ア然ともしない街・横浜
FirstUPDATE2018.5.23
@街 #神奈川 単ページ 東急ハンズ サグラダファミリア 横浜

 アタシは何度も、未完成だからこそ面白いっつーか、未完成の有用性について書いてきました。
 しかし何でも「度」ってもんがあるとも思うわけでして。

 今回の「街」シリーズの舞台は横浜ですが、範囲は横浜駅近辺です。何しろイメージだけは異様にいい、ブランドとしてのヨコハマの旗艦駅(って表現も変だな)ですから、一度も行ったことがない人は「意識高い系嫌いが地団駄を踏むくらい、オシャレに徹してるんじゃないの?」と思われるかもしれません。
 ま、言うまでもないかもしれないけど、ぜんぜんそんなことはない。意識高い系嫌いですら横浜駅経験さえあれば「オシャレ?意識高い?はぁ?どこが?」と鼻で笑いますからね。
 何しろ横浜駅と言えば「日本のサグラダファミリア」と形容されるほど、とにかく<のべつまくなし>に工事をしている。アタシが初めて横浜駅近辺に行ったのは1990年代半ばだから地元の人にしてみれば最近も良いところですが、とにかくもっと前からあんな感じらしく、それこそ昭和の初めからずぅぅぅぅぅぅっと、どこかしら、それも結構大規模な工事をしていたと。
 つまり一度とて、んでとりあえずレベルでさえ「はい、これで完成!」と言える状態になったことがないらしい。しかも今の計画を遂行するだけでもあと10年以上、つまり2030年くらいまではかかるってんだからね。
 だからもう、何がどう変わってても驚かないんですよ。

 そんなアタシでさえア然としたのは、東急ハンズがなくなった時でした。
 今も東急ハンズは駅前のモアーズ内にありますが、数年前までは独立したビルで、西口のはずれにあったんです。
 ビルすべてが東急ハンズだから当然品数も充実しており、ま、そうしょっちゅうではありませんが仕事柄それなりに利用していました。
 たしかに結構間隔は開いてたと思うけど、久しぶりに行くと、なくなっていた。ビルはまだあったはずだけど、もぬけの殻、と言えば悪いか。ちなみに今はビルも解体されてコインパーキングになっています。(川崎さいか屋といい、このパターン多いな)
 まァ、それなりに急ぎで必要だったんでわざわざここの東急ハンズまで繰り出したわけで、正直途方に暮れた。他に売ってそうな店も知らないし、いやよしんば渋谷の東急ハンズにモクテキのシナがあったとしても時間的に厳しいし。(何しろ往復で軽く1時間以上はかかるからね)
 この時ほんとに痛感した。東急ハンズがってより「横浜駅近辺を信用してはいけない」と。先方からすれば「日本のサグラダファミリア舐めるな」ってなもんでしょうが。

 ではたいした目的なしにブラつくのに向いてるかというと、それはそれであんまり面白くない。
 横浜駅近辺に行くくらいならば桜木町からみなとみらいの辺りとか、さらに足を延ばして関内まで参りましょうか。関内なら伊勢佐木町も中華街も横浜スタジアムも行けるんだから。
 つか街として単純に、みなとみらいとか伊勢佐木町の方が圧倒的に面白い。みなとみらいは横浜に行ったことがない人がイメージする横浜そのものだし、伊勢佐木町ならメリーさんにも会える。(会えない会えない)
 そもそも横浜駅近辺なんて街の規模自体たいしたことがなくて、あくまで感覚的なものでしかないけど、極端に言えば「ちょっとスケールの大きい上大岡」じゃねーか、とすら思ってしまうのです。
 横浜駅未体験のみなさん、あんまり期待してはいけませぬ。横浜っぽさをお求めであれば悪いことは言わない、桜木町駅で下車しましょう。もし大都会的なものを求めるのであれば、それこそ以前紹介した川崎駅近辺の方がよほど都会感があります。

 では横浜駅近辺のお値打ちは何なんだ、と訊かれるなら、あえて髙島屋とダイエー、と答えておきましょうか。
 髙島屋は本当にデパートらしいデパートで、周辺の無限とも言える開発などもろともせずにデデーンと鎮座しています。
 アタシは行ったことはないのですが、ここのバックヤードがすごいらしい。建立は1950年代だけど、たぶんバックヤードは手入れされてないってパターンなんだろうね。とにかく魔境的なヨサがあるとか。
 一度行ってみたいなぁ。
 ま、髙島屋は大抵の人には理解してもらえるんだろうけど、よりにもよってダイエーとは「どういうこと?」と思われても仕方がありません。
 けど、あそこのダイエーは偉大だと思うんですよ。他がいろいろ変わってもダイエーとその前の八百屋だけは何も変わらない。
 ウレシイのが内装も下手に今っぽい感じじゃなくて、如何にも「古き良きスーパーマーケット」って雰囲気が残っているんです。

 アタシが神戸出身というのは何度も書いてるけど、何しろ昔は神戸(の三宮地区)といえば「ダイエー村」と言われるほど、ダイエーがひしめいていました。
 ダイエーと冠がついた店ばかりではなく、若者向け衣料のジョイントとか、スポーツ用品専門のスポーツワールド33(サーティースリーとお読みください)とかパレックス(家電販売店)とかね、あとプランタンを含めて1980年代までの神戸はダイエーなくして神戸ではない、と言えるほどだったんです。
 しかし、あの忌わしい阪神淡路大震災によってダイエー村は一気に崩壊した。とくに京町筋にあったダイエーが消えたのはかなりショックでした。
 何だか話が飛んでるような気もしますが、とにかく横浜西口のあのダイエーの店内に入ると、アタシが幼少の頃に慣れ親しんだ京町筋のダイエーをいやが上にも思い出す。もちろんレイアウトも置いてある商品もぜんぜん違うけど、空気感が非常に似通っているんです。

 今の時代、スーパーはスーパーであって、もう誰も「スーパーマーケット」なんて言わない。冷静に考えたらかなり変なんだけど、気にしてる人なんてひとりもいません。
 だけれどもアタシにはスーパーマーケットと呼んでいた時代が懐かしい。そんな懐かしさを喚起させてくれる場所として横浜西口のダイエーは、転じて横浜駅近辺には価値があると思うわけで。

まァね、日本のサグラダファミリアはいいんだけど、モノホンのサグラダファミリアに行ってみたいなぁ。2023年に姪っ子が行ったみたいで写真は見せてもらったけど、あれは生で見ないと意味ないもんねぇ。




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