋谷センター街にあるブックオフが近々に閉店されるということを知って、慌てて行ってまいりました。
ここの店舗に来たことがあるようなないような、そんな曖昧な記憶だったんだけど、行ってみるともうあんまり本がない。棚もガラガラでした。たぶんあと一週間早く来ればもっとお宝があったろうに。もったいない。
実はここのところ片っ端からブックオフを廻っています。ま、「本を読んでる時間が一番気持ちが安定する」からってのはあるんだけど、それよりも、今出来る限りブックオフを廻っておかないと、ひとつ残らず店舗がなくなってしまうんじゃないかという危機感を覚えたからです。
何というか、イオンを巡る動きと極めてよく似ているなと。
イオンが出店→地元商店街が壊滅→イオン撤退→住民が買い物出来る場所がなくなる、なんてことは全国的に起こってるようですし、最近も昔世話になった人の家の近くのイオンが撤退して、同じようなことが起きているというニュースを読んだばかりです。
ブックオフが全国に出来る前は、どこの街にも古本屋のひとつやふたつは当たり前にあった。それがブックオフの進出で壊滅状態になり、そのブックオフが経営不振で撤退が相次いでいる。もうまったくイオンと同じなんじゃないかと。イオンと違って生活必需品を扱ってるわけじゃないので、あんまり話題になりませんがね。
こういう時、すぐに「今は電子書籍の時代。紙の本なんて今すぐ投げ打つべきだし、そんな時代に古本屋が淘汰されるのは当然」なんてトンチンカンなことを言う人がいるけど、正直電子書籍なんてぜんぜん関係ない話なんです。
本屋で普通に売ってる読みたい本が電子書籍になってない、というのならまだわかる。しかしアタシが読みたい本のほとんど、約9割はすでに絶版になっているものなんです。となると紙の本ですら新刊本屋で売ってないのに電子書籍化なんてされるわけがない。
そういう趣味っつーか趣向を持ってる人間にとって古本屋は新刊本屋よりも重要で、そういう人たちは古本屋を廻って地道に望む本がないか探し当てていく。
ブックオフはブックオフで意外と貴重なんですよ。
たしかにブックオフには本当の希少本は置いてない。しかし「絶版である」「でも希少本でもない」なんてものが格安で手に入る。時代的にもアタシが望む本が100円コーナーに置いてある確率が高いんです。
だからなくなってもらったら困るわけで。
もちろん買ったら即断裁→スキャンしてPDF化する。もう今となっては逆にリアル本の状態では読む気がしなくて、スマホに入れて初めて読もうと気になるくらいです。
だから本当は、アタシが読みたい作者が全員死後50年以上経って青空文庫に収められるのが理想なんだけど、まだ生きておられる方もいっぱいいるし、50年待たずに確実にアタシの方が先にくたばります。
それを「今すぐスマホで読みたい」と思えば、自力で電子書籍化するしかない。ま、もう完全にルーティン化されているので電子書籍化自体はたいした手間じゃないんだけど、ソースとなる元本は自分で探し出さなきゃいけない。
ネットでってのもね、たしかにたまにネットで古本を買うこともあるけど、それはピンポイントでどうしてもって場合だけ。やっぱ相場より高いし。手間暇かけてでも古本屋で探したいのです。その方が新しい発見もあるしね。
アタシの場合ね、最近のものにあまり興味がないってはわりと徹底してるんですよ。別に最近のものを毛嫌いしてるわけでもないんだけど、琴線に響かないんだからどうしようもない。新刊本屋に行っても「読みたいな」と思う本が本当にない。それはさっき書いたように趣向の問題だから変えようがないんです。
これは音楽とか映画も一緒で、結局アタシが聴きたい観たいと思う音楽や映画は昔のだけ。だからTSUTAYAはそれなりに頻繁に行くことになる。
けどやはりTSUTAYAも経営的に苦しいらしい。
どうも、アタシが望むものが置いてある店業態がこの世から消滅する運命にあるんじゃないか。これは辛いですよ。
アタシが観たい昔の邦画を上映する類いの名画座とかほぼ全部なくなったし、ちょっと話は逸れるけど、喫煙者であるアタシが落ち着く喫煙が出来るカフェもどんどん減っている。
だからといってね、大好きだった芸能人が亡くなった。しゃーない、じゃあ次は今流行りの◯◯にハマるぞ!なんて出来るわけがない。そーゆーことじゃない。
印刷&製本された本という文化がなくなる、DVDやCDがなくなる。そのこと自体は時代の流れだと、いくらでも諦めがつくし、しがみついてもしょうがないと思う。
ハードはいくら更新されても構わないのです。しかし、ハードを変えたからといってソフトまで変えなきゃいけないんじゃ、そりゃ抵抗されても仕方ないですよ。
もし、これからは電子書籍の時代!紙の本なんかすべてなくすってのなら、じゃあ今まで発行された全書籍を電子書籍化しろよ。今発行されている、じゃないよ。過去に発行されたもの全部だよ。
でもそんなことは出来るわけがない。それはわかっている。だからこそせっせと古本屋やらに通うわけで。
経営的な問題だからブックオフやTSUTAYAがいずれなくなるってのも、変えられない流れなのかもしれない。ならばアタシに出来ることは、今のうちに片っ端から店舗を廻ることだけなんですよね。