もうちょいヴィレヴァンを
FirstUPDATE2018.5.17
@Scribble #Scribble2018 #施設 単ページ ヴィレッジヴァンガード 1970年代風 アメリカ風 目新しさ 子供向け

ヴィレッジヴァンガードは名古屋で始まったらしいのですが、名古屋風と言うよりは徹底的に1970年代風の店構えなのが面白い。

勘違いされては困るのですが、陳列されているものが1970年代風ってんじゃないんです。しかしあの、アメリカ発、もしくはアメリカ風のものならミソもクソも一緒、全部をごった煮的に陳列する、という<やり方>はまさに1970年代風でね。1970年代にそんな店があったかどうかはどうでもよくて、1970年代の、例えば創刊まもない頃のPOPEYE(雑誌の方ですよ)の気分をまるまる店舗にしたっつーか。

アタシが初めてヴィレヴァンに行ったのはたしか1990年代に入ってからだったと思う。ご多聞に漏れずアタシも最初行った時はビックリした。単に面白いというよりも、どことなく<いかがわしさ>があってね、神戸の人にしかわからないと思うけど、元町の高架下を小綺麗にして、狭い中に上手くパッケージングしてある感じ、というか。そういうところがね、お世辞でもステマでもなく面白かったんです。

これは今もだけど、何というか分け方が普通じゃなかった。本コーナー、CDコーナー、雑貨コーナー、調理用品コーナーみたいに商品カテゴリで分けるのではなく、料理のコーナーに料理の本、料理のCD(なんてあるのかね?)、料理に関する雑貨(今ならトーストを模したクッションとか)、そしてそこにはもちろん調理用品が置いてあるっていう。
こういう興味の範疇で括る陳列のやり方は画期的だったと思うんです。
しかも「ハヤリモノなら何でも取り込む」という姿勢があるので、行く度に置いてあるものが変わる。だから定期的に足を運びたくなるってのも、よく出来ている。

しかし、どうも、アタシのヴィレヴァンに行く回数は減ってしまいました。
置いてあるものがあまりにも子ども向けすぎる、と書けば、それはテメエがジジイになったからだろ、と言われるに決まってるのですが、何というか、アイデア系の安物ばかりのわりには安くない、というね。
半分ジョークのようなアイデア系商品は、かつてはヴィレヴァンの専売特許でした。ほんの少し前までは変テコっつーかアクの強い商品を持ってる人を見ると、口に出すかどうかはともかく「それ、ヴィレヴァンで買ったんだよね」と当てられた。

けどもう、そんなものは珍しくもなんともない。ドン・キホーテにだって売ってるし、近頃はダイソーなんかの100均でもその手の商品を取り扱っている。
しかもヴィレヴァンもネタが枯れたのか、突飛な商品を置かなくなってきた。つかイマイチ突飛さがないっつーか。
つまり「これはヴィレヴァンだからこそ買える」みたいなのが減ってしまったんです。
こうなるともうひとつの「安くない」ってのも致命的で、似たような商品がね、それこそドンキだともっと安く買えたりする。所詮売る側も買う側も半分ジョークレベルなので、そんなもんに今の不況時代にカネを使いたくない。多少品質やジョークレベルは落ちるかもしれないけど、そーゆーのはドンキや100均で十分でしょ、となるのも当然です。

アタシが言いたいのは、結局この手の商品がヴィレヴァンを苦しめているような気がするんですよね。
たしかにそういった珍奇な商品で一定の客を集めるこが出来る。それはわかるんです。さっきも書いたように「行く度に目新しいモノがある」状態になるわけでリピートさせやすいし。
だから、まァ、ヴィレヴァンをどうしかして欲しいって話じゃなくてね、別業態というか、何ならヴィレヴァンと関係ない企業でもいいんだけど、もうちょっと大人向けのヴィレヴァンっぽい店舗が出来ないのかね、なんて夢想してしまうのです。
受け継ぐのは料理なら料理のカテゴリで分けてしまって商品の種類では分けない。それだけです。あとはドンキ的なギュウギュウに詰め込んだカオス感を減らして、つかどちらかと言えばゆったりした陳列にして、置いてあるものも高級にする必要はないけど極端に安っぽいモノも置かない、みたいな。

かなり前に湘南T-SITEのことを書いたけど、あそこはかなりアタシの理想に近い。というか相当ヴィレヴァンを研究して作ったんじゃないかと思っています。つまり「大人向け版ヴィレヴァン」にしようというコンセプトは見て取れる。
ただやはり本屋ってところからは離れ切れていない。せっかくDVDレンタルコーナーがあったり、わりとセンスの良い雑貨も置いてあるのに、あくまで書籍ありきでありすぎる、というか。

あれ、店舗の雰囲気はあのままで、さらにヴィレヴァンに寄せていったら、ものすごく面白い店舗になると思う。
だってね、映画の話で言えばわかりやすいけど、黒澤明関連の書籍が並んでるのと同じところに黒澤明作品のレンタルDVDがあったら楽しいし、ものすごく興味を惹かれるじゃないですか。
販売DVDは、まァどこでも出来るかもしれないけど、レンタルとなるとTSUTAYAくらいしか無理なわけで、もうちょっと突き詰めたら本当に素晴らしい店舗になるのに、と考えると「もったいない」と思ってしまうんですよね。

これだけネット配信が盛んになると、どのみちこれからレンタルDVDも頭打ちだろうし、対抗策として借り放題みたいなことも始めたけど、それよりT-SITEを発展させた方が絶対にいい。
そこまでヴィレヴァンをパクるのは抵抗があるかもしれないけど、出来上がりはまったく別の、大人が楽しめるものになると思うんだけどなぁ。







Copyright © 2003 yabunira. All rights reserved.